Project Story

プロジェクトストーリー

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by courtesy of TNO
RECRUITING

Project Story

時代を動かすEUV光の技術
挑戦を楽しむ姿勢がビジネスを動かす!

概 要

最先端半導体製造プロセスにおいて、導入が進むEUVリソグラフィー技術。非常に波長の短いEUV光源は、これまでの半導体プロセスに代わり、半導体の微細化に貢献しています。 EUV光を用いた次世代半導体量産プロセスが立ち上がるまでには業界全体で10年以上の歳月を要してきました。ウシオ電機も長きに渡り高輝度EUV光源の研究・開発に取り組み、2019年より本格的に高精細マスク検査用EUV光源を量産プロセスへ導入を開始。 高精度マスク検査用及び研究開発用EUV光源として、ブランド名「TinPhoenix(ティンフェニックス)※1」を掲げ、開発から製造、販売、アフターサービスに至るまでを手掛けています。AIやIoTが広がるData Centricな時代に必須となった、ウシオ電機のEUV光。最前線に立つメンバーに話を聞きました。

プロジェクトメンバー

システムソリューション事業部
EUV BU ビジネス統括部

A.Kさん

2004年入社
政治学科

システムソリューション事業部
EUV BU 技術開発統括部

M.Sさん

2003年入社
物理学科

光が安定しない!
不具合の原因は思いがけないところに

―お二人の関わっている「高精度マスク検査用EUV光源」とはどんなものでしょうか。

Aさん
A:EUV光とは極端紫外線(Extreme Ultraviolet)のことで、13.5nm(ナノメートル)の非常に波長が短い光です。半導体の製造プロセスでは、光を使って電子回路を焼き付けるのですが、この焼き付けるための原版(設計図)をマスクといいます。我々は、このマスクを使用・製造する際の検査に使われる光源を製造しています。
EUV光を作るには、金属の錫を約300℃に熱し液体化して発光の媒体にします。EUV光は空気を透過しないため、すべて真空環境下で発光のプロセスがおこなわれる必要があります。一方で、半導体を生産する工場は24時間365日止まることがありません。そのため、過酷な環境で稼働する装置が止まることなく安定稼働することが非常に重要です。我々も日々、そこに貢献すべく心血を注いでいます。

―Mさんはエンジニアとしてどのような仕事をされていますか?

Mさん
長時間安定稼働に向け、EUVマスク光源装置を構成している各モジュールの長寿命化開発や、装置として構成された後の光性能評価、改善を行っています。まだまだ解明できていないところもありますので、熱、流体シミュレーションを駆使し、錫の挙動を推察しながら、モックアップを製作し原理検証実験を実施。物理現象の解明に基づく各モジュールや装置全体性能アップを目指しています。

―原因がわからず苦労したエピソードはありましたか?

Mさん
以前、エンドユーザー様に納入された装置の光性能が、突発的に安定しなくなる事象が起こりました。例えると、蛍光灯がチカチカ点滅しているようなイメージです。光源装置は非常に複雑な構造であるため、いろいろな可能性を疑いました。電気やメカ、光学、ソフト、装置などさまざまな専門分野のメンバーを交えて原因究明を実施検証しましたが、どうすればこの事象が改善するのかまったく分からない状況が続きました。
しかし最終的に、各分野の技術者がそれぞれの知見に基づいて仮説検証を繰り返し、テストを重ねることで、ようやく事態を解決することができました。多様なアイデアを持った技術者が結集し、知恵を持ち寄ってディスカッションを重ねたことがこのような結果を生んだのだと思いました。メンバーと知恵を出し合い、柔軟に考え共に課題解決を進めることがいかに大事かを学ぶことができた一件でした。

理系・文系関係なく、
学び続ける最先端技術の現場

―Aさんはどんなお仕事を担当しているのでしょうか。

Aさん
私はこの最先端技術を使って、いかに収益を上げるかを担っています。日々、マネタイズの仕組み構築や、事業ブランドイメージを上げるための活動を行っています。例えば、ブランドイメージ向上では、各種学会や国際会議への投稿やプレゼンテーションを行うことで、認知度を上げ、ウシオのEUV光源が世界標準となり参入市場における価値を上げるような活動をしています。また、日々お客様との折衝がある一方で、いかに効率よく収益を上げる仕組みを社内外問わず構築、展開しています。半導体はよく「入口が狭く奥が深い」と言われ、裾野の広い業界です。ウシオ電機の活動を広く知っていただき、さらに多様な用途で貢献できる分野がないか模索しながらPR活動をしています。

―文系のご出身ということですが、最先端技術の営業で苦労することはありますか?

Aさん
この分野は先端技術ですので、たとえ理系出身だったとしても日々新しい発見があります。新しい言葉や考え方が出てきた時には、自分で勉強したり、技術メンバーに聞いたり。難しいように見えるかもしれませんが、入ってみると結構面白いんですよ。最先端であるがゆえ、事業規模も大きく、やりがいも大きい仕事です。

チャレンジしつづけられる
環境がある

―お二人が感じているウシオ電機で働く魅力はどんなところでしょうか。

Aさん
私は、継続的にチャレンジできる環境にめぐり合い続けていることでしょうか。思い返してみると、2~3年ごとに技術的な課題解決や、ビジネスを大きくするといった場面に立ち合い、日々新しい世界で仕事をしてきました。会社からこれをやってくれ、と言われるのではなく、「こんなことをやりたい!」と言ったことができる環境に置かせてもらっています。
Mさん
私も同じ部分に魅力を感じます。入社以来、映画やエンタメ業界で使われる産業用可視光光源(キセノンランプやレーザー光)に長年携わってきましたが、2年前より極端紫外線の光源装置に携わっています。これまでとは全く異なる分野ですが、メンバーに色々教えてもらいながら、楽しく仕事をすることができています。課題も沢山ありますが、新しい発見が日々得られており、刺激がある毎日を過ごしています。

―EUVの技術もまさにチャレンジが生み出した成果ですよね。

Aさん
ウシオ電機は、2002年に発足した国家プロジェクト発足以来、EUV光源の開発に携わってきています。時代の荒波に翻弄されながらも、長い開発期間を経て現在の検査用途としてようやくビジネスとして立ち上がろうとして来ているところです。
Mさん
私がこのプロジェクトに参加したタイミングは、長年研究ベースで行われてきたものがやっと実を結んで量産化するという段階でした。先人の絶え間ない努力によって生み出された技術ですので、私たちの手で安定稼働する装置にしたいと思っています。

エピローグ

半導体は私たちの暮らしの至るところで利用され、これからも成長が期待される分野です。その中でもEUVは、まだまだ大きな可能性を秘めた技術。そしてウシオ電機では、チャレンジすること自体を楽しむ社員が、EUVを、力強く事業ブランドTinPhoenixとしてグローバルに事業展開を牽引しています。実用化のスタートラインに立ったばかりのEUV技術。是非、最先端技術の可能性を一緒に探ってみませんか?

※1 TinPhoenix(ティンフェニックス)
ウシオのEUV光源事業ブランドで、Tin (錫) + Phoenix (不死鳥)を掛け合わせた造語。「二つの円」と「その中心の光」が要素となり無限大を表す、インフィニティーマークをモチーフにしている。EUV光源の特徴である、回転する2つのTinサプライディスクイメージと、永遠に生き、輝き続ける不死鳥のように、ウシオのEUV光源事業を通して世の中に貢献し続けたい、との想いが込められています。