始動補助機構

starting aid しどうほじょきこう

解説

始動補助機構とは、放電ランプの始動を容易にするために設けられる補助機構のこと。
始動補助機構には各種あり、単独あるいは組み合わせて使われる。

<代表的な始動補助機構>

1.陰極の予熱

2.導電被膜

  • ラピッドスタート形蛍光ランプなどで、ランプの内面に透光性導電性被膜を設け、電極部分の電界を強めたり、管壁抵抗を低くしたりして始動を容易にする。

3.始動条

  • ラピッドスタート形蛍光ランプなどで、ランプの内面または外面に導電性ストライプ(筋、条)を設け、電極部分の電界を強めたり、管壁抵抗を低くしたりして始動を容易にする。

4.近接導体

  • 蛍光ランプなどで、ランプに近接して金属導体を設け、この金属部との静電容量を介して微弱放電を生じさせ、始動を容易にする。
    一般には、近接導体として、照明器具(灯具)の反射板などの金属部を使う。

5.始動電極

  • 放電ランプの放電空間に、ランプの放電を開始させるため、主電極以外に補助電極を設け、主電極との間に放電を起こさせ、始動を容易にする。発光管(ガラス管)の放電空間内に、一対の主(放電)電極とは別に、始動補助の目的で設けられる電極のことで、第三電極と呼ばれることもある。
    また、発光管の外側にワイヤなどを設け、これに始動パルスを加え、誘電体バリア放電を生じさせて、始動電極とするトリガーワイヤと呼ばれるものもある。

6.無負荷電圧重畳

  • 主放電電流を供給する電源回路からの供給可能電圧が、ランプのグロー放電維持に不足する場合に、グロー放電維持電圧以上の電圧を供給する無負荷電圧重畳のための小型電源回路を設け、始動パルスなどの発生に先立ち無負荷電圧の重畳を行い、始動を容易にする。これによりランプ制御装置や安定器のコスト低減や小型化がはかれる。
    点灯装置電子安定器を参照。

7.高圧(パルス)印加

  • 主放電電流を供給する安定器からの供給電圧に、高電圧のパルス(始動パルス)などを重畳し、これにより安定器からの供給電圧によらず、高電圧パルスで放電ランプをブレークダウンさせ始動する。これにより始動を容易にすると同時に、点灯装置やランプ制御装置のコスト低減や小型化がはかれる。
    イグナイタ(イグナイター)スタータ(スターター)を参照。

8.始動補助光源

  • 放電ランプの近傍に配置し、ランプの始動を容易にする紫外放射光源のこと。
    一般には低圧水銀ランプからなり、内部電極方式のものや誘電体バリア放電方式を利用し、接続や電流制限回路を簡便にしたものがある。
    独立した小型光源として放電ランプの近傍に配置したり、放電ランプのシール部と一体化したりして使う。
    ※始動用紫外放射光源、UV-cell、UV-enhancer、UV-emitting capsuleなど光源メーカー毎に各種の呼び方がある。

9.放射性物質

  • 放射性物質を放電ランプ内に入れ、封入ガスを電離させ、始動を容易にする。
    放射性物質として、極微量のクリプトン85(Kr85)やプロメチウム(Pm)などが使われる。