USHIO

光技術情報誌「ライトエッジ」No.6(1996年5月発行)

平成8年電気学会全国大会 講演論文集

平成8年電気学会全国大会
127 沿面放電型エキシマランプの基礎研究 (4)
Fundamental studies on an excimer lamp with a surface discharge (4)

上林正典、猪原哲、石峯真佐志、佐藤三郎、山部長兵衛(佐賀大学)
松野博光(ウシオ電機)
Masanori Kamibayashi, Satoshi Ihara, Masashi Ishimine, Saburoh Satoh, Chobei Yamabe (Saga University),
Hiromitsu Matsuno (*: USHIO Inc.)

1.まえがき

紫外光および真空紫外光は非常に高いエネルギーを持つため、半導体などの表面改質の分野や、医学分野などに利用されている。これらの光源としては、エキシマレーザのようなコヒーレント光と、エキシマからの自然放出光(インコヒーレント光)を利用するエキシマランプがある。特に、大出力で高効率ならびに広い面積での物質表面処理が期待できるエキシマランプの利用が最近注目されるようになってきた1)2)。そこで今回の研究では、エキシマ用励起方式として沿面放電を用い、この時の光出力測定などの基礎的な実験を行った。

2.実験装置および方法

図1に実験装置配置図を示す。窓材の材質はCaF2で、カットオフの波長が150nmである。また図2に沿面放電の電極概略図を示す。電極間の誘電体であるアルミナセラミックの厚さはt=0.5mmである。実験方法は、電極の入った容器内部をXeガスで封入し、ガス圧を0.6~2.0気圧に変化させて測定を行った。放電電極にはピーク間電圧でVp-p=3~6[kV]、周波数が14kHzの正弦波電圧を印加し沿面放電を起こした。放電時の電力は、印加電圧波形を高圧プローブ(Tektronix P6015)で、0.1μFのコンデンサを通る電荷量波形をオシロスコープで観測し、これらの波形からリサジュー図形を描かせ測定した。また、電極部分でおこった放電光が紫外光であることを確認し、この紫外光の発光強度をDCμボルトメータで測定した。さらに、このランプの発光強度の時間変化を測定した。

Fig.1 Experiment set up

Fig.2 Electrodes of a surface dischage type

3.実験結果および検討

この沿面放電によりXe2*エキシマ光(172nm)がでていることを発光スペクトルから確認した。また、発光強度の時間変化の測定の結果、発光強度が急激に減衰した。これは、UV光放射などにより装置内壁からの脱ガスによる不純物の影響ではないかと考え、内部ガス中からの発光スペクトルを調べた。その結果、465nm付近の発光が確認された。この時の発光素子印加電圧波形および発光強度の波形を図.3に示す。この結果、この脱 ガス中に0+などの紫外光を吸収するような原子が混ざっていることが推測される。その他に419nm(0+)、392nm(C+)の発光も確認された。

Fig.3 Applied voltage(upper) and emission intensity of 465nm(lower) with time

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