事業所のGHG削減活動

気候変動の取り組みでは、5つの経営のフォーカスとしての重要課題の一つとして2030年の目指す姿を描き、目標を設定しています。しかし、刻一刻と変わる地球環境の中では、毎年の見直しが必要となっています。事業所から排出するCO₂削減(SCOPE1、2)については、SBT(Science Based Targets)目標を設定し、長期での削減計画を策定しています。2018年にはSBTの基準に沿った目標として2017年度比で2030年21%の削減を目指すこととし、SBTの認定を受けました。2020年にはこれを見直し、2℃レベルから2℃を大幅に下回る目標として、2017年度比で2030年33%の削減としました。
しかし、2018年にIPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)が発表した「1.5℃特別報告書」や2021年のCOP26での議論、そしてSBTの認定基準改定やネットゼロ目標を勘案し、2017年度比2030年45%削減、2050年カーボンニュートラルへと目標を引き上げました。この目標設定を受け、グループ全体のGHG排出量の削減施策を順次実施し、脱炭素社会の実現を目指します。

事業所のCO₂削減、省エネ

気候変動への取り組みのうち、事業所活動では日本政府や世界の動向などを見据え、足並みをそろえた緩和のための取り組みを行っています。その一つとして、SBT(science based targets)目標を設定し、その達成に向けCO₂削減の取り組みを推進しています。この目標はウシオグループ全体のCO₂排出量を対象としており、取り組みもグループで生産性向上や再生可能エネルギー利用などの対応を充実させています。
また、気候変動のリスクとして、エネルギーの使用によるCO₂排出量に対する規制が強化され、これに対応するためのコストが増加すると見込んでいます。そのため、生産工程の見直しや、設備更新時の省エネ機器導入などの省エネ活動を継続して実施するとともに、太陽光発電設備を御殿場事業所で増設し、ウシオフィリピンでは新設しました。また、播磨事業所ではすべての電力を再エネプランに変更しました。
これらの投資を促進するため、ウシオでは、インターナル・カーボンプライシング(※)を導入しました。5,000円/t-CO₂の設定により太陽光発電設備や省エネ機器への投資判断へ活用しています。これにより太陽光発電設備の設置を進めるとともに、これまで行ってきたグリーン電力証書の購入だけでなく、再エネ電力の購入・切り替えを行っていきます。省エネ活動については、原単位管理によりエネルギー使用効率の向上に努めてきましたが、一層の向上のため、より実態に合った原単位にします。新たな施策に取り組むと共に目標値の見直しなど事業を通じた地球環境保全に尽力してまいります。

※インターナル・カーボンプライシング:企業が独自に炭素価格を設定し、組織の戦略や意思決定に活用する手法で、コストやインセンティブとして可視化することにより、低炭素経営へつなげる。

SCOPE1、2の取り組み

SCOPE1、2の削減については、気候変動対策委員会が設定・見直しを行いコーポレート戦略会議で決定された目標達成のために、グループ全体での取り組みを推進しています。各グループ会社、各拠点ではそれぞれISO等を活用しての展開を行い、PDCAを回しています。

SCOPE1、2の内訳(2022年度)

SCOPE SCOPE2
(購入電力)
SCOPE1(直接排出)
合計 都市ガス LPG LNG ガソリン 軽油 灯油 A重油
排出量(t-CO₂) 28,635 3,912 2,425 62 314 277 4 830 0
SCOPE1+2に対する比率(%) 87.98% 12.02% 7.45% 0.19% 0.96% 0.85% 0.01% 2.55% 0.00%

※上記表は連結数値

CO₂の削減に関する計画と実績

計画 達成状況※ 実績
2022年度 事業所から排出するScope1+2 CO₂排出量 2017年度比絶対値13%削減 事業所から排出するScope1+2 CO₂排出量 2017年度比絶対値17.6%削減
御殿場事業所、播磨事業所への太陽光発電増設・新設検討
御殿場事業所駐車場部分への増設決定、播磨事業所への新設実施
CO₂排出係数をロケーション基準、マーケット基準の両方で算出
CO₂排出係数をロケーション基準、マーケット基準の両方で算出、開示完了
(非財務データ参照)
CO₂目標設定の引き上げ検討
1.5℃目標に整合した目標値の変更完了
2021年度CO₂生産高原単位比1%削減(単体)
×
2021年度CO₂生産高原単位比0.3%削減
省エネ法のクラス維持(単体)
省エネ法のクラス維持(単体):Aクラス維持
2023年度 事業所から排出するScope1+2 CO2排出量 2017年度比絶対値20.8%削減
御殿場事業所への太陽光発電増設、ウシオライティングへの太陽光発電新設
CO₂目標設定の1.5℃目標への引き上げ
2022年度CO₂生産高原単位比1%削減(単体)
省エネ法のクラス維持(単体):Aクラス維持
中長期目標
2050年度:
Scope1+2 カーボンニュートラル
2030年度:
ウシオグループScope1+2 CO₂排出量 2017年度比55%削減
再生可能エネルギー導入 国内100%
2025年度:
事業所から排出するScope1+2 CO₂排出量 2017年度比20%削減%削減
2022年度:
事業所から排出するScope1+2 CO₂排出量 2017年度比13%削減

※◯:達成、✕:未達

主な事業所における取り組み

播磨事業所

播磨事業所では、グループ全体の約3割を占めるCO₂を排出していましたが、そのほとんどが電力使用によるものでした。そこで、2022年度より事業所の全電力を再生可能エネルギー由来の電力に切り替え、CO₂排出をゼロとしました。また、太陽光発電の設置も進めています。

御殿場事業所

御殿場事業所は2024年に太陽光発電3期増設が完了し、事業所電力量の15%を削減できる見通しです。さらに、購入電力を再生可能エネルギー由来の電力に切り替えることで事業所排出CO₂ゼロを目指しています。

Ushio Philippines, Inc.(UPI)

2021年7月より、太陽光発電設備が稼働開始しました。フィリピンの場合、雨季と乾季で発電量に差はありますが、ウシオフィリピン全体の5%~8%を賄っています。
また、CO₂排出係数の小さい電力の購入により、全体のCO₂削減も進めました。

太陽光パネル設置工事 太陽光パネル設置工事 太陽光パネル設置工事

エネルギー管理優良工場表彰(御殿場事業所)

関東経済産業局から「エネルギー管理優良事業者等関東経済産業局長表彰」を授与しました。老朽化した恒温恒湿空調設備の更新を計画していましたが、発想を変えラジエーターを設置して低温な御殿場の工業用水を利用し、装置排熱を除去することで空調のスペックダウンにつながり、イニシャル・ランニングコストを大幅に削減することができました。また、CO₂排出量で240t-CO₂/年削減を達成しました。

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