はじめに

最近真空装置内のパーティクルをリアルタイムで連続測定できるinsituパーティクルモニターが注目されている。今回は長年の実績に基づき、研究開発部門のみならず実際の製造ラインにおいての使いやすさ、信頼性向上をめざして開発されたHYT社の最近の製品を紹介する。

センサー

センサーとしては従来から販売されているM-20S、M-25Sなどに加えて、下記の様な種々のセンサーがあり、用途、目的によって使い分けられている(第1表)。

（1）M-70センサー

M-70の特徴は耐熱性に優れ、腐食性ガスやデポによるセンサーの汚れに対しても非常に強いことである。したがってエッチャーやCVDなどのプロセスチャンバー排気ラインに取り付けた場合でも信頼性、メンテ性に優れ、量産ラインにおいても手間がかからない。例えば代表的なW-CVD装置において、約25,000枚クリーニングなしで連続測定の実績がある。

第1図は約4週間にわたる測定例であるが、装置内のパーティクルレベルに対応した各ウェーハ毎のデータが得られている。

構造的には第2図に示すようにレーザー部、ディテクター部などのコンパクトなモジュールから構成されており、装置に簡単に取り付けることができる。既に一部の装置メーカーからはこのセンサーを取り付けるための専用の排気ラインユニットが販売されている。更にレーザー部、ディテクター部の窓にはサファイアを標準で使用しており、腐食性ガスや種々のクリーニング方法に対しても安心して長期間使用することができるようになった。

（2）M-20B／M-25Bセンサー

従来のセンサーM-20S、M-25Sを更に高感度にしたセンサーであり、主な用途としてはロードロックや粗引きライン用として使われている。最小検出粒径は0.19µmであり、現在最も高感度なセンサーである。

（3）M-8330ターボセンサー

アプライドマテリアルズ社のメタルエッチャー専用に開発された新センサーである。新しい検出方法を採用しており、チャンバー内のプラズマ光のある場所でも測定が可能である。センサーの検出感度は0.5µmであるが、ターボポンプ上方のスロットルバルブ部の効率の良い位置で検出できるので、チャンバー内の汚れやトラブルを効果的に測定できている。尚、本製品はAMAT (USA)社との共同開発によるもので、センサー取付のためのフランジは同社より購入できる。

コントローラー(PM-200／PM-250)

パソコン内に装着されるボードタイプであるPM-200と、独立したBoxタイプであるPM-250との2種類あるが、以下のような基本的な特徴はほぼ共通である(第2表)。

• （a）カウントレートは最高1000個／秒であり、短時間での発塵現象もより正確に測定できるようになった。
• （b）8チャンネルのトリガー入力端子を標準装備しており、プロセス装置の動作と同期したトリガー測定の機能が大幅に強化された。
• （c）従来のUSHIO／HYTセンサーを含めすべてのタイプのセンサーを駆動できる。
• （d）センサーからのアナログ信号をパソコン画面で確認でき、ノイズレベルを簡単に確認できる。またユーザーが現場で簡単にスレッシュホールド値を変更できるようになった。これらの機能により誤カウントの心配がなくなり、かつ常に最大の性能を発揮させることが可能となった。

ソフトウェア

従来のデータ取得、表示、保存などの基本機能に加え、保存データの呼び出し、解析機能が強化された。またSECSなどにより上位コンピューターとの接続も容易になり、量産工場において工場全体の管理システムの一部として使用されてきている。

おわりに

このように豊富な実績をもとにした数多くの改良によって、パーティクルモニターは製造ラインにおいても非常に使いやすくなってきた。更にプロセス装置メーカーやデバイスメーカーとの共同開発なども進んできており、in-situモニターは研究開発部門での使用から量産ラインでの活用の段階に入ってきたといえる。

今後は米国での成功例を参考に、日本においても関係各位のご協力を得ながらin-situモニターの発展に努力し続けたい。