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財務情報

財務レビュー

ウシオ電機株式会社および連結子会社・関連会社
2016年3月31日終了会計年度

当社グループの企業集団は、当社(ウシオ電機株式会社)、子会社57社および関連会社2社で構成され、光源、装置および産業機械の製造販売を主な内容とし、さらに各事業に関連する研究開発およびその他のサービスなどの事業活動を展開しています。

経営環境と当期の施策

当期における世界経済は、米国経済は、個人消費が増加し雇用環境の改善を背景に緩やかな景気回復が見られました。一方、中国経済は景気減速が続き、その他の新興国においても、原油価格の下落の影響などから厳しい状態が続きました。国内経済は、企業収益や雇用環境の改善が見られたものの、個人消費は低調に推移しました。

当社グループの映像装置および光源の主要市場であるシネマ関連市場では、中国をはじめ新興国でスクリーン数の増加が続いています。

当社グループの光学装置および光源の主要市場であるエレクトロニクス市場では、ハイエンドスマートフォン用の電子部品と中小型液晶パネルの需要が増加しました。

このような経済環境のもと、当社グループでは、映像画像事業のソリューション展開などグループシナジーの強化を図りました。また、サイエンス事業やバイオ・メディカル事業など、将来に向けた新技術・新製品の研究開発に積極的な投資を行いました。

収益

  • 1株当たり当期純利益のグラフ
  • 総資本利益率(ROA) のグラフ

当期の業績は、増収増益となりました。

売上高

装置事業では、為替影響に加え、主に映像画像事業の販売拡大により増収となりました。

光源事業では、円安ドル高の進行による為替影響や、シネマプロジェクター用クセノンランプと固体光源事業の拡大などにより増収となりました。

その結果、当期の売上高は、前年同期比12.4%増の1,791億2千1百万円となりました。

営業利益

装置事業、光源事業ともに順調に推移したことにより、当期の営業利益は、前年同期比26.8%増の131億3千万円となりました。

経常利益

円安ドル高による為替影響があったものの、保有株式の運用損もあり、前年同期比6.7%増の146億3千3百万円となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益

本社移転に伴う特別損失を計上し、前年同期比1.5%減の111億5百万円となりました。

セグメントの業績

装置事業

売上高のグラフ

映像装置分野のうち、シネマ分野については、中国などの新興国を中心にシネマスクリーンの新設が継続しておりデジタルシネマプロジェクターの出荷が増加したことに加えて、レーザープロジェクターの採用が進んだことなどから、シネマ関連事業の販売は拡大しました。一般映像用装置は、主に新製品の投入などによりアミューズメントパークやイベントなどを中心としたエンターテイメント向けの販売が増加しました。これに加え、円安影響による増収効果もあり、映像装置分野全体で増収となりました。

光学装置分野については、中国市場を中心としたミドルレンジ以下のスマートフォン向け設備投資の抑制が見られ、関連するプリント基板向け露光装置は低調に推移したものの、ハイエンドのスマートフォンを中心に需要が堅調に推移したことなどにより関連する電子デバイス向け投影露光装置の販売が増加しました。また、液晶関連市場においては、引き続き中小型液晶パネルの高精細化に向けた需要があり、モバイル用高精細液晶パネル向け光配向装置の販売は増加しました。これにより光学装置分野全体で増収となりました。

その結果、装置事業の売上高は988億2千8百万円(前年同期比17.4%増)、セグメント利益は17億2千6百万円を計上しました。

光源事業

光源事業においては、円安ドル高の進行による為替影響が、増収増益に大きく影響しました。

放電ランプのうち、露光用UVランプについては、円安影響による増収効果があったものの価格競争の影響や半導体分野、液晶分野ともに長寿命タイプの採用が拡大し続けていることなどから減収となりました。一方、シネマプロジェクター用クセノンランプは、価格競争による影響があったものの、円安影響による増収のほかに中国などの新興国を中心にデジタルシネマプロジェクターの総設置台数は引き続き増加していることなどから増収となりました。固体光源においては、プロジェクター用レーザー光源の需要拡大に加え、M&Aにより半導体レーザー事業およびLED事業を拡大したことから増収となりました。

ハロゲンランプは、円安影響による増収効果があったものの、OA用途では新興国の景気低迷の影響などを受け減収となりました。

その結果、光源事業の売上高は785億7千4百万円(前年同期比7.6%増)、セグメント利益は109億7千6百万円(前年同期比9.0%増)を計上しました。

その他事業

その他事業においては、プラスチック成形機の販売が堅調に推移したものの、金型検査装置などの販売が低調に推移しました。

その結果、売上高は32億1千8百万円(前年同期比5.7%減)、セグメント利益は1億8千1百万円(前年同期比3.5%増)を計上しました。

資本の財源および資金の流動性

キャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローのグラフ

当期末における現金および現金同等物は、前期末に比べ91億7千6百万円減少し478億1千3百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。

営業活動によるキャッシュ・フロー

当期における営業活動によるキャッシュ・フローは、120億3千1百万円の収入(前期は98億7千6百万円の収入)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上151億8千7百万円および減価償却費の発生64億9千5百万円による収入があった一方で、固定資産売却損益の発生10億7千5百万円、およびたな卸資産の増加81億8百万円および法人税等の支払43億4千9百万円の支出によるものです。

投資活動によるキャッシュ・フロー

当期における投資活動によるキャッシュ・フローは、103億6千7百万円の支出(前期は37億1千万円の支出)となりました。この主な要因は、定期預金の払戻154億3千2百万円、有価証券の売却および償還72億4千8百万円、および有形固定資産の売却19億5千3百万円による収入と、定期預金の預入137億6千6百万円、有価証券の取得39億4千万円、有形固定資産の取得79億3百万円、投資有価証券の取得61億3千4百万円、および連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得38億8千3百万円の支出によるものです。

財務活動によるキャッシュ・フロー

当期における財務活動によるキャッシュ・フローは、78億4千9百万円の支出(前期は12億1千万円の収入)となりました。この主な要因は、長期借入による12億1千2百万円の収入と、長期借入金の返済13億7千3百万円、自己株式の取得31億7千7百万円、配当金の支払31億3千3百万円、および連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得14億1千5百万円の支出によるものです。

財政状態について

純資産/自己資本利益率(ROE)のグラフ

資産

当期末における資産は、2,945億2千5百万円となり、前期末に比べ1千6百万円減少しました。主な減少要因は、自己株式の取得などによる「現金及び預金」の減少および公社債投資信託などの売却による「有価証券」の減少です。主な増加要因は、商量増加に伴う棚卸資産の増加、M&Aに伴う「のれん」の増加および債券など購入による「投資有価証券」の増加です。

負債

当期末における負債は、832億2千8百万円となり、前期末に比べ74億1千万円増加しました。主な増加要因は、運転資金需要による「短期借入金」の増加および割引率変更などによる「退職給付に係る負債」の増加です。

純資産

当期末における純資産は、2,112億9千6百万円となり、前期末に比べ74億2千7百万円減少しました。主な減少要因は、円高による「為替換算調整勘定」の減少、割引率変更による「退職給付に係る調整累計額」の減少および自己株式の取得による「自己株式」の増加です。

設備投資

設備投資額のグラフ

当社グループでは、既存設備の増強、将来的に成長が期待できる事業および研究開発分野に重点をおき、光源事業・装置事業を中心に132億2千4百万円の設備投資を実施しました。当期の設備投資(有形固定資産、無形固定資産および長期前払費用の受入ベースの数値。金額には消費税などを含んでおりません)の内訳は次のとおりです。

  当期 前期比
光源事業 5,870百万円 164.9%
装置事業 6,871百万円 101.8%
その他 481百万円 82.5%
合計 13,224百万円 121.3%

当期は、各セグメントとも設備投資案件を厳選し、投資効率を追求した設備投資を継続する一方、今後成長の見込まれる分野での当社グループの事業競争力強化を狙った重点投資を行った結果、設備投資額は増加しました。

当社グループの設備投資は主に装置事業・光源事業を中心に行っており、装置事業においては多様化するマーケットニーズに対応した露光装置や光配向装置などの光学装置分野、レーザープロジェクターや音響システムの映像画像分野、シミュレーションやバーチャルリアリティーシステムなどの一般映像分野を重点事業とし、光源事業においては、高い品質力・技術力の維持とともに、固体光源(LED・LD)事業の拡大などに重点を置き、設備投資を実施しました。

上記設備投資に関連して、所要資金は、自己資金および借入金によっています。

なお、光源事業・装置事業における建物および機械装置などの工場設備の除却に伴う固定資産除却損2億2千6百万円を計上しています。

研究開発活動

研究開発費のグラフ

当社グループは、産業用光源の開発・製造を中核として光学系技術をはじめ、エレクトロニクスやメカトロニクスなど、光を利用・応用していく上で不可欠なさまざまな周辺技術の開発を推し進め、光のユニット化、光の装置・システム化へと事業を展開しています。新市場・新技術の動向を常に把握し、戦略的な研究開発活動を行うとともに、各研究開発部門が相互に連携・連動しながら数々の新しい光源および光の関連装置やソリューションを生み出す体制となっています。

当期におけるグループ全体の研究開発費の総額は112億2千8百万円であり、光源事業および装置事業を中心に行っています。なお、各セグメントの研究開発費はセグメント間の取引を含んでいます。

当期の主な成果は、次のとおりです。

光源事業

赤色レーザーダイオードの開発

子会社であるウシオオプトセミコンダクター株式会社は、今後の成長が見込まれるヘッドアップディスプレーならびに産業計測分野に使われる赤色レーザーダイオードを開発しました。本品は、単峰性ビーム形状の横シングルモード、波長638nm、光出力200mWと、この波長帯の横シングルモードレーザーダイオードでは世界トップクラスのものです。また、シネマ・業務用プロジェクター光源の固体化に対応し、今後の成長が期待される高出力赤色レーザーダイオードの開発も進めています。2017年3月期の製品化を目指し、広い発光幅を持ち1.2W、2Wといった大光出力の製品を開発しています。

装置事業

(1)ソルダーレジスト用直接描画式露光装置の開発

子会社であるアドテックエンジニアリング株式会社は、パターニング用直接描画式露光装置の技術を最大限活用し、ソルダーレジスト用直接描画式露光装置を開発しました。光源には、375nmと405nmの2波長の半導体レーザーダイオードを採用し、波長比率を変更することが可能です。これにより光源とレジストの最適感度波長を合致させることが可能となり、ユーザーごとに異なるプロセスに応じて、ソルダーレジスト品質(解像度、断面形状、硬化度など)の最適調整が可能となりました。また、光学系はマイクロレンズアレーを使用した拡大光学系を採用し、高解像度ながら広い露光エリアを有しているため1パス露光が可能です。2波長光源、マイクロレンズアレー拡大光学系を採用することにより、Φ50μm以下の高解像度と200mj時60秒の高生産性の両立を実現しました。

(2)ハイダイナミックレンジ(HDR)プロジェクター開発

子会社であるCHRISTIE DIGITAL SYSTEMS CANADA INC.は、高コントラスト比(1,000,000:1)を達成した世界初のDLPプロジェクターを開発しました。従来のデジタルシネマの最新機種におけるコントラスト比2,500:1を大幅に超えた業界初の高いコントラスト比率を実現しました。DLP方式のプロジェクターでは、画像デバイスの光学的特長により、通常達成可能なコントラスト比は、数千対1程度ですが、予備変調用のもう一つの画像デバイスを光学系統の中に挿入することで、コントラスト比を倍増することが可能となりました。さらに画像デバイスを直列に配置し、2つの光学エンジンをリレーレンズでつなぐことで高コントラストを実現しています。この開発により、画像の明るい部分はより明るく、暗い部分はより暗く、また、どちらも詳細までより鮮明に見ることができ、よりリアルなイメージを形成することが可能となりました。

対処すべき課題

当社グループを取り巻く経営環境を展望いたしますと、エレクトロニクス分野では、液晶分野の設備投資は中国を中心に継続するものの、スマートフォン市場の成長鈍化が予想されています。また、中小型液晶パネルでは、ハイエンドモデルを中心に有機ELの採用が進むものと予想されます。半導体分野では、スマートフォンの高性能化やIoTなどの進展によるデータセンターの増加、車載・インフラ投資拡大などによる露光装置の需要増加が予想されます。また、エレクトロニクス分野全般ではエンドユーザーによるコスト効率化志向は高まっており、光源の長寿命タイプ採用拡大が継続しています。

映像画像分野のシネマ分野では、デジタルシネマスクリーンの年間新設数は、中国などの新興国で引き続き増加が見込まれるものの、先進国ではデジタル化が相当程度進んでいることから年間新設数は鈍化傾向にあり、デジタルシネマプロジェクターの販売は横ばいで推移することが見込まれます。また、一般映像分野では、映像を産業用途やエンターテイメント分野で活用する機会が今後も増加することが見込まれます。

このような環境・市場変化に対応すべく、新製品開発、新規分野への進出を加速させること、および収益性を改善していくことは大きな課題となっています。これらの課題に対処すべく、新製品開発、新規用途開拓および新規事業化のための戦略投資を積極的に行い、事業拡大を図ります。また、多様化するマーケットニーズに対応した製品ラインナップの充実、徹底した製造コストの低減、品質・生産性の向上に加え、国内外での生産拠点・販売拠点とネットワークの拡大強化を図り、サービス体制の充実などに努め、より提案型のトータルソリューションビジネスを展開することで、世界のマーケットへ向けて光源、光学装置および映像装置の拡販を図ります。また、自社開発のみならず、事業提携や出資なども選択肢として、機動力ある事業の発展を図ります。

一方、企業の社会的責任として、環境問題を重要な経営課題の一つと捉え、省エネルギー・省資源、廃棄物削減・リサイクル化、環境負荷の低減などに積極的に取り組んでいきます。そして、あらゆるステークホルダーからの信頼にお応えするための施策として、コーポレートガバナンス、コンプライアンス体制強化による内部統制システムの充実、BCPなどリスク管理体制の整備による安定した事業継続にも努めていきます。

事業等のリスク

当社グループの経営成績、財務状況およびキャッシュ・フローなどの業績に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

なお、記載した事項は、有価証券報告書提出日(2016年6月29日)現在において当社グループが判断したものですが、当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではありません。

(1)半導体、液晶業界の需要動向による影響について

当社グループの業績は、半導体や液晶業界における需給の影響を受ける状況にあります。現状におきまして当社の取扱品目には、製造装置用のランプという消耗品があり、工場が稼動する段階においてほぼ安定的に需要が発生する構造となっております。しかしながら、当社が扱う半導体や液晶の製造装置につきましては、各々の業界における短期・中長期的な需要の変動や技術革新の影響を受け、当社グループの業績および財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(2)各種照明・照射光源の需要変動などによる影響について

当社グループは半導体、液晶分野以外に、各種照明やデータプロジェクター用およびデジタルシネマプロジェクター用搭載光源などをマーケットに供給しておりますが、これらの光源は、マーケットの技術動向、価格動向、需要変動の影響を受け、当社グループの業績および財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(3)映像装置の需要変動などによる影響について

当社グループでは、映画館用および業務用大型プロジェクターを提供しておりますが、各地域における需要変動や、マーケットにおける技術動向、価格動向により、当社グループの業績、財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(4)原材料などの調達に係るリスクについて

当社グループは原材料を外部調達しており、幅広い供給元から原材料供給を受けることで、質の確保はもとより、安定した価格および量の確保を行っております。しかし、特にランプ製造の主要原材料としてタングステンやモリブデンなどのレアメタルや特殊ガスを使用していることから、これらの原材料の供給不足や価格高騰により製造原価が上昇する可能性があることが、当社グループの業績および財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(5)国際的活動および海外進出に潜在するリスクについて

当社グループの生産および販売活動は、北米やヨーロッパ、ならびにアジアなどの日本国外でも行われております。これらの海外進出には、各国における諸規則や諸規制などの変更、人材確保の不安定さ、インフラ面の未整備、社会的混乱などが発生するリスクが内在しており、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(6)知的財産権によるリスクについて

当社グループは頻繁な技術革新を伴う業界に属しており、特許、商標およびその他の知的財産権の保護・維持・管理が、各市場シェアおよび競争力の維持のためには重要となります。しかし、当社グループの保有する当該権利が第三者に侵害された場合や、当社グループが第三者の保有する当該権利を侵害した場合において、訴訟へと発展する可能性があります。また、当社グループが出願した知的財産が権利として認められない可能性もあります。こうした知的財産権の保護が大きく損なわれるような場合には、当社グループの業績および財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(7)外国為替のリスクについて

当社グループは、円建とともに外貨建も含めて一般事業取引や投融資を行っております。従って、外貨によって行っている当社グループの商取引および投融資の損益は、外国為替の変動による影響を受ける状況にあります。これに対して為替予約を適宜行ってはおりますが、為替リスクを完全に回避することはできないため為替の変動が当社グループの業績および財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(8)有価証券の価格変動リスクについて

当社グループは金融資産として、有価証券を保有しており、株式市場などの状況次第では時価の下落も考えられます。当社グループではこのような有価証券の価格変動リスクを負っており、当社グループの業績および財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

経営上の重要な契約など

経営上の重要な契約として特記すべき事項はありません。

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