第64回電池討論会
正極Al集電箔の真空紫外光および大気圧プラズマ処理による電池特性の向上
Improvement of battery characteristics by vacuum ultraviolet light or atmospheric pressure plasma treatment of cathode Al current collector foil
中島康治、松本茂樹
ウシオ電機株式会社
Koji Nakajima, Shigeki Matsumoto
Ushio Inc., 1-6-5 Marunouchi, Chiyoda-ku, Tokyo 100-8150, Japan
To improve the characteristics of lithium-ion batteries, it is important to reduce the internal resistance of the battery. In this study, we focused on the interface between the current collector foil and the active material, and investigated measures to reduce the resistance component. As a result, we confirmed that treatment of the cathode Al current collector foil surface with vacuum ultraviolet light or atmospheric pressure plasma improves the discharge characteristics and peeling strength characteristics.
１．緒言
リチウムイオン電池の耐久性や放電特性を向上させるためには、電池の内部抵抗を如何に低減させるかが重要である。内部抵抗には、「活物質／電解液界面」の電荷移動抵抗、「集電箔／活物質界面」の電子移動抵抗など、複数の抵抗成分がある。今回、我々は「集電箔／活物質界面」に着目し、その抵抗成分を低減する施策について検討・検証を行った。具体的には、『正極アルミ箔表面の残存有機物が「集電箔／活物質界面」の抵抗成分となる。』との仮説を立て、エキシマ光（真空紫外線）や大気圧プラズマ（窒素）を用いて、正極アルミ箔表面を洗浄処理し、その効果を検証した。結果、未処理の正極アルミ箔と比較して、表面の状態に変化のあること、放電特性や剥離強度特性の向上が認められることを確認した。本講演では、本成果の詳細を報告する。
２．実験方法
Al 箔ロール（A1085 20µm×200mm×500m）から Al 箔を切り出し、真空紫外光（VUV）または大気圧プラズマ（AP）にて照射処理（VUV 処理雰囲気：酸素濃度 2％、AP 処理雰囲気：大気圧）を行い、3 種の Al 箔サンプル（未処理／VUV処理／AP 処理）を作製した。Al 箔サンプルについては、SEM、XPS 等を用いて表面の観察、分析を行った。次に、Al 箔サンプルに正極スラリー（NCM:CB:PVDF）を塗工し、正極箔サンプルを作製した。更に、正極箔サンプルを用いて、評価用セル（ラミネート型）を作製し、放電特性評価、剥離強度特性評価を行った。
３．結果と考察
Fig.1 に放電特性評価の結果を示す。放電レート 1C（実線）の場合、未処理（青）に比べ、VUV（橙）、AP（緑）の放電容量が大きくなっていることが確認された。また、放電レート 20C（点線）の場合、その差はより顕著に表れ、更に 60C というハイレートの条件でも同様の結果となった。Fig.2 に作製した正極箔の SAICAS による剥離強度評価の結果を示す。放電特性評価の結果と同様に、未処理（青）に比べ、VUV（橙）、AP（緑）の剥離強度が大きくなっていることが確認された。発表では、VUV/AP 照射処理による Al 箔表面の状態変化、およびこれらの結果に基づき、VUV/AP 照射処理の効果について考察する。
Fig. 1. Discharge Characteristics by VUV/AP Treatment.
Conditions
- Atmosphere temperature: 25℃
- Average values of N=3-4 for each condition
Fig. 2. Peel Strength evaluation by SAICAS.
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