<iframe src="//www.googletagmanager.com/ns.html?id=GTM-KL9Q9W" height="0" width="0" style="display:none;visibility:hidden">
ここから本文です。

財務情報

財務レビュー

ウシオ電機株式会社および連結子会社・関連会社
2017年3月31日終了会計年度

当社グループの企業集団は、当社(ウシオ電機株式会社)、子会社55社および関連会社1社で構成され、光源、装置および産業機械の製造販売を主な内容とし、さらに各事業に関連する研究開発およびその他のサービスなどの事業活動を展開しています。

経営環境と当期の施策

当期における世界経済は、米国において緩やかな景気の回復基調が継続しているものの政権交代による経済政策変更の可能性や、中国や新興国における景気減速が続くなど、先行き不透明な状況が続きました。国内経済は、企業収益や雇用環境、個人消費の改善などが見られ緩やかな回復基調で推移しました。

当社グループの映像装置および光源の主要市場であるシネマ関連市場では、中国をはじめ新興国でスクリーン数の増加が続いています。

当社グループの光学装置および光源の主要市場であるエレクトロニクス市場では、ハイエンドスマートフォン用の電子部品と中小型液晶パネルの需要が増加しました。

このような経済環境のもと、当社グループでは、映像画像事業のソリューション展開などグループシナジーの強化を図りました。また、サイエンス事業やバイオ・メディカル事業など、将来に向けた新技術・新製品の研究開発に積極的な投資を行いました。

収益

  • 1株当たり当期純利益のグラフ
  • 総資本利益率(ROA) のグラフ

当期の業績は、減収減益となりました。

売上高

光源事業では、主に円高ドル安の進行による為替影響を受け減収となりました。

装置事業においても為替影響に加え、映像装置市場の環境変化や競争激化により、減収となりました。

その結果、前年同期比3.5%減の1,728億4千万円となりました。

営業利益

映像装置事業の業績悪化にともない、構造改革を実行したものの、総利益ベースでの収益性悪化をカバーできず、前年同期比34.5%減の86億2百万円となりました。

経常利益

売買目的有価証券運用益などを計上したものの、為替影響から前年同期比24.8%減の110億1百万円となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益

投資有価証券売却益を計上したものの、事業構造改善費用などの特別損失を計上し、前年同期比36.6%減の70億4千2百万円となりました

セグメントの業績

装置事業

売上高のグラフ

映像装置のうちシネマ分野では、デジタルシネマプロジェクターの販売台数は増加したものの、需要が拡大している中小型タイプにおいて販売単価の下落が継続しました。一般映像用装置では、アミューズメントパークやイベント向けプロジェクターの販売は堅調に推移した反面、常設タイプの中小型プロジェクターを中心に販売が低迷しました。

光学装置は、スマートフォン関連の各種電子デバイス向け露光装置の設備投資が弱含み、販売が低迷した一方で、液晶パネル製造用装置や有機ELディスプレー向けエキシマ洗浄装置や、次世代スマートフォンのメーン基板向け直描式露光装置の販売が増加しました。

その結果、装置事業の売上高は978億3千4百万円(前年同期比1.0%減)、セグメント利益は7千4百万円(前年同期比95.7%減)を計上しました。

光源事業

放電ランプのうち露光用UVランプは、半導体関連メーカーおよび有機ELディスプレー関連メーカーの設備投資が増加したことに加え、ユーザーでの稼働率が高水準を維持しているためリプレイス需要は増加しました。 シネマプロジェクター用クセノンランプは、中国を中心にシネマスクリーンの新設が継続しており需要が増加しているものの、価格競争の激化による影響を受けました。データプロジェクター用ランプは、セットメーカーでの新製品拡大により販売が増加しました。

ハロゲンランプは、OA用途において新興国の景気低迷により需要が減少しました。

その結果、光源事業の売上高は740億4千6百万円(前年同期比5.8%減)、セグメント利益は81億1千9百万円(前年同期比26.0%減)を計上しました。

その他事業

包装機械の販売が低迷したものの、射出成形プロセスを監視する金型監視装置の販売が拡大し、増収減益となりました。

その結果、売上高は33億7百万円(前年同期比2.8%増)、セグメント利益は4千1百万円(前年同期比77.0%減)を計上しました。

資本の財源および資金の流動性

キャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローのグラフ

当期末における現金及び現金同等物は、前期末に比べ31億6千1百万円増加し509億7千4百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フロー

当期における営業活動によるキャッシュ・フローは、126億2千4百万円の収入(前期は120億3千1百万円の収入)となりました。

この主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上116億1千7百万円及び減価償却費の発生65億8千7百万円、たな卸資産の減少27億3千3百万円による収入と投資有価証券売却損益の発生27億6千1百万円、売上債権の増加38億5千万円及び法人税等の支払24億5千5百万円の支出によるものです。

投資活動によるキャッシュ・フロー

当期における投資活動によるキャッシュ・フローは、152億5千4百万円の支出(前期は103億6千7百万円の支出)となりました。

この主な要因は、定期預金の払戻104億9千3百万円、有価証券の売却及び償還59億9千2百万円、投資有価証券の売却及び償還61億6千4百万円による収入と、定期預金の預入150億9千万円、有価証券の取得31億9千7百万円、有形固定資産の取得88億2千8百万円、投資有価証券の取得104億6千7百万円の支出です。

財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動によるキャッシュ・フロー
当期における財務活動によるキャッシュ・フローは、68億6千4百万円の収入(前期は78億4千9百万円の支出)となりました。

この主な要因は、長期借入による156億1百万円の収入と、長期借入金の返済33億7千6百万円、自己株式の取得12億1百万円、配当金の支払33億4千7百万円及び連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得15億9千1百万円の支出です。

財政状態について

純資産/自己資本利益率(ROE)のグラフ

資産

当期末における資産は、3,084億3千万円となり、前期末に比べ139億5百万円増加しました。主な増加要因は、銀行借入の増加による現金及び預金の増加、債券の取得等による投資有価証券の増加です。

負債

当期末における負債は、951億4千1百万円となり、前期末に比べ119億1千2百万円増加しました。主な増加要因は、運転資金需要による短期借入金及び長期借入金の増加です。

純資産

当期末における純資産は、2,132億8千9百万円となり、前期末に比べ19億9千3百万円増加いたしました。主な増加要因は、利益獲得による利益剰余金の増加です。主な減少要因は自己株式の取得による自己株式の増加です。

設備投資

設備投資額のグラフ

当社グループでは、既存設備の増強、将来的に成長が期待できる事業及び研究開発分野に重点をおき、光源事業・装置事業を中心に107億4千万円の設備投資を実施しました。当期の設備投資(有形固定資産、無形固定資産及び長期前払費用の受入ベースの数値。金額には消費税等を含んでおりません。)の内訳は、次のとおりです。

  当期 前期比
光源事業 4,971百万円 84.7%
装置事業 4,203百万円 61.2%
その他 1,565百万円 324.9%
合計 10,740百万円 81.2%

当期は、投資効率を追及し、各セグメントとも設備投資案件を厳選した結果、設備投資額は減少しました。

当社グループの設備投資は主に装置事業・光源事業を中心に行っており、装置事業においては多様化するマーケットニーズに対応した露光装置や光配向装置等の光学装置分野、レーザープロジェクターや音響システムの映像画像分野、シミュレーションやバーチャルリアリティシステム等の一般映像分野を重点事業とし、光源事業においては、高い品質力・技術力の維持ととともに、固体光源(LED・LD)事業の拡大等に重点を置き、設備投資を実施しました。

上記設備投資に関連して、所要資金は、自己資金及び借入金によっています。

なお、光源事業・装置事業における建物及び機械装置などの工場設備の除却に伴う固定資産除却損91百万円を計上しています。

研究開発活動

研究開発費のグラフ

当社グループは、産業用光源の開発・製造を中核として光学系技術をはじめ、エレクトロニクスやメカトロニクスなど、光を利用・応用していく上で不可欠なさまざまな周辺技術の開発を推し進め、光のユニット化、光の装置・システム化へと事業を展開しています。

新市場・新技術の動向を常に把握し、戦略的な研究開発活動を行うと共に、各研究開発部門が相互に連携・連動しながら数々の新しい光源及び光の関連装置やソリューションを生み出す体制となっています。

当期におけるグループ全体の研究開発費の総額は98億1千2百万円であり、光源事業及び装置事業を中心に行っています。なお、各セグメントの研究開発費はセグメント間の取引を含んでいます。

当期の主な成果は、次のとおりです。

光源事業

コリメータレンズ付き赤色レーザーダイオードの開発

子会社であるウシオオプトセミコンダクター株式会社は、コリメータレンズ付き赤色レーザーダイオードを開発しました。顧客にとって使いやすいコリメータレンズ付きの高出力レーザーダイオードであることが特徴となります。

高出力赤色レーザーダイオードは、シネマ・業務用プロジェクター光源の固体化に対応し、今後の成長が期待される製品であり、さらに高出力タイプ製品の開発を進めています。また、青紫色レーザーダイオードでも直接描画式露光装置用に向けて、さらに高出力タイプ製品の開発を進めています。

光源事業に係る研究開発費は44億4千3百万円です。

装置事業

(1)Roll to Roll方式の直接描画式露光装置の開発

子会社である株式会社アドテックエンジニアリングは、フレキシブルプリント基板業界向けに、従来のRoll to Roll方式のコンタクト式露光装置と比較し、補正機能に優れ、マスクを必要としないRoll to Roll方式の直接描画式露光装置を開発しました。基本となる直接描画式露光装置は枚葉専用であることから、送り方式やマウント方式などの新規開発を行い、解像性能15umのRoll to Roll方式の直接描画式露光装置を完成させることができました。

(2)次世代RGBレーザープロジェクターの開発

子会社であるCHRISTIE DIGITAL SYSTEMS CANADA INC.は、シネマ市場向けに、今後普及が見込まれるRGBレーザーを使用した高輝度で高画質の次世代プロジェクターの開発を進めています。高出力の赤色レーザーデバイス(MDP)や、プロジェクション用として初めて採用されるダイレクト発光緑色レーザーなどの高度なレーザーを利用することで、プロジェクターの構造を簡素化・小型化することができ、製造コストの大幅な削減を達成しました。またRGBレーザーのビーム特性を使用して、これまでのランプベースのプロジェクターよりも高い最大コントラスト比5000:1が可能となりました。この次世代プロジェクターの開発は、シネマ業界に大変革をもたらすものと期待されています。

また、シネマ市場以外の一般プロジェクション市場に向けても、今回の開発による光学システムに基づく様々な派生機の開発を進めています。

装置事業に係る研究開発費は53億2千万円です。

対処すべき課題

当社グループにおきましては、各既存市場での成長が鈍化傾向にあることから、既存市場での高シェアと収益性を維持しつつ新規市場への参入や新規事業創出を加速させていくことが事業上の課題となっています。また、光源事業では従来のランプに代わる固体光源化が徐々に進んでおり、固体光源事業の着実な推進が課題となっています。

これらの課題に対処すべく、多様化するマーケットニーズに対応した製品ラインナップの充実や、徹底した製造コストの低減、品質・生産性の向上に加え、国内外での生産拠点・販売拠点とネットワークの拡大強化を図り、サービス体制の充実等に努めるとともに、既存技術・製品の強みを活かした提案型トータルソリューションビジネスの展開拡大やオープンイノベーションの活用などにより、世界のマーケットへ向けて高付加価値な光源、光学装置及び映像装置を既存市場のみならず、新規市場への拡販を図ってまいります。また、強固な財務基盤を背景に、積極的にシナジー重視のM&Aや企業提携などに取り組み、機動力ある事業の発展を図ります。

また健全な財務体質を維持しつつ、成長への投資と株主還元に関し、バランスのとれた資産配分を安定的に行うことが財務上の課題となっています。

一方、企業の社会的責任として、環境問題を重要な経営課題の一つと捉え、省エネルギー・省資源、廃棄物削減・リサイクル化、環境負荷の低減等に積極的に取り組みます。

そして、あらゆるステークホルダーからの信頼にお応えするための施策として、コーポレートガバナンス、コンプライアンス体制強化による内部統制システムの充実、BCPなどリスク管理体制の整備による安定した事業継続にも努めます。

事業等のリスク

当社グループの経営成績、財務状況及びキャッシュ・フロー等の業績に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

なお、記載した事項は、2017年6月29日現在において当社グループが判断したものですが、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。

(1)半導体、液晶業界の需要動向による影響について

当社グループの業績は、半導体や液晶業界における需給の影響を受ける状況にあります。現状におきまして当社の取扱品目には、製造装置用のランプという消耗品があり、工場が稼動する段階においてほぼ安定的に需要が発生する構造となっています。しかしながら、当社が扱う半導体や液晶の製造装置につきましては、各々の業界における短期・中長期的な需要の変動や技術革新の影響を受け、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(2)各種照明・照射光源の需要変動などによる影響について

当社グループは半導体、液晶分野以外に、各種照明やデータプロジェクター用及びデジタルシネマプロジェクター用搭載光源等をマーケットに供給していますが、これらの光源は、マーケットの技術動向、価格動向、需要変動の影響を受け、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(3)映像装置の需要変動などによる影響について

当社グループでは、映画館用及び業務用大型プロジェクターを提供していますが、各地域における需要変動や、マーケットにおける技術動向、価格動向により、当社グループの業績、財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(4)原材料などの調達に係るリスクについて

当社グループは原材料を外部調達しており、幅広い供給元から原材料供給を受けることで、質の確保はもとより、安定した価格及び量の確保を行っています。しかし、特にランプ製造の主要原材料としてタングステンやモリブデン等のレアメタルや特殊ガスを使用していることから、これらの原材料の供給不足や価格高騰により製造原価が上昇する可能性があることが、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(5)国際的活動および海外進出に潜在するリスクについて

当社グループの生産及び販売活動は、北米やヨーロッパ、並びにアジア等の日本国外でも行われております。これらの海外進出には、各国における諸規則や諸規制等の変更、人材確保の不安定さ、インフラ面の未整備、社会的混乱等が発生するリスクが内在しており、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(6)知的財産権によるリスクについて

当社グループは頻繁な技術革新を伴う業界に属しており、特許、商標及びその他の知的財産権の保護・維持・管理が、各市場シェア及び競争力の維持のためには重要となります。しかし、当社グループの保有する当該権利が第三者に侵害された場合や、当社グループが第三者の保有する当該権利を侵害した場合において、訴訟へと発展する可能性があります。また、当社グループが出願した知的財産が権利として認められない可能性もあります。こうした知的財産権の保護が大きく損なわれるような場合には、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(7)外国為替のリスクについて

当社グループは、円建とともに外貨建も含めて一般事業取引や投融資を行っています。従って、外貨によって行っている当社グループの商取引及び投融資の損益は、外国為替の変動による影響を受ける状況にあります。これに対して為替予約を適宜行ってはいますが、為替リスクを完全に回避することはできないため為替の変動が当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(8)有価証券の価格変動リスクについて

当社グループは金融資産として、有価証券を保有しており、株式市場等の状況次第では時価の下落も考えられます。当社グループではこのような有価証券の価格変動リスクを負っており、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

経営上の重要な契約など

経営上の重要な契約として特記すべき事項はありません。

有価証券報告書ダウンロード

PDFダウンロード