温調機能付き吸光度計をカネカと共同開発

-検体の前処理と反応のモニタリングが1台で可能に-

ウシオ電機株式会社(本社:東京都、代表取締役社長 浜島 健爾、以下 ウシオ)は、株式会社カネカ(本社:大阪市、社長:角倉 護、以下 カネカ)と共同で、検査診断の現場や実験室で使用できる小型で持ち運び可能なネットワーク対応型の温調機能付き吸光度計「MyAbscopeTM(マイアブスコープ)」を開発いたしましたのでお知らせします。

従来、病原菌などを検出する場合、検体の前処理を行なう高温処理と、酵素反応をモニタリングする恒温・吸光度測定は、それぞれ実験室内の専用装置で行う必要がありました。
しかし、近年、医療施設や空港・港湾などでは、世界規模で増加する感染症や食の安全に対するリスクに対応するため、オンサイトで簡便・迅速に測定できる検査装置へのニーズが高まっていました。

これに対し、ウシオは自社のSOT技術により、カネカが考案した「恒温・吸光度測定モジュール/高温処理モジュールの一体化」を実現。100℃近い高温処理機能と正確な吸光度測定機能を1台に搭載した温調機能付き吸光度計「MyAbscopeTM(マイアブスコープ)」を開発しました。
さらにタブレット端末で通信制御・データ保存を行い、バッテリー駆動が可能なため、現場で検査ができ、検査員の負担軽減はもちろんのこと、ネットワークと繋がるIoT分析機器製品として、医療分野への展開も予定しています。

ウシオは「環境・衛生」分野での新規事業創出を経営課題と捉えており、主にエレクトロニクス分野で培ってきた光学技術やSOTをはじめとした新技術を組み合わせることで、これからも環境・衛生分野における「安全・安心」への取り組みに貢献していきます。

■温調機能付き吸光度計「MyAbscopeTM(マイアブスコープ)」 装置外観



■想定される主な用途

・高温処理(DNA抽出など)
・等温核酸増幅反応モニタリング
・酵素反応モニタリング など

■製品特長

1. 恒温・吸光度測定モジュールと、高温処理モジュールを一台に搭載。検査現場で短時間(1時間程度)での検出が可能。
2. 小型(A4サイズ)、軽量(約2kg)で持ち運びが可能。
3. ウシオ独自のSOT※技術により正確な吸光度測定が可能
4. 検査現場でタブレットによる通信制御やテータ保存が可能

※ウシオ独自のSOT技術
シリコーン・オプティカル・テクノロジー(Silicone Optical Technology: SOT )。光学系部分をシリコンで形成し、コンパクト、低コスト、かつ非常に高い迷光除去を実現する技術。このSOT技術によりつくられた光学モジュールは、紫外光から可視光の波長域において高い透過性、低い複屈折など優れた光学特性を持ち、さらに、自家蛍光が少ない、高耐熱、耐薬品性、耐候性に優れ、ガラスなどを用いた従来の光学系に比べ小型高性能化が実現できる。


モノリシックなシリコーン光学系(左)材料分散技術(右)
モノシリックなシリコーン光学系(左)と材料分散技術

 

■製品概要(本体)

製品名 MyAbscopeTM(マイアブスコープ)
外形寸法 H92×W312×D190 (mm)
重量 約2kg
恒温・吸光度測定部(酵素反応測定) 温度制御範囲 35~70℃
測定方式 8チャンネル独立吸光度測定(RGBセンサー)
検体架設 最大8検体(0.2ml チューブ)
高温処理部(サンプル前処理) 温度制御範囲 35~100℃
検体架設 最大4検体(1.5ml チューブ)
製造元 ウシオ電機株式会社
販売元 株式会社カネカ
購入予約日 8月1日より開始
 

■製品概要(ソフトウェア)

対応OS Android 5.1.1


株式会社カネカ(本社:大阪府/東京都、東証・名証4118)

1949年創立。以来、化成品、機能性樹脂、発泡樹脂・製品、食品、ライフサイエンス、エレクトロニクス、合成繊維の分野で製造・販売。 近年、「環境・エネルギー分野」、「健康分野」、「情報通信分野」、「食料生産支援分野」に注力。抗体医薬、細胞・再生医療分野で貢献できる細胞分離・培養装置、バイオマスで生分解性機能を併せ持ち廃棄物を削減できるバイオプラスチックス、情報通信機器の熱問題を解決できるグラファイトシートなど様々な製品を開発・上市。

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