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USHIO

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Ushio Report 2020

社⻑メッセージ

Ushio Report 2020 社⻑メッセージ

持続的成長に向け、真の「『光』のソリューションカンパニー」へと生まれ変わります

代表取締役社長

前中期経営計画(前中計)の振り返りをお願いします。
前中計では、「次なる飛躍への基礎固め」を掲げ、最終年度である2019年度の連結営業利益150億円、営業利益率7.5%という数値目標を目指してまいりましたが、実績は連結営業利益66億円、営業利益率4.2%と残念ながら大幅未達という結果になりました。 前中計で重点施策として掲げた「既存事業の収益性維持・改善」では、ITロボット化、拠点の最適化(光源事業)、構造改革(映像関連事業)を実施し、収益性改善を試みましたが、映像関連事業において、固体光源化の影響によるランプ需要の減少が想定以上に進み収益性改善施策が相殺されてしまったこと、また同市場に適応したプロジェクターの新製品投入などの遅れにより需要の取り込みができなかったこと等で、計画に対して未達となりました。なお、その中で光学装置事業では生産能力・効率の改善や需要拡大・ロードマップに合わせたラインナップ展開により、計画を達成しました。
もう1つの重点施策である「新たな成長機会の追求」では、新規市場開拓・新規事業創出において、エレクトロ二クス分野におけるマスク検査用EUV光源に加え、新たな事業領域となる環境衛生分野において新製品開発、市場開拓など事業基盤構築を進めることができましたが、他の新規事業については計画未達となり、前中計期間における利益貢献には至りませんでした。また、シナジー重視のM&Aについても、光学装置において成立した案件があったものの、インパクトは限定的となりました。

前中計未達の背景を振り返ると、全社的に俯瞰した戦略や長期ビジョンの欠如、および環境悪化速度や新規事業・M&Aへの過度な期待・楽観的な見通しなどが根底にあると考えております。
これらを踏まえて、2022年度までの3年間の新中期経営計画(新中計)では長期ビジョンの策定及び、楽観的見通しを排除した定量目標を策定するとともに、3年後にはその先の持続的な成長に向けた道筋と戦略を固めていきます。
新型コロナウイルスの世界的な蔓延によって、世界経済は大きな打撃を受けています。この状況をどのようにとらえていますか。また今期の見通しについて教えてください。
今回の新型コロナウイルスの全世界的な大規模感染は、経済活動に大きな影響を及ぼすだけでなく、社会のシステム、人々の生活の在り方自体にも大きな影響を及ぼすものとなりました。 ウシオグループも足元の事業環境は非常に厳しく、特に2019年度の第4四半期から、全世界で映画館や商業施設が稼働停止となったことに伴い、映像関連事業を中心に大きな影響を受けています。この影響は、新中計2年目の来期(2021年度)まで続くと考えており、更に映像関連市場の需要は新型コロナウイルス発生前には戻らず、厳しい事業環境が続くものと想定しています。

一方で、今回の新型コロナウイルスの大規模感染は、医療崩壊など、感染拡大がもたらす課題などが浮き彫りになるなか、生活空間での「安心・安全」へのニーズが一層高まりました。これにより、ウシオが以前より開発を進めてきたウイルス不活化・殺菌技術「Care222®」に対する社会的意義・価値が高まったため、急遽生産・販売体制の強化を行い、予定より前倒しをして2020年9月から販売を開始しています。今回の新型コロナウイルスに限らず、今後も新しいウイルス感染や薬剤耐性菌の蔓延などのリスクは常にあり、環境衛生への懸念は今後も永続的に存在すると考えています。ウシオの新たな環境衛生事業は、今後も社会に対し大きな意義を持ち続けるものと考えており、パンデミックが二度と起こらない、「安心・安全」な世界の実現に貢献してまいりたいと考えています。
新型コロナウイルス感染拡大の危機を乗り越えるために、ウシオはどのような対策や取り組みを行ったのでしょうか。
感染拡大防止と事業継続の観点から、ウシオグループ社員の健康・安全確保のための取組みを第一として、全世界の拠点における就労上の課題をタイムリーに集約し、機動的に方針判断するプロジェクト体制を組みました。在宅勤務方針や出張規制などの安全確保のための仕組みの構築、各国政府の方針や感染状況に基づく工場の稼働判断など、迅速な判断を行い対策を講じました。
また、これらの対策や対応は、新しい働き方に対して社員一人一人が考えるきっかけや変革意識の高まりにつながり、各業務のテレワーク化など従来の場所や時間に固定されない柔軟な働き方を実現する環境や体制の構築が進みました。
このような大きな時代の変化の中、7月31日に長期ビジョン及び新中計を公表しました。まずは長期ビジョンについての思いおよび現在の取り組みについて教えてください。
2030年に向けた長期ビジョンとして真の「『光』のソリューションカンパニー」を目指すこと、ミッションとして「あかり・エネルギーとしての光の利用を進め、人々の幸せと社会の発展を支える」ことを掲げました。これからの企業の生命線は“社会的価値”であり、この価値を拡大することで、利益はその後に付いてくるものと確信しております。
つまり、これまでのように「良いもの」を作って売るだけでなく、今回長期ビジョンでお示しした通り「インダストリアルプロセス」「ビジュアルイメージング」「ライフサイエンス」の3領域において、「便利・快適」、「感動・共有」、「安心・安全」という提供価値を高め、より大きな社会課題の解決を支える企業を目指してまいります。
今後注力していくライフサイエンス分野では、基盤事業であるエレクトロニクスおよびビジュアルイメージング分野で培ってきた光技術を応用し、地球と人々の健康を支えていきます。例えば、今後も感染症との闘いは大きな社会課題であり、そのような課題の解決を支え、安心・安全な社会に寄与するテーマにおいて事業化を進めます。

なお、長期ビジョンを目指すにあたり、最も重要な経営資源は“人材”です。ウシオの社員に求める人材像は、『「志」と「情熱」を持ち、多様な価値観を尊重し、協働・挑戦し続けるプロ人材』であり、この考えは今後も変わりません。加えて、すでに海外売上高は約8割となっておりますが、今後もグローバル視点でより多くの価値提供をしていく考えから、真のダイバーシティ経営を実現すべく推進プロジェクトを立ち上げるなど、グローバル人材の強化も行ってまいります。人材マネジメントを強化することで、ウシオが目指す長期ビジョン達成の確信度が高まるものと考えています。
新中計では「基礎固め再挑戦」及び2030年の道筋の明確化を大きなテーマとしていますが、実行におけるポイントを教えてください。
新中計では長期ビジョンの達成に向けた基礎固めとして、以下の4点をポイントにスピード感をもって進めていきます。

第一に、成長分野の事業拡大。光源事業においては、コロナ禍において注目が高まるCare222®をはじめとした環境衛生事業の拡大を進めます。すでに全世界で多数引き合いを頂戴しておりますが、これらに迅速に対応できるようリソースを投入し強化していきます。ウシオグループにとって、ライフサイエンス領域はまだ成功事例が少ないという課題がありますが、まずはCare222®での成功事例を足掛かりに、道筋を示したいと考えています。もう1つの成長事業である光学装置事業では、コロナ禍の影響をほとんど受けておらず、ほぼ計画通りにEUVマスク検査用EUV光源の立ち上げや最先端ICパッケージ向け露光装置の販売拡大などを目指していけると考えています。これによりIoTや5Gなどの進展に欠かせない次世代半導体製造への関わりを今後も増やしていくとともに、需要拡大や新たな進化を見せるプリント基板向けのダイレクトイメージング露光装置(DI)においても旺盛な受注対応を引き続き推進し、市場ニーズ拡大の追い風をしっかり捉えることで増収増益を牽引していきます。
第二に、構造改革の実行。長年、連峰経営の方針の元、グループ各社が個別最適を追求してきたことによって生じている経営における非効率な部分を段階的に改革していきます。すでに前中計から映像装置事業の構造改革は実施しており、引き続き長期化が予想されるコロナ禍の影響に対応すべく、ビジネスモデル変革にも取り組むために、ビジュアルイメージング分野の戦略を練る専門部署も立ち上げました。今期から光源事業においても改革をスタートさせ、生産・販売拠点などの統廃合などにより、より効率的な体制を築いていきます。
第三に、2030年の長期ビジョン達成に向け、新中計後の次の中計(第二次中計以降)の道筋を明確化します。具体的には、複数にまたがっていた新規事業創出を目的としたそれぞれの部門の役割の整理・体制の構築を進め、長期的に研究開発が取り組める体制に変えております。
第四に、コロナ禍による落ち込みからの自律回復。現状は、映像関連事業において新型コロナウイルスによる事業への影響を大きく受けており、新中計においても、コロナ前の需要には完全に戻り切らない前提のもと、まずはしっかり自律回復を行います。そのために、引き続き経営として事業環境の定点観測を続け、柔軟かつ、スピードある判断、対応を行う体制を整え、わずかな需要回復機会も取りこぼさず取り組んでいけるよう進めてまいります。
最後にステークホルダーの皆様へメッセージをお願いいたします。
新型コロナウイルスの感染拡大により、ウシオグループの業績は多大な影響を受けており、足下は厳しい事業環境にあります。しかし2030年の長期ビジョン達成に向けた道筋の明確化、新中計における営業利益率10%の達成に向けた各種施策は、着々と進めております。まずは、新型コロナウイルスからの自律回復をしっかり行います。それに加えて今後長期的に貢献する有望製品も多数出てきており、これらの着実な事業展開を推進するとともに、新規事業創出の仕組みも強化することで、私たちは、中長期での持続的な成長を成し遂げることができると考えています。
また、2030年に向けて掲げた長期ビジョン達成の確信度を高めるべく、現在、新たな価値創造プロセスやマテリアリティについても見直しをしております。これらに関しましては、来年度の統合報告書で詳しくご説明する予定です。今後、真の「『光』のソリューションカンパニー」へと生まれ変わるべく、課題と施策を明確化し、中長期での持続的な成長を成し遂げてまいります。これからのウシオグループにご期待いただきたくどうぞよろしくお願いします。