LED素子/パッケージ

色食の安全と品質を守る光学式食品選別に用いられるLED

2021.06.15

農業および食品加工産業は、世界的に増え続ける人口に対応するため、長年様々なオートメーション化を進めてきています。その中でも光学的な食品選別のオートメーション化は比較的古くから行われています。 

オートメーション化に用いられている技術において、以前は蛍光ランプによる可視光とハロゲンランプによる赤外光が用いられていましたが、近年の食の安全に対する意識の高まりや、グローバル化した市場の到来とともに、より多機能な食品選別が行われるようになっており、従来の単純なランプ照明から多波長、点滅等の機能を持たせたLEDによる照明が欠かせなくなっています。

ウシオのLEDデバイスである「Epitexシリーズ」は、様々な検査アプリケーションに用いられる紫外線、可視光、赤外線の幅広い波長域(365~1750nm)をカバーする産業用LEDです。また複数波長のエミッターやフォトセンサーを一つのパッケージ化することも可能なため多波長照明やセンシング機能も含む照射器を構成可能です。したがって、光学式食品選別の分野においても目的に合致した最適な照明を提供します。 
 

人の目を超える品質検査を実現

光学式食品選別の基本原理は、光源とセンサーあるいはカメラの組み合わせによる測定対象物の分光吸収(あるいは反射)率計測に依っています。光学式食品選別システムは、この分光計測に基づき検査、識別、分離のすべてを自動化しています。従来は例えば収穫した作物中の異物除去のような比較的単純な二値選択が主でしたが、近年では果物を形、大きさ、重さ、色、欠陥、糖度の度合いなどで分けるような複雑な分類システムが実現されています。

また食品加工の現場では、例えばフライドポテトを調理する際に、光学式選別システムを使ってその製造ロットを監視し、ポテトの形状、調理度合いといった品質が許容範囲内であるかどうかを判断し、基準から外れたフライドポテトは瞬時にロットアウト(廃棄)されるため、最終消費者に届けられる商品は一貫した製品基準を維持することができます。

なお、選別したい対象や項目により、最も効果的な結果を得るため光源、波長は異なります。ウシオでは、穀物、ナッツ、果物、野菜、加工食品など、さまざまな素材に対して、UV、可視光、近赤外線(NIR)、短波長赤外線(SWIR)LEDの中から、最適な波長をご提案します。
 

成分分析の主役は赤外域

水分、糖分、タンパク質などの成分分析でも光源は使用されます。果物、野菜、加工食品などは多くの有機物から構成されており、有機物の多くは1,000nm〜1,750nmにおいて特徴的な吸収を有します。この波長域の分光的情報がこれらの成分のモニタリングに利用できるため、ため近年、短波赤外線(SWIR)LEDに大きな注目が集まっています。 

例えば、水分、糖分、タンパク質は、SWIR域に特徴的な吸収を有します。焼いたクッキーの水分量、果物中の糖分、穀物中のたんぱく質など、さまざまな対象物がSWIRの光を用いて分光計測されます。また肉眼では傷がないように見える果物も、傷の部分の水分量の変化をSWIR域の光で捉えることで傷の検出が可能となります。このように赤外域の光は人の目に見えない成分や対象物の状態が検出可能です。
 


光学式食品選別の実例

光学式食品選別の実例を下記の2つの模式図でご紹介します。
 
 
 

光学式食品選別に貢献するウシオのLED Epitexシリーズ

最後に Epitexシリーズのラインナップの中から光学式食品選別に適した製品をご紹介します。最も汎用性の高いハイパワーLEDパッケージである「SMBBシリーズ」は、排熱性に優れた5 x5 mmパッケージで、シングルチップまたはマルチチップタイプがあります。3チップまで搭載可能なため、食品選別に必要な複数波長を組合せる、あるいは更なる高照度のために同じ波長のチップ搭載するということが可能です。

次にSMBBシリーズより小さなフットプリントが実現可能なのが「EDCシリーズ」です。パッケージサイズは3.5x3.5mmで、照射器を小型化したい場合に最適なパッケージです。

成分分析に最適なSWIR LED Dタイプ

前に述べた通り、SWIR域(1,000-1,750nm)の光は特に成分分析に対して有効な波長となります。ウシオはこのSWIR域のLEDを多くラインアップしており、その中でも最もハイパワーなフラッグシップモデルが世界最高水準の出力と効率を実現した「Dタイプ」です。
 

0.35mm角のDタイプチップはSMTまたはモールドタイプのLEDパッケージに、1mm角のDタイプチップはEDCSMBBTO-66パッケージに実装されます。SWIR域の大半の波長において、従来のSタイプと比較して出力と効率が2倍以上向上しています。

NIR(700-1,000nm)域の高出力LED Epitex DSタイプ

近赤外(NIR波長700〜1,000nm)の波長域は赤外線の中でも可視光に最も近い領域であり、広く普及し、高精細なCMOSセンサでの計測が可能であるため、同じく有機物の検出に適した波長領域となります。

Epitexシリーズの中でも高速、高精細な計測に寄与する、最もハイパワーなNIR域LEDは「DSタイプ」です。業界最高出力を誇るDSタイプを使用することにより、計測の高速化、鮮明化、計測精度の向上を図ることができます。更に同じ光量での比較した場合、必要なLEDパッケージ数を減らすことができるため、照射器の小型化、コストダウンが可能となります。
 


ウシオのEpitexシリーズは、波長域365nm~1750nmで中心波長は1000nm以下で20nm刻み、1000nm以上で100nm刻みの製品をご用意しており、今回ご紹介したSWIRおよびNIR域LEDをはじめ、UV~SWIR(365~1750nm) をカバーする多くのLEDをラインアップしています。食品選別のアプリケーションをはじめとして、お客様のご要望に最適なLEDをご提案いたします。

詳細はこちらをご覧ください。

  • Epitexシリーズについて

    epitexシリーズは、365nmから1750nmまでの紫外、可視、近赤外、SWIRの波長をカバーしており、その性能・品質には30年以上のチップ技術(エピタキシャル成長、プロセス等)及びパッケージング技術(放熱設計、光学設計等)の豊富な経験が活かされています。またパッケージもEDC、SMBB、SMT、マルチチップSMTなどの標準パッケージに加え数多くの形態のパッケージを提供しています。