レーザーダイオード(LD)

製品・技術 共焦点顕微鏡に用いられるレーザーダイオード

2021.06.16

様々な分野で重要性を増す共焦点顕微鏡


光学顕微鏡の中でも非常に空間分解能が高い共焦点顕微鏡は、バイオメディカル分野における細胞イメージングや半導体分野における高精度形状測定など、その利用が広がっています。その原理は、点光源を試料に投影し、試料の像位置にピンホールと検出器を配置した「共焦点光学系」です。共焦点顕微鏡の発明(1957年、M.Minsky) はレーザーの発明(1960年)前であり、当初はランプ光源が用いられていましたが、現在ではほとんどでレーザーが使用されています。これはレーザーが非常に高輝度であり光束の利用率が高いことに加え、バイオメディカル用途で重要な蛍光観察に必要な波長の単色光を供給できるためです。

蛍光観察を行うための蛍光試薬の開発の歴史は、UVランプやガスレーザー等入手可能であった光源の歴史と強く結びついています。例えば365nm (UVランプのi線)や488nm (アルゴンイオンレーザー) を励起波長にもつ蛍光試薬が用いられるのはその名残と言えます。バイオメディカル用の共焦点顕微鏡で用いられる励起波長例としては、405, 488, 514, 561, 594, 640, 647nm等が挙げられ、多くに半導体レーザーが用いられています。

共焦点顕微鏡の走査方式による分類と使用されるレーザー

共焦点光学系は1点のみを検出する構成であり、画像形成のためには試料上の検出位置を走査する必要があります。走査は試料ステージの移動とガルバノミラーなどによる光源ビーム走査の組合せで行われます。検出点が一点のみのシングルスキャンタイプの共焦点顕微鏡には光の伝送・利用効率上の理由から横シングルモードのレーザーが用いられます。

多数(数千~数万個)のピンホールをらせん状に精密に配置した回転ディスクにより多数の検出点の試料上での走査を可能にしたのがスピニングディスク式と呼ばれる共焦点顕微鏡です。スピニングディスク式はレーザー光を多点に分割して走査するので、光照射による観察対象細胞の劣化(光毒性)や蛍光試薬の褪色を抑制することができます。スピニングディスク式共焦点顕微鏡には横シングルモードレーザーに加えてマルチモードのレーザーも使用可能です。

いずれの方式もレーザーの出力はおおよそ20-100mW程度のものが多く用いられますが、近年は画像再構成による高解像度化等の手法の発展に伴い、より高出力なレーザーも使用されています。

共焦点顕微鏡に適したレーザー製品例

ウシオのレーザーダイオードの中から、共焦点顕微鏡に適した製品例をいくつかご紹介します。

波長405nm、光出力300mW (CW)のHL40071MGは、シングルモードとしては最高水準の光出力を実現したレーザーダイオードで、共焦点顕微鏡をはじめ、広くバイオメディカル分野における蛍光励起用に適した製品です。

同じく405nmのHL40113MG/HL40115MGはマルチモードで600mWの光出力の製品で、スピニングディスク式共焦点顕微鏡への利用の他、蛍光励起においてハイパワーが必要な場面にも適した製品です。

640nm帯、647nm帯もまた共焦点顕微鏡において広く使用される波長で、HL63391DG/HL63392DGは640nm帯の、HL65014DGは647nm帯の、それぞれシングルモードの製品かつすべてのタイプの共焦点顕微鏡に適用が可能な製品です。

ここに紹介した製品はすべて、φ5.6mmの小型TO-CANパッケージを採用した製品です。またCANパッケージ内にはレーザーパワーをモニターするためのフォトダイオードを内蔵しており、光出力制御が容易に実現できます。

ここにご紹介した製品以外にも、ウシオのレーザーダイオードは幅広いラインアップでご要望にお応えします。詳しくはウシオ レーザーダイオード 製品紹介ページをご覧ください。
 

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