紫外線硬化(UVキュアリング)技術

ウシオのUVキュアリング技術
あれもこれも、UVで固める、乾かす、くっつける

紫外線硬化・乾燥・接着(UVキュアリング)技術で用いられる素材

はじめに

紫外線硬化・乾燥・接着(UVキュアリング)技術で用いられる「紫外線(UV)硬化樹脂」などの光硬化型材料の適応範囲は、応用例で挙げたように多種多様に広がっています。これは、光硬化型材料の持つ「省資源・省スペース・省廃棄物・室温硬化・高生産性」などの固有の特性が、近年重要な考え方のひとつとなっている“グリーンケミストリー”に適合しているためと考えられます。

※グリーンケミストリー
有害な化合物を、なるべく使用しない・出さないよう物質や反応を設計し、有用な化学製品を作ること。“環境にやさしい化学合成”といえます。
これまでの産業活動では、発生した廃棄物に無害化処理を施し、「自然を汚染しないよう」注意を払ってきました。しかし現在では環境問題に根本から立ち向かい、「汚染物質そのものを作らない」という動きが起こってきています。

光硬化材料、2つの分類

紫外線(UV)硬化樹脂などの光硬化材料は、硬化メカニズムの違いによって、ラジカル重合型とカチオン重合型の二種類に大きく分類できます。
これまでの市場主流の大半はラジカル型でしたが、この型に見られる酸素による表面硬化阻害などの問題が生じないカチオン型の開発が近年急速に進んでいます。カチオン型は、硬化収縮の低減による密着性の向上や薄膜硬化可能(酸素阻害フリー)など多様な特性を持ち、ラジカル型を補完して光硬化型材料の市場をさらに拡大できる新規材料として期待されています。

ラジカル重合型とカチオン重合型の比較
ラジカル カチオン
主成分アクリルレート、不飽和ポリエステルエポキシ、オキセタン、ビニルエーテル
開始反応ラジカル酸(カチオン)
硬化速度速い温度依存
硬化収縮有り(5~10%)少ない(2~4%)
後硬化無し有り
密着性普通良好
耐熱性中程度良好
ポットライフ短い(6ヵ月)長い(12ヵ月)
酸素阻害有り無し
臭気強い弱い
皮膚刺激性高い低い
熱による促進あまり受けない受ける

紫外線(UV)硬化樹脂の特徴

  • 溶けない-基本的に無溶剤
    PRTRへの対応やVOC規制など、有機溶剤の使用に対する規制にも適した“環境にやさしい素材”です。

  • すぐに固まる-速硬化
    紫外線(UV)硬化樹脂は、紫外線の照射によって通常数秒で硬化します。従来の溶剤系樹脂で必要だった加熱乾燥炉での乾燥工程が不要なので、大幅な生産性向上が見込めるとともに省スペース・省エネルギーを図ることも可能です。

地球全体でエネルギー消費量が増加し、温暖化・酸性雨・オゾンホールなどの環境破壊が進む今日では、環境を汚さないクリーンなプロセスの開発が求められています。紫外線(UV)硬化樹脂は従来の熱効果樹脂と比較して、溶剤排出量が少なく省エネルギーであるため、環境保持の観点からも有効な技術です。
また、紫外線(UV)硬化樹脂は種々の硬化物物性が設計可能なので、従来品よりも高い機能や特性を持つ付加価値の高い商品の開発に利用されています。