2011年3月、日本が未曾有の巨大地震と大津波に襲われるという出来事がありました。はじめにこの東日本大震災によって、被災された多くの方々に心よりお見舞い申し上げると同時に、被災地の一日も早い復興をお祈りいたします。 ウシオ電機では、震災発生直後から災害対策本部を設置し、全社を挙げての情報収集、対応に努めてまいりました。幸いにも当社国内拠点において人的・物的被害はなく、またグループ会社において生産設備に軽微な被害があったものの早期に復旧することができました。4月以降は、直轄の事業対策委員会に移行し、引き続き全社を挙げて事業遂行上の協力と連携体制を強化し、取り組みを進めています。 今回の災害では、コンデンサ、ICなど世の中で広く使われているシェアの高い基幹部品の工場が、東北地方に思った以上にたくさんあることを、あらためて認識させられました。百個千個の部品を使う装置では、わずか1個の部品がなくても製品は作れません。社会を維持するために、いかなる時にも製品とサービスを提供すること。これは企業の存在意義であり、最も重い社会的責任のひとつです。そういう意味では、企業経営において、リスク管理がいかに重要かをあらためて痛感させられた出来事でもありました。 高シェア商品を多数擁するウシオにとっても、日々の業務効率向上と、万一の時のリスク管理をいかに運用するかが、従来に増して問われていると考えています。
CSRを日々の業務から
ウシオグループでは「2020年環境ビジョン」を策定し、2010年度より「第三期環境行動計画」を策定し環境施策に取り組んできました。同時に、企業として果たすべき社会的責任(CSR)全般への取り組みを強化するための体制づくりを急ぎ、2011年度からはCSRの取り組み課題を明確化するために「CSR行動計画」を策定し、社外に公表しました。「CSR 行動計画」の策定により、日々のオペレーションにおいて、従来のCSR活動がさらにグループの細部にまでいきわたり、いっそう推進されていくものと考えています。 特に2010年度は、売上高における海外比率が70%を超えるまでになり、2011年3月末のグループ従業員数は、国内(ウシオ電機と国内グループ会社)2,228名に対し海外3,041名となりました。今後、さらにグループ間の交流と連携を強化し、多様な地域と人材に合わせたオペレーションおよびコンプライアンスの徹底を図ってまいります。 また、ウシオ電機は2010年10月に、国連が提唱する「人権・労働基準・環境・腐敗防止」についての普遍的原則である「国連グローバル・コンパクト10原則」への支持を正式に表明しました。企業の活動領域がグローバルになっている中で、CSRへの取り組みも国際的なものとしていかなければなりません。
ウシオグループ中期経営計画とCSR
ウシオグループの中期経営計画である「中期ビジョン」では、売上高、営業利益などの数値目標を設定すると同時に、重点事業戦略として6つのテーマを掲げています。これらは、ウシオが事業を持続的に発展させていくための方向を明確にしたもので、光にかかわる事業を通じて、豊かな社会づくりに貢献する製品や技術的なソリューションを提供することを打ち出しています。
デジタルシネマの着実な展開
例えば、ウシオグループは、世界のトップシェアを占めている映画館の映写機(シネマプロジェクタ)において、従来のフィルム映写機からデジタル映写機への置き換えを積極的に推進しています。 フィルムの場合は、ひとつの作品に対して直径1.5メートル、数キロもあるフィルムをいくつも複製して世界各地の劇場に配給しなければならず、輸送も含め膨大な石油資源の消費が避けられません。一方デジタルでは、映画は小さなハードディスクひとつもしくは、衛星通信による配信が可能です。省エネルギー・省資源といった環境的側面以外にも、映写機のデジタル化には高精細画面・3Dなどのより豊かな表現を可能にするメリットがあるため、米国、日本など成熟地域の上映施設を中心に、急速に普及しつつあります。
固体光源事業の展開
近年、白色の一般照明用のLEDが省エネで環境にも優しいということで注目されています。ところが、映写機に使用する光源には非常に強力な光が必要とされるため、固体光源へ転換することが難しい状況がありました。そのためウシオでは、映画館の映写機に使える強力なレーザ光源の開発に拍車をかけるべく、米国半導体メーカNecsel (ネクセル)の完全子会社化を行ないました。 レーザの大きなメリットは寿命です。また、レーザ光は今まで以上に鮮やかな映像を提供できる可能性があります。ウシオは、近い将来、先陣を切って市場に映写機用レーザ光源を提供していきたいと考え、グループ一体となって開発を進めています。
環境を念頭に置いた事業展開
工場における環境負荷低減と、環境に配慮した製品の提供は、ウシオの環境への取り組みの両輪です。ウシオは創業以来、光メーカにとっての永遠の課題である、発光効率向上や長寿命化に取り組んできましたが、現在は、装置事業が全体の約60%を占めるまでになり、光源単体だけではなく電源や装置全体を含めて環境配慮を念頭に置いた研究開発を行なっています。また、太陽電池を製造する際のモジュールの開発を手掛けるほか、今後は薬品を使用しない光殺菌や水処理など環境にかかわるさまざまな分野へ光の用途が拡大していくと考えています。 その一例として、人工光による植物育成と防草について、本レポートの特集記事「光で育む。」「農業をカガクする。」でご紹介しています。ぜひご一読いただければ幸いです。 これからもステークホルダーの皆さまに満足と希望をご提供していくために、ウシオだからこそ貢献できる分野を広げていきたいと考えています。

重点事業戦略
1.デジタルシネマ事業の着実な展開とノンシネマ事業の一層の拡大
2.最先端露光事業の開発強化と事業推進
3.固体光源事業の推進
4.液晶・半導体・高精細プリント基板分野に貢献する技術・製品の提供
5.環境を念頭に置いた事業展開
6.業務提携・合弁事業・M&Aの積極的推進