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光技術情報誌「ライトエッジ」No.2/特集 液晶バックライト光源(1995年春発行)

ごあいさつ

― 液晶バックライト光源特集号に寄せて ―

この20年、液晶表示素子は格段の進歩をし、まさに、「産業の紙」の地位を着々と築きつつある。しかし、液晶の大きな欠点は、非自己発光の素子であることである。したがって、広い環境条件下で使用されるためには必然的に照明装置が必要となる。

弊社は液晶表示素子の将来性に着目し、そのための照明光源の開発に着手したのは1980年のことであった。当時はカラーポケットTVの開発初期段階であり、電池の交換時期の延長化を狙って、低電力、高発光効率の超小型蛍光ランプを目標として進めた。1984年のカラーポケットTVの出現に寄与した。この光源または光源ユニットは、今日では「液晶バックライト」と呼称されるようになり、事務所、工場、家庭、自動車などの幅広い分野で液晶表示素子の裏に隠れながら輝きつづけている。1990年代に入ってからは、従来からの棒状の蛍光管のほかに、平面状の蛍光管も使われるようになった。

一方、液晶表示素子の性能向上に伴い、液晶プロジェクタ、液晶OHPの開発も行われていた。この分野では、弊社は1980年代中ごろから、点状光源キセノンランプの適用を検討した。しかし、世の中の流れは、輝度の点ではキセノンランプに劣るが発光効率では数倍も高いメタルハライドランプの方へ行った。弊社としても1980年代末から液晶用点状光源メタルハライドランプに本格的に取り組んだ。当時は交流点灯のランプが世の中の流れであったが、特にランプ寿命の点から直流点灯ランプの開発にも力を注いだ。

本特集号は、液晶バックライト用蛍光ランプの特に小型化、高輝度化、低電力化、高温度特性化、長寿命化などの実現までの途上、またメタルハライドランプにおいては高演色性化、高輝度化、低色ムラ化、長寿命化などの実現途上での、社内報告書の中から外部へ発表したものをピックアップし、編集したものである。ただ、系統だった内容になっていない点についてはご容赦いただきたい。

今後ますます発展してゆくマルチメディアのディスプレイとしての液晶表示素子の用途開発や、まったく液晶とは関係なく、低電力、高輝度、平面状、点状などの性能の必要な光源を使った用途開発などに、本特集号がいささかでもお役に立てれば幸いである。

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