USHIO

光技術情報誌「ライトエッジ」No.25(2002年10月発行)

ASET活動報告書 報告 2

F2レーザ光源の超狭帯域・超高繰り返し技術の開発

次世代光源開発室
北栃 直哉* 渡邊 英典** 堀田 和明***
(*現、FLPプロジェクト **現、ギガフォトン支援 ***現、技術本部)

ASETの「F2レーザーリソ技術の開発」プロジェクト1)において、世界に先行するスペクトル線幅0.2pm、繰り返し5kHz、平均出力25Wという露光用超狭帯域・超高繰り返しF2レーザシステムの開発に成功した。本報告では、主として、ウシオ電機からの参加者の大きな貢献により得た成果につき述べる。

1. はじめに(目標と課題)

本開発の目標は、報告1の表1に示したように、スペクトル線幅0.2pm、繰り返し5kHz、出力5mJ/pulseの露光用超狭帯域・超高繰り返しF2レーザの実現であった。超狭帯域化F2レーザは図1に示すように(また、報告1の図2に示したように)、単一硝材CaF2屈折光学系用の光源である。

超狭帯域化を行った場合、出力が減少するので、発振器と増幅器の2台(2-Stage)のレーザを用いるインジェクションロッキングシステムを採用する必要がある。図1に示したように、F2レーザのスペクトル線幅を狭帯域化するほど出力が減少する。すなわち、狭帯域化しないF2レーザでは5mJ/pulse以上の出力は容易に得られるが、狭帯域化光学系を用い狭帯域化すると、F2レーザの自身の特性や低損失な狭帯域化用光学素子が入手困難なこと、などから、1mJ/pulse以下の出力しか得られない。インジェクションロッキング(以下、I/L : Injectionlocking)システムとは、図2に示すように、発振器と共振器を有する増幅器の2台のレーザからなるシステムである。I/Lシステムでは、発振器からのレーザ光を増幅器にタイミング良く同期して導入すると、発振器のレーザ光とほぼ同じ特性のレーザ光(I/L光)が、出力を増して、増幅器から得られる。発振器からのレーザ光はシード(seed)光といわれ、増幅器から得られるレーザ光(I/L光)がこの導入(Injection)されたシード光の特性にロックされることから、インジェクションロッキングと呼ばれる。以上から、図2のように、狭帯域化光学系を用いた発振器からの超狭帯域化シード光を、その出力が1mJ以下であっても、増幅器に同期をとって導入すれば、5mJ以上に出力を増した超狭帯域化I/L光が得られる可能性が大きい。

なお、発振器と増幅器の2台のレーザからなるシステムにI/LとMOPA(Master oscillator power amplifier)とがある。前者は、上述のように、増幅器に共振器を有し、共振器内を多数回往復されて増幅光を得ているが、一方、MOPAにおいては、増幅器に共振器がなく、発振器のレーザ光を増幅器に1回(場合によっては、共振器を形成しない反射鏡を使って、2~3回程度)通すにすぎない。そこで、MOPAから得られる出力はI/Lに比べ小さい。しかし、MOPAの方が発振器からのシード光をほぼ忠実に増幅するので、MOPAとI/Lは使い分けられる。

超狭帯域化・超高繰り返し化I/Lシステムにおける開発課題は、先ずは、スペクトル線幅0.2pmの発振器の開発である。0.2pmは、エキシマレーザにおいても、経験ない超狭帯域化である。しかも、超狭帯域化光学系(図2ではプリズム-回折格子狭帯域化光学系)を構成する低損失の光学素子の入手は難しく、0.2pmの実現の困難性が予想された。次に、F2レーザのI/Lシステムにおいては、発振器と増幅器の同期(シード光の増幅器への導入時間の制御)が重大な課題である。発振器、増幅器の各の動作(放電)開始時間にバラツキであるジッターが生じるため、同期がとりにくく、その結果、I/L光の出力、スペクトル線幅が不安定になるためである。高電圧パルス放電を用いるF2レーザでは、ジッターが大きいことが予想される。また、5kHzの高繰り返し化は、当時の露光用エキシマレーザにおいて、4kHzの高繰り返し化の開発が始まったばかりで、やはり実現が難しい課題と思われた。さらに、F2レーザの分光計測技術が未確立であったため、高分解分光器の開発が課題で、また、157nm領域においては波長の絶対値を校正できる波長基準光源の入手は容易でないため、やはり、この波長基準光源(ランプ)の開発が課題であった。超狭帯域化超高繰り返しF2レーザI/Lシステムの開発課題をまとめると次のようになる。①~④については本報告で、また、⑤については、報告3 で述べる。

  • ①0.2pmの超狭帯域化発振器
  • ②2台のレーザの同期(ジッター対策)
  • ③5kHzの超高繰り返し化
  • ④超狭帯域化スペクトル線幅の計測(高分解能分光器の開発)
  • ⑤絶対波長測定(波長基準光源の開発)

図1 F2 レーザ用露光光学系とスペクトル線幅

図2 超狭帯域化F2 レーザインジェクションロッキング

2. 超狭帯域化発振器の開発―ロングパルス化による超狭帯域化と超狭スペクトル線幅測定用分光器の開発

F2レーザの超狭帯域化のために、先ずは、発振持続時間の長時間化、すなわち、ロングパルス化を行った。図3はArFエキシマレーザにおける発振持続時間によるスペクトル線幅の変化で、パルスの持続と共に、スペクトル線幅が狭くなっていくことが判る1)。狭帯域化のためにはロングパルス化が必須である。

狭帯域化はレーザ共振器内に狭帯域化光学系を設置することによりなされる。狭帯域化光学系としては、図2に記したプリズム-回折格子方式やエタロン方式が候補になるが、露光用KrF、ArFで実用化されており、寿命が長いプリズム-回折格子光学系採用することにした。

2.1 超狭帯域化F2レーザ発振器の開発 -F2レーザにおけるロングパルス化と超狭帯域化-

1)F2レーザのロングパルス化

本開発の以前には、F2レーザのパルス幅は短く、10ns程度の発表が多かった。その理由は、それまでのF2レーザにおいては、バッファガスとしてHe(>4atm)を用いていたからと考えられる。すなわち、Heを用いる場合、放電抵抗が大きく、それ故、放電が短時間で終了すると思われた。従来、NeはF2レーザのバッファガスとしてほとんど用いられてはいなかったが、放電抵抗の低減による放電持続時間の伸長という関点から、Neの採用を実験的に検討することにした。ただし、放電持続時間が長くても、レーザ発振が得られる安定な放電の状態ではなければならない。図3に示したように、ArFエキシマレーザにおいては、ロングパルス化による狭帯域化を成功している。その要因は、優れたウシオ電機の電源技術を基に開発した高速電源により、安定長時間持続放電が実現できたためである1)。そこで、F2レーザにおけるロングパルス化のためにも、高速電源が不可欠と思われた。

以上のように、高速電源を用いかつNeをバファガスに用いることにより、F2レーザのロングパルス化を図ることにした。図4は、バッファガスにHeを用いているが、高速電源(立ち上がり時間:70ns程度)と従来の電源を用いた場合のパルス波形を示す。高速電源を用いた場合のパルスが長くなっていることが判る。図5は、高速電源を用いた場合で、バッファガスとしてのNeの効果をみた実験結果である。Neの導入により、大幅にパルス幅が延びていることが判る。なお、図4および図5の結果は狭帯域化しない(フリーランニング)時のパルス波形である。なお、高速電源は、ArFエキシマレーザにおいてロングパルス化のみならず、高繰り返し化(>4kHz)も容易にした1)。このウシオ電機の高速電源技術は、現在、ギガフォトンに引き継がれ、優れた露光用エキシマレーザを実現している。

図3 ArFエキシマレーザにおけるロングパルス化と狭帯域化

図4 高速電源の効果

図5 Neの効果
(Tis:パルスの持続時間)

2)超狭帯域化

ロングパルス化を行ったF2レーザの共振器にプリズム-回折狭帯域化光学系を用いた時の狭帯域化の結果を図6に示す。

レーザパルス全体での線幅(積分線幅)は0.17pmで、目的とする0.2pm以下になっており、困難と思われた超狭帯域化を実現した。この線幅は自主開発した図7の分光器にて測定した。分光器の詳細を2.2で述べる。分光器の検出器(CCD)の所にストリークカメラと呼ばれる高速度カメラを用いて計測した結果を図6(a)に示す。図6(b)は、図6(a)から計算した、レーザ光強度、スペクトルおよび時間の3次元波形で、そこから、スペクトル線幅(半値全幅)を計算し、時間でプロットしたのが図6(c)である。図6(c)で注目すべきは0.2pm以下のスペクトル線幅になっている時間が35nsも長いと言うことで、これはこれまでに述べたロングパルス化の結果である。この0.2pm以下の時間が長いことが、3で後述するように、I/L成功の決め手の一つになった。

図6 超狭帯域化特性

2.2 超狭線幅測定用分光器の開発

本報の冒頭で述べたように、F2レーザの発振波長157nmはVUV領域にあり、この領域でのVUV分光計測技術は、本開発以前には、未確立であった。そのような状況で、0.2pmという超狭帯域スペクトル線幅を測定できる分光器を外部からの入手することは困難で、自主開発を行った。

ウシオ総研における露光用ArFレーザ(波長193.4nm)の開発において、そのスペクトル線幅の評価のために、分光器を開発していた。これは、図2に示したプリズム-回折格子方式狭帯域化光学系の設計思想を活用したものである。F2レーザに用いる超狭線幅測定用分光器はこのArFエキシマレーザ用分光器を基に、実際の設計・製作は日本分光株式会社と共同で行った。また、コマツ(若林氏、鈴木氏、ら)の保有する優れた分光器技術が開発を成功に導いた。

図7に開発した超狭線幅測定用分光器の構成(a)と外観写真(b)を示す。外観写真では、構成図における検出器CCDの代わりに、ストリークカメラを用いている。設計の詳細は省略するとして、ここでは、開発において特に重大な問題になった分光器内部迷光の対策につき記す。VUV領域では、高感度な検出器がないため、迷光によってS/Nが悪化する。そこで、迷光の主な発生場所と波長領域の特定およびセンサー自体のS/N向上を行うなどして迷光対策を試みた。その結果、センサー前へのアパーチャーの設置とセンサーの冷却がS/Nの向上に効果的であることが判り、同一入射光量で、迷光のみを対策前の1/100に減らすことができた。加えて、反射鏡表面における散乱で発生する光(157nm以外)の除去を目的に光学フィルターを装着し、迷光をさらに1/40~1/80に減少させることに成功した。

実測により、検出器であるCCDの1チャンネルあたり0.0165pmの分解能であり、開発した分光器は高分解能であると評価できる。ただし、分光器のプリズム、回折格子およびスリットなどの光学的特性から決まる関数である装置関数(IF: Instrument function)で、スペクトル線幅が広がって(太くなって)測定される。すなわち、実際に分光器で測定されるスペクトル形状は、入射した光のスペクトル形状にIFを掛け算(convolute)したものになり、スペクトル線幅は太くなって得られる。そこで、真の入射光のスペクトル形状はIFを除す(deconvolute)必要があり、IFを評価しておかなければならない。IFを知るためには、充分に細い光源を用いればよい。充分に細い光源を入射したときの分光器の出力はそのままIFと見なすことができるからである。本プロジェクトでは、IFの評価のため、スペクトル線幅が0.01pmと非常に細いコヒーレント光源を開発している2)。このコヒーレント光源を用いた超狭線幅測定用分光器のIFの評価結果が図8でIFと付したスペクトル形状である。IFの半値全幅は0.1pmとなっている。図8中のConv.と付したスペクトル形状はF2レーザを入射したときの分光器の出力である。図8のDeconv.がConv.とIFから計算したもので、F2レーザの本来のスペクトル形状となる。

図7 超狭線幅測定用分光器

図8 分光器の装置関数(IF)とF2レーザで得られた真のスペクトル形状

3 高繰り返し化

3.1 高繰り返し化とロングパルス化のための低圧Heバッファガスの採用

超狭帯域化を目的としたロングパルス化を行うため、バッファガスとしてNeを用いたことを2.1で述べた。しかし、Neガスを用いた場合の高繰り返し化は容易ではない。一方で、バッファガスとしてHeを用いると、放電抵抗が大きくロングパルス化が難しいが、Neの場合に比べ、高繰り返し化が容易である。開発方針としてNeを用いて高繰り返し化を進めるということが、当然、一つの選択枝になる。しかし、Neを用いた理由、すなわち、放電抵抗が小さいからNeを用いたことを再考して、Heを用いても従来の4気圧程度のガス圧を低くすれば放電抵抗が減らされるのではないかと発想し、実験的に確かめた。

図9はHeバッファガスの圧力を300kPaと低くした場合の放電電流波形である。比較のために、Heガス圧350kPaの場合とNeバッファガスの場合の電流波形を示す。Heバッファガスの場合、通常は大きな出力を得るため、400kPa程度のガス圧にしており、350kPaでも低ガス圧である。図9から、Heバッファガスの場合でもガス圧を300kPa程度に低くするとNeバッファガスのときと同じように放電抵抗が低減し、放電が長い時間継続していることが判る。図10は300kPa のHeバッファガスを用いた場合の狭帯域化の一例である。分光器の装置関数を除さない場合(Convolve)の測定値ではあるが、Neバッファガスを用いたとき同じように、30ns程度に亘り0.2pm以下のスペクトル線幅が得られていることが判る。

以上から、Heバッファガスでも300kPa程度に低圧して用いれば、所望する超狭帯域化特性が得られることが判った。そこで、5kHzという超高繰り返し化の実現のため、Heバッファガスを採用することにした。

図9 Heバッファガスの低圧化による放電抵抗の低減

図10 Heバッファガスでの超狭帯域化

3.2 5kHz超高繰り返し化の実現

図11に低圧Heバッファガスを用いた場合の繰り返し特性を示す。狭帯域化を行っていない時(Freerunning)の特性である。出力エネルギーは5kHzに近づくに従い、減少気味で、また、安定度も悪くはなっているが、5kHzの超高繰り返し動作が実現している。出力エネルギーは、Heバッファガス圧が300kPaと低く、また、高繰り返し用の動作条件にしているため、5mJと小さい。しかし、I/Lシステムにおいては、増幅器で5mJ程度の出力エネルギーが得られれば、5mJ以上のI/L光が得られることを確かめている。

kHzの超高繰り返しが実現したのは、以上述べたように、Heバッファガスを低ガス圧(300kPa)で用いたからである。Neバッファガスで高繰り返し化開発を行うかどうかのターニングポイントにおいて、発想の転換ができたからである。

図11 5kHz超高繰り返し動作

4. インジェクションロッキング特性

インジェクションロッキング(I/L)システムにおける重大な課題は、1.で述べたように、発振器と増幅器の動作(放電)開始時間の同期である。すなわち、発振器からの超狭帯域化シード光を増幅器へ導入するタイミングがずれないように同期をとる必要がある。同期がとれないと、I/Lから得られる出力やスペクトル線幅が不安定になるからである。しかし、高電圧パルス放電を用いるF2レーザの放電開始時間にはバラツキであるジッターが生ずるため、同期をとることが困難になる。I/Lの成功の決め手はジッター対策にある。

図12および図13はI/L実験系の写真と構成図である。

図12 I/L実験系の写真

図13 I/L実験系の構成図

4.1 インジェクションロッキング特性(遅延時間特性)

I/Lシステムにおいて、同期をとるということは、図14に示すように、発振器からのシード光を増幅器の動作(放電)開始時間を遅延させて導入するときに、その時間である遅延時間のタイミングを図るということである。なお、図14における増幅器利得(サイドライト)とは増幅器における放電光すなわち放電入力の波形である。

図15は、図10に示した発振器からのシード光を増幅器に導入した場合の、5kHzの超高繰り返し動作におけるスペクトル線幅、出力エネルギーおよび出力安定度の遅延時間特性である。35ns以上という長い遅延時間幅に亘って、スペクトル線幅、出力エネルギーおよび出力の安定度が、同時に、各の目標値である0.2pm以下、5mJ以上および10%以下になっていることが判る。以下では、目標値が得られる遅延時間幅をジッター許容時間と呼ぶことにする。図15から、このジッター許容時間が~35nsと長いことが判る。このことから、ジッターがあったとしても、±17.5ns以下に抑えることができれば、遅延時間をジッター許容時間の真ん中(図15では約47ns)に設定することにより、スペクトル線幅などの目標値が安定に得られることになる。長いジッター許容時間が得られたのは、2.1で述べたように、ロングパルス化に成功したからである。

ジッター補正技術の開発により、ジッターをジッター許容時間内の±10ns以下に抑えることできることが判った3)。これで、我々のF2レーザI/Lシステムにおいては、ジッターの問題が解決されたことになる。

F2レーザのI/Lにおいては、ジッターにより発振器と増幅器の同期をとることの困難性が予想されたが、以上より、ロングパルス化によるジッター許容時間の長時間化とジッター補正回路により、F2レーザI/Lシステムにおいて安定な動作が得られることが判った。本開発により、F2レーザI/Lシステムの産業応用の可能性が実証されたと思われる。

図14 I/Lでの遅延時間

図15 I/Lの遅延時間特性(5kHz動作)

4.2 F2レーザインジェクションロッキングシステムで得られた性能

表1にF2レーザI/Lシステムで得られた特性を、目標値と共に、まとめる。全ての項目で目標値を達成した。

表1 インジェクションロッキングF2レーザで得られた特性

5. 考察とまとめ

これまで述べてきたことを、次に箇条書きで、ま とめる。

  • ①均一放電を得るための高速立ち上がり電源と放電抵抗を低減するためのNeバファガスを採用することにより、ロングパルス化が実現し、その結果0.2pmという超狭帯域化スペクトル線幅を得た。
  • ②ロングパルス化によるジッター許容時間の長時間化とジッター補正技術の開発により、インジェクションロッキング(I/L)システムの開発に成功した。
  • ③高繰り返し化はHeバファガスを用いた方が容易である。そこで、Heバファガスでも低ガス圧にすれば放電抵抗の低減ができるのではないかと発想し、低ガス圧Heバファの採用による超狭帯域化超高繰り返し化を試みた。その結果、Neバファガスと同様のロングパルスが得られることが判り、0.2pmのスペクトル線幅が得られ、かつ、5kHzの超高繰り返し動作が実現した。
  • ④Heバファガスを用いた発振器および増幅器とジッター補正回路などからなるI/Lシステムにおいて、0.2pm以下の超狭帯域化、5kHz以上の超高繰り返し化など全ての目標値を実現した。
  • ⑤0.2pm以下のスペクトル線幅の測定ができる分光器を開発した。

I/Lを採用した露光用超狭帯域化・超高繰り返しF2レーザの開発に成功した要因は、ロングパルス化による超狭帯域化の実現、Heバッファガスでのロングパルス化と超高繰り返し動作の実現およびジッター補正技術の開発にある。

2台(発振器と増幅器の2-Stage)を用いる本報のI/LやMOPAおいて、特に、問題になるのが同期である。高電圧パルス放電により発振を得るKrF、ArFエキシマレーザやF2レーザにおいては、ジッターの発生は避けられないためである。しかし、本開発で行ったように、ロングパルス化によるジッター許容時間の長時間化とジッター補正技術によれば、同期の問題が解決できることが判った。本開発により、I/LやMOPAの2-Stageシステムの産業応用が可能になったといっても過言ではない。

謝辞

ASETの本プロジェクトにおけるI/Lシステムの開発はウシオ電機、コマツ、ギガフォトンからの参加者が一丸となって実行した。その参加者の中でも、特に、中尾室長*、納富*、有我*、中野*、笹野*、熊崎*、植野**、菅沼*、小西*、山下*、中池**、藪*、(*コマツから参加者、**ギガフォトンからの参加者)の各位には深謝いたします。また、分光器の開発において、多大な教示を受けた若林、鈴木(ギガフォトンからの参加者)の両氏に深謝いたします。

また、本開発を始めるにあたり、議論に加わって貰った当時URITの柿崎氏(現、ギガフォトン出向)に感謝いたします。

本報告の研究は、経済産業省プロジェクト「F2レーザーリソ技術の開発」の一環として、技術研究組合超先端電子技術開発機構(ASET)が新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から委託されて実施した。

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