LED素子/パッケージ

汎用性の高いハイパワーLEDパッケージ
SMBBファミリー/EDCファミリー

2020.11.26

幅広いラインナップを誇るウシオの産業用LED「epitex(エピテックス)シリーズ」は、紫外(UV)・可視・赤外(IR)の各波長領域での単波長、多波長もしくはそれらの組み合わせなど、アプリケーションに合わせた最適な様々なカスタマイズが可能です。
ここでは、そのepitexシリーズの中から、汎用のハイパワーLED用パッケージとして多彩な波長バリエーションをラインナップしている「SMBBファミリー」と「EDCファミリー」をご紹介します。
 

SMBBファミリー

マルチチップ搭載可能

epitexシリーズを代表する「 SMBBファミリー」は、非常に汎用性の高いLEDパッケージです。優れた排熱特性を実現する銅ヒートシンクを搭載した5mm×5mmのフットプリントのパッケージで、シングルチップの製品とマルチチップの製品をご用意しています。
1mm×1mmの高出力チップを1個(マルチチップ製品の場合は3個まで)搭載することができます。同じ波長のチップを3枚まで搭載し、最大3倍の出力を実現することも可能です。またLEDチップとともにフォトダイオードを搭載することで、照明と受光を1パッケージで行うことも可能です。

豊富で多彩な製品ラインナップ

SMBBファミリーの中には、世界初のユニークな製品も存在します。2019年に発表した「スペクトロ」シリーズは、可視~IRブロードバンドLEDとしては世界最高出力160mWを達成しました。従来のハロゲンランプに比べてはるかに長寿命であることから、分光・分析・検出・診断などのさまざまな用途にむけ、量産化準備中です。
2020年には、短波長赤外(SWIR)LEDのDタイプをリリース。従来から世界最高出力・最高効率であったSWIR-
LED Sタイプに比較して最大4倍の出力を達成しました。
「スペクトロ」シリーズ、SWIR-LED Dタイプをはじめ、高出力チップは排熱特性に優れたSMBBパッケージに搭載することでLEDの性能を低下させる熱を十分に除去することが可能となり、最高の出力特性を得ることができます。

豊富なレンズバリエーション

様々な用途に対して、LEDの光を最大限効率よく使用するためには、熱的なケアだけではなく、出力された光を正確に所望の領域に照射することが必要です。広範囲に光を照射することが適している場合もあれば、光を絞って(集光して)照射する必要がある場合もあります。ウシオは、これらの課題を解決するために、ユニークな配光特性を具現化するシリコーン樹脂レンズを開発しました。
 

例えば、850nmのLED、SMBB850DS-1100-** (**はレンズタイプを示す)の総出力は1400mWですが、放射強度(光軸上の単位立体角当たりの光束)は選択したレンズに依存します。レンズなしフラットタイプの場合、放出光の広がりを示す放射発散角は±64°と大きく、放射強度は460mW/sr(ミリワット/ステラジアン)となります。集光性の高い高輝度出力を必要とする用途には、02レンズタイプを用いると、放射発散角はわずか±10°となり、放射強度は6000mW/srにまで高めることができ、狭い領域を高照度で照射したい場合に最適です。また03レンズ、05レンズはフラットタイプと02レンズの中間の特性を持つレンズです。
 

SMBBファミリーのアプリケーション例

ハイパワーチップの性能を発揮させる高い排熱特性、マルチチップ搭載可能、放射発散角を選択可能なSMBBファミリーは様々な用途に使用されています。
  • ・ナンバープレート自動認識(ANPR):ハイパワーのIR光を挟角(02レンズ使用)で遠方へ証明することで、より遠くからでもナンバープレートを読み取ることができます。また、マルチチップ搭載よる高出力化はANPRのさらなる精度アップに貢献します。
  • ・バイオメトリクスと真贋鑑別。多波長・高照度照明が必要でありSMBBファミリーが広く使用されています。
  • ・半導体ウェハーやソーラーパネルの欠陥検査。高出力SWIR-LEDが使用されSMBBファミリーが良く使用されます。
  • ・監視カメラの分野では、ANPRと同様に、高出力SMBBパッケージ(02レンズ)による遠方投影により鮮明な画像を捉えます。
  • ・食品などの光学選別;高速での選別にはよりハイパワーの照明が必要であり、SMBBファミリーが威力を発揮します。
  • ・インク乾燥。高速インク乾燥のため、高照度のUV照射が求められ、SMBBファミリーが最適な照明を提供します。
  • ・煙検知。多波長・高照度照明が使用されます、マルチチップのSMBBファミリーが使用されています。
  • ・太陽シミュレータ。SMBBファミリーはUVからSWIRまでの全スペクトルを同じパッケージでカバーすることができます。

 

EDCファミリー

ハイパワー・小フットプリントを実現するEDCファミリー

ハイパワーLEDの主力パッケージである「SMBBファミリー」。より小さなフットプリントのパッケージを求める声にお応えし、SMBBクラスの排熱特性を保ちながら小フットプリントを実現するパッケージとしてフットプリント3.5mm×3.5mmのEDCパッケージを開発しました。
EDCパッケージの特徴である理想的なヒートシンクとして機能するセラミックベースを採用したEDCファミリーは、1mm×1mmのシングルチップを実装しており、シングルチップのSMBBファミリーと同様の用途での使用が可能です。またSMBBファミリー同様に、365nmから1650nmまでのすべての波長をカバーしています。EDCファミリーはSMBBファミリー同様のハイパワー照射をより高いスペース効率で実現するのに最適な製品です。
EDCファミリーは、フラットとS5の2種類のレンズタイプのいずれかを選択可能です。フラットレンズタイプは放射発散角が±66°の広角照明であるのに対し、S5タイプのレンズでは、より狭角(±39°)の照明を実現しています。

EDCファミリーに適したアプリケーション

SMBBファミリー同様ハイパワー照射が必要な用途、特にスペース効率が重要視される用途に最適です。
  • ・半導体ウェハーやソーラーパネルの欠陥検査
  • ・食品等の光学選別
  • ・ソーラーシミュレータ。
 

epitexシリーズについて

epitexシリーズは、365nmから1750nmまでの紫外、可視、近赤外、SWIRの波長をカバーしており、その性能・品質には30年以上のチップ技術(エピタキシャル成長、プロセス等)及びパッケージング技術(放熱設計、光学設計等)の豊富な経験が活かされています。またパッケージもEDC、SMBB、SMT、マルチチップSMTなどの標準パッケージに加え数多くの形態のパッケージをご提供しています。