線スペクトル

line spectrum せんすぺくとる

解説

線スペクトルとは、原子のエネルギー準位間の遷移によって放射または吸収する分光器で見たとき、特定の波長位置に線状に現れるスペクトルのこと。 これに対して、一定の波長範囲にわたって連続的に現れるスペクトルを連続スペクトルと言う。 スペクトル線とは異なるので注意を要する。

※原子は、正電荷を有する原子核と、その周囲を回転するいくつかの負電荷の電子とからなり、全体として中性を保っている。電子は、それぞれ定まった軌道上を回っているが、放射の発生に重要な役割を果たすのは、通常は最外部を軌道する電子である。この電子に、何らかの刺激が加わると、そのエネルギーを増し、より外側の軌道(励起軌道)に移るようになる。しかし、この状態は不安定なことから、例えば約1億分の1秒(10-8秒)で、また元の軌道に戻ってしまう。このとき、両軌道のエネルギーの差が光になって、原子から放出される。励起軌道のエネルギー状態は、不連続に多数の状態が決まっていることから、それに対する波長も、たくさんの不連続な単色放射として定まることになる。