USHIO

(2016.09)
第28回 青森県滅菌消毒研究会

UVC(222 nm)発生機器の殺菌、消毒機器としての有用性

弘前大学 成田 浩司, 中根 明夫,
ウシオ電機 森本 幸裕, 五十嵐 龍志

紫外線は波長によりUltraviolet(UV)-A(315nm~400nm)、UV-B(280nm~315nm)、UV-C(200nm~280nm)に分類される。その中でUV-C、特にUV-C(254nm)は最も強い殺菌効果を示すため、殺菌灯などに汎用されている。UV-C(254nm)は細菌のDNA損傷を誘発し殺菌作用を示すが、ヒト細胞のDNAに対しても細菌と同等のDNA損傷を誘導し、皮膚がんや白内障を引き起こすことが知られている。一方、UVC(222nm)は細菌のDNAには損傷を与えるが、ヒトの核には到達せずDNA損傷を起こさないことが報告されている。そこで、本研究ではUVC(222nm)発生機器の殺菌、消毒機器としての有用性を検討した。黄色ブドウ球菌と緑膿菌を1.5%寒天加Tryptic soy broth培地に接種し、30mJ/cm2、120mJ/cm2のUVC(222nm)を照射後、37℃で培養したところ照射部に一致してコロニー形成は見られなかった。次に、皮膚に対する殺菌効果を調べるためにマウスの背部を剃毛後、黄色ブドウ球菌を皮膚表面に接種した。菌液を60分風乾後、UVC(222nm)を50mJ/cm2、100mJ/cm2、300mJ/cm2を照射し、その後、菌液接種部の皮膚を切除、皮膚の生菌数を算定した。未照射群に比べ50mJ/cm2、100mJ/cm2、300mJ/cm2照射群の生菌数は有意に低下していた。30mJ/cm2の照射時間は5秒、50mJ/cm2の照射時間は9秒であり、短時間照射により有意な殺菌効果が認められたことから、UVC(222nm)発生機器は皮膚における殺菌、消毒に有用であることが示唆された。

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