製品・技術 高温動作範囲を85℃まで拡大した波長640nm帯赤色レーザーダイオード「HL63723DG」を製品化
2025.03.12
ウシオ電機株式会社(以下ウシオ)は、高温動作が要求される車載やセンサー用途に対応したレーザーダイオード(LD)「HL63723DG」の開発を完了し、2025年7月より販売を開始いたします。本製品は、波長642nmという赤色短波長帯で200mWの高い光出力を実現し、高温動作の温度範囲上限を従来製品の60℃に対し、85℃まで拡大したことが特長です。また、低温-40℃においても安定動作が可能であり、高温から低温まで広い温度範囲で動作が求められる車載やセンサー用途など、様々な分野での応用拡大が期待されます。
近年、自動車の電動化や自動運転技術の進展に伴い、車内外での情報表示や安全性向上を目的とした新しい技術開発が進んでいます。RGB LDを使用した車内プロジェクションや路面投影、ヘッドアップディスプレイ(HUD)などの技術は、ドライバーの視認性を向上させるだけでなく、直感的な情報提供を可能にするため注目を集めています。これらの車載用途には高温85℃から低温-40℃まで動作が可能なLDが求められています。また、センサー用途では、非接触センサーとしてワークの有無確認や2D、3Dの物体認識センサーとして広くLDが採用されていますが、機器の冷却構造を簡略化し小型化を実現するためには、高温でも安定して動作するLDが求められます。
これらの用途においては、LDの高温動作時の特性と信頼性の確保が重要ですが、一般的に赤色LDは赤外や青色LDと比較し、材料の性質上、高温時に活性層内にキャリアを閉じ込められないことから、発光効率が大きく低下する課題がありました。この課題を解決するために、ウシオでは活性層の設計最適化および結晶成長の技術開発を行い、活性層へのキャリアの閉じ込めを強化することで、高温動作時の特性と信頼性の大幅な改善を実現しました。その結果、波長640nm帯の従来製品では高温動作の上限が60℃であったのに対し、本製品では高温での温度領域を85℃まで拡大し、85℃で光出力50mW動作を実現しました。
ウシオは、今後も技術革新を続け、より高性能な製品を提供しお客様のニーズに応えるとともに、光技術を通じて社会に貢献してまいります。
■製品仕様(動作温度 Tc=25℃)
光出力 @25℃ | 200mW |
光出力 @85℃ | 50mW |
発振波長 | 642nm |
動作温度 | -40 to 85°C |
横モード | 横シングルモード |
発振モード | TEモード |
パッケージ | 5.6mm CAN パッケージ |
■アプリケーション
・ ARヘッドアップディスプレイ
・ インテリア/エクステリアディスプレイ
・ センシング&メジャーメント
■パッケージ
- ・ウシオ標準5.6mmパッケージ
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HL63723DG
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- ■特性曲線
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