2014年10月1日付でウシオ電機代表取締役社長に就任した浜島健爾です。
この度、ウシオ電機の陣頭指揮を執るにあたり、過去24年間北米で経営に携わってきた経験を活かし、 「光」を切り口とした最先端分野に注力することで、新機軸を創出いたします。さらに、グローバルな視野と透明性の高い経営で皆さまのご期待にお応えし、ウシオグループの更なる発展に向けて全力を尽くしてまいります。
2015年7月
代表取締役社長・CEO
当期の業績は、売上高が前期比1.0%増収の1,593億円、営業利益が14.5%減益の103億円となりました。セグメント別には、装置事業が減収減益、光源事業が増収増益でした。
装置事業における映像装置では、シネマ分野において全世界のシネマスクリーンの約95%がすでにデジタル化を完了しているとみられることから、デジタルシネマプロジェクタの販売台数は前期より半減しました。一方、一般映像分野では、製造工程の開発評価用(デザインレビュー等)で使用されるバーチャルリアリティシステムや訓練用シミュレーションシステムなど、当社の映像システムを使用する機会が全世界に広がり販売が拡大しましたが、デジタルシネマプロジェクタの販売減少を補うにはいたりませんでした。光学装置では、引き続き堅調に推移しているスマートフォン需要に支えられ、関連した電子部品向け光学装置の販売が拡大したものの、EUV光源事業縮小の影響や主力のパソコン向けパッケージング用露光装置の販売減少および液晶パネル製造用光配向装置の検収遅れによる期ずれが想定以上に発生したことが業績に影響しました。
光源事業では、放電ランプ、ハロゲンランプともに好調でした。特にシネマプロジェクタ用ランプは、新興国を中心にデジタルシネマスクリーンの新設が継続しており、販売が拡大しました。また、放電ランプのセグメントに含まれる固体光源についても、昨年10月に新規連結したウシオオプトセミコンダクターを中心に大きく伸長しています。
2013年3月期 | 2014年3月期 | 2015年3月期 | |
売上高 | 1,434 億円 |
1,578 億円 |
1,593 億円 |
営業利益 | 75 億円 |
121 億円 |
103 億円 |
営業利益率 | 5.3 % |
7.7 % |
6.5 % |
当期純利益 | 71 億円 |
107 億円 |
112 億円 |
自己資本比率 | 75.9 % |
73.5 % |
73.3 % |
ROE | 4.3 % |
6.0 % |
5.6 % |
*数値はすべての表示数未満の位を切り捨てて表示しています。
当社では、毎年ローリングプランとして中期経営計画を発表しています。当社の業績は、特にリーマンショック後は市場の期待する水準に達していない状況が続いていると認識しており、特に開発投資等の投資効率の向上および今後の成長ドライバーの早期創出により、収益性を向上させていく必要があると考えています。そのような背景のもと、3年後の2018年3月期にはROE8.0%以上、売上高2,200億円、営業利益180億円(営業利益率8.2%)とすることを目標に掲げ、さらに2020年3月期にはROE10%を目指したいと考えています。この目標達成のために、主に「事業収益の拡大」、「資本効率の向上」および「株主還元の強化」の3つを重点施策として進めていきます。
2015年3月期 (実績) |
2016年3月期 (計画) |
2018年3月期 (計画) |
2020年3月期 達成目標 |
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売上高 | 1,593 億円 |
1,800 億円 |
2,200 億円 |
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営業利益 | 103 億円 |
130 億円 |
180 億円 |
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営業利益率 | 6.5 % |
7.2 % |
8.2 % |
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ROE | 5.6 % |
5.7 % |
8.0 %以上 |
10 % |
主に次に掲げる施策を戦略的かつ大胆に進めることで事業体質の改善を図り、事業収益の拡大を目指します。
まず、今まで以上に大胆に「リソース配分の見直しおよび再配分」を実施します。特に研究開発における開発テーマの遂行については、より厳しい基準で見直しを行うことで投資効率を高めていきます。また、人員に対するリソース配分は、今まで以上にグループ横断的に、かつ積極的に行なっていきます。
次に「ソリューションビジネスへの転換」を図ります。当社はこれまでOEM中心に事業を営んできましたが、今後はより積極的に新しい市場、分野へ進出していくべく、ソリューションという形で自ら提案できる力を身に付け、提案型ビジネスを展開していきます。それにより、新規市場への進出を加速していきます。
また、新たにマーケティングイノベーション部を創設し、各事業におけるロードマップをしっかり見据えた事業戦略を強化しています。
最後に、M&Aの推進について、金額件数ともに拡大し、技術や販売チャネルだけでなく優秀な人材についても積極的に獲得していく考えです。これらの施策により、既存のリソースを最大限に活かし、キャッシュアウトの増加を抑制することで経費効率を改善するとともに、将来の新製品比率の向上と新規事業創設のスピードアップを図っていきます。
現在当社の金融資産は、総資産の約半分を占めるまでに増加しており、資本効率悪化の要因となっています。今後は、政策保有株式の見直しも含め、金融資産から事業資産への振替を加速することで資本効率の向上(ROEの向上)を目指します。また、金融融資の売却により得たキャッシュをM&A等の事業投資に回すことで、将来は金融資産による財務収益に頼らず、真の事業利益による安定したROE維持を目指します。
ROE目標達成のため、事業の成長投資とともに株主還元を強化し、バランスのとれた資金運用を目指します。具体的には、配当金については従来通り安定配当の方針を維持し、自社株買いについては今後得られるフリーキャッシュ・フローの予測や株価の動向等を勘案し、事業成長への投資を積極的に行なった上で、より積極的かつ機動的に実施していく方針です。
また、株主重視の経営を目指す一環として、役員を対象に連結営業利益とROEに連動する株式報酬制度の導入を決定しました。