誘電体バリア放電エキシマランプ

dielectric barrier discharge excimer lamp ゆうでんたいばりあほうでんえきしまらんぷ

解説

誘電体バリア放電エキシマランプとは、誘電体バリア放電で励起された、希ガス原子や、希ガス原子とハロゲン原子によって形成されるエキシマが発するを放射するランプのこと。略してエキシマランプと呼ばれている。
放射波長は、用いる原子によって決まり、その例として、Ar2*(126nm)、Kr2*(146nm)、Xe2*(172nm)、KrCl *(222nm)、 XeCl *(308nm)などがある。
エキシマランプを参照。


ランプは誘電体である石英ガラス壁で挟まれた空間内に放電ガスが封入されていて、その外部に設けた電極を通じて放電させる。エキシマの放射光を取り出すために、金属網電極あるいは印刷された金属網状電極が用いられている。構造には二重円筒型や平板型がある。
電極間への交流の高電圧印加によって、石英ガラス壁間に細い針金状の放電プラズマが多数発生する(誘電体バリア放電)。個々のプラズマの持続時間は数10nsである。すなわち針金状プラズマは瞬時に発生し、瞬時に消滅している。その内部で発生する高エネルギーの電子によって、ガスの原子が励起され、瞬間的にエキシマ状態となる。このエキシマ状態から元の状態(基底状態)に戻るときに、そのエキシマ特有のスペクトルで発光(エキシマ発光)する。発光スペクトルは、封入ガスによって設定することができる。

※誘電体バリア放電エキシマランプは、1993年にウシオ電機が世界で初めて商品化した。その後、この光源を応用したエキシマ光精密ドライ洗浄装置が開発され、液晶パネル製造ラインの標準プロセス装置として定着した。誘電体バリア放電エキシマランプは「エキシマランプ」と呼ばれるようになり、1999年には、一般固有名称として液晶ディスプレイ製造装置用語辞典第2版(日本半導体製造装置協会編)に掲載された。