レーザーダイオード(LD)

製品・技術 距離計測や3D形状計測で用いられるレーザーダイオード(LD)

2021.02.16

重要性を増す距離・3D形状計測

スマートフォンでの写真撮影時におけるピント調整や、日曜大工の際の壁から柱までの距離計測、工事現場や農地管理での長距離計測をはじめとした非接触での距離の計測は、現在では日常のあらゆる場面で欠かせないものとなっています。

そして、非接触での距離計測の用途が多岐にわたっているため、計測に用いられるプローブ(道具)も様々なものがあります。その中でも、距離計測あるいはそれを拡張した3D形状計測に最も多く使われているのはレーザーの光です。

レーザー光による距離・3D形状計測方法の分類

レーザー光による距離計測の方法は、計測しようとする距離や精度によって分類できます。

まず、mm(ミリメートル)~m(メートル)程度の距離の計測では、計測対象にレーザー光を照明し、レーザー光軸からずれた位置から計測対象上のレーザー像を計測する方法が使われます。これは地形図を描くときに用いられる三角測量(Triangulation)と同じ原理です。同じく計測対象にライン状のレーザー(ラインレーザー)光を照明し、ラインレーザー像の変位をイメージセンサで捉えて3D形状情報に変換する光切断法(Optical cutting method)もその一つです。また、回折光学素子で生成したランダムドットを照明し、その変位を捉えて3D形状を得る計測も同じ原理に基づいており、スマートフォンでの顔認証などで利用されています。

次に、m(メートル)~km(キロメートル)の距離の計測には光が対象物で反射して帰還するまでの飛行時間(Time of Flight:ToF)に基づく方法が多く用いられます。ToF計測はレーザー光の出射から帰還までの時間を計測する直接ToF(dToF)と出射光と帰還光の位相差を検出する間接ToF(iToF)に分類されますが、いずれも長距離先にある対象物からの帰還光を十分な強度で捉えるためにパルス・ハイパワーのレーザー光が用いられます。さらにToF計測はレーザー光を3次元でスキャンすることで3Dでの距離計測を行うライダー(Light Detection and Ranging: LIDAR)として、自動運転や建築現場、さらにはインフラ管理などに応用が広がっています。

最後に、μm(マイクロメータ)以下の微視的な距離・3D形状計測では共焦点(Confocal)光学系や干渉計(interferometer)を用いた計測が用いられます。特に前者は共焦点顕微鏡として、工業用途に留まらず細胞の3D形状の計測に広く用いられ、ライフサイエンス分野においては必要不可欠な存在です。

距離・3D形状計測に用いるレーザーの選択

本記事では三角測量計測およびToF計測に用いられるレーザーの選択について説明します。いずれの計測も高い空間分解能を得るために計測対象への照射スポット径(あるいはライン幅)を小さくする必要があるため、一般的には横シングルモード(Transverse single mode)レーザーが用いられます。

レーザー波長の選択には多くの要素が関連します。レーザーダイオードの発光効率は現状では近赤外域(700-1000nm)が最も高い一方、光検出器で最も多く用いられるシリコン(Si)センサは、500-700nm帯が最も高感度となるものが多いため、システムのトータル効率を考慮して、赤色帯(630-700nm)のレーザーダイオードが広く用いられています。それに加え計測対象への照射スポットを視認したい場合、例えば日曜大工用のハンディな非接触距離計(測距計)などは、主に視認性の高い630-660nmのレーザーダイオードが用いられます。また計測対象材料や状態によっても適した波長は異なることがあります。例えば透明なプラスチックやガラスの形状計測では、赤色帯よりも表面での反射率が高い青紫色レーザーダイオードが用いられることがあります。また、青紫色のレーザーは擾乱を与える散乱光が赤色帯よりも小さいため、金属光沢を持つ対象での計測にも用いられることがあります。

レーザーダイオードの出力値は計測の形態により、様々なレンジのものが選択されます。長距離の計測や、高速スキャンを求められる計測には、高出力が求められる一方、レーザー利用時の安全確保の観点から低出力のレーザーが用いられる場合もあります。出力に関して、特にToF計測の場合、原理上、レーザーはパルス動作されるので、パルスでの出力がレーザーダイオード選択の要素となります。
したがって、一般的な計測システムと同じく、レーザーダイオードの電力効率の高さ、許容動作温度の高さなどは、距離・3D形状計測においても重要な要素です。

距離・3D形状計測に適したウシオの製品例

ここで、ウシオのレーザーダイオード(LD)の中から、距離・3D形状計測に適した製品例をいくつかご紹介します。

はじめに、波長660nm、光出力110/210mW (CW/パルス)のHL65241DG/HL65242DG/ HL65243DGをご紹介します。これらはLDの結晶成長条件の最適化により業界最高水準の高温動作(max.90℃)を実現した製品です。例えば、屋外環境で使用される計測機器など、高温条件下での動作を必要とする機器に最適な製品となります。

次に、より視感度の高い波長639nmで、シングルモードとしては世界最高レベルの200mWを実現したのがHL63391DG/HL63392DGです。計測対象上のレーザー像を視認したい場合、またハイパワーを活かしての長距離の計測や大きな対象物の計測に適しています。

加え、波長660nmでより高い出力、210/420mW (CW/パルス,-10~+60℃)を達成したHL65221DG/HL65222DG/HL65223DGも、ハイパワーを活かした長距離の計測や大きな対象物の計測に適しています。特にパルス動作において高い出力が得られるのでToF計測に最適です。また最大75℃での動作が可能であることも機器実装上の大きなメリットと言えます。

最後に、より波長が短い405nm(青紫色)のレーザーは前述の通り、透明なガラスやプラスチック、金属面を対象とする計測に良く用いられます。波長405nmのHL40071MGは300mW (CW)の光出力で、長距離あるいは高いスキャン速度を必要とする3D計測に適しています。
なお、これらの製品はすべて、φ5.6mmの小型TO-CANパッケージを採用した横シングルモードの製品です。またCANパッケージ内にはレーザーパワーをモニターするためのフォトダイオードが内蔵されており、光出力制御が容易に実現できます。


上記のほかにも測距・3D形状計測に適した製品がありますので合わせてご紹介します。

型式        波長(nm)       CW光出力(mW) Pulse光出力(mW)
  HL6544FM 660 50 -
  HL6545MG 660 120 300
  HL65051DG/HL65055DG 660 120 -
  HL67191MG/HL67192MG 670 15 30


これら以外にも、ウシオのレーザーダイオードは幅広いラインアップでご要望にお応えていします。詳しくは製品検索ページをご覧ください。
 

 

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