LED素子/パッケージ

高光出力1900nm SWIR LEDのサンプル出荷を開始

2023.07.17

ウシオ電機株式会社(以下、ウシオ)は、このたび、発光波長1900nmの短波長赤外線(SWIR)LEDデバイスのサンプル出荷を開始します。なお、量産開始時期は、2023年10月を予定しています。
本製品は、2020年に開発した高効率SWIR LED「epitex Dシリーズ」の新ラインアップです。これまでの「epitex Dシリーズ」の発光波長は1050nmから1750nmでしたが、今回波長領域を1900nmまで拡大し、1900nm帯LEDとしては世界最高クラス※1の高出力と高効率を実現しています。
 


※1 ウシオ調べ
※2パルス順電流条件: Duty 1%、パルス幅10μs
 

主な用途


1900nm帯は水分の吸収係数が高いことが大きな特徴です。従来は水分検知用光源として水分の吸収係数が比較的大きい1450nm帯が用いられていましたが、1900nm帯は1450nm帯と比較して吸収係数が4倍と非常に大きく、僅かな水分量でもイメージングカメラにおいて大きなコントラスト比が得られ、より検知しやすくなることが期待されています。そのため、水分量検知やそれを応用したセンシング用途としての利用に適しています。

 

波長と水分の吸収係数の関係

 

信頼性試験結果について


SWIR波長域では、エピタキシャル成長用の基板としてインジウムリン(InP)が採用されています。InP基板を用いて1900nmの波長を実現するためには発光層に適量の歪を導入する必要があります。一般的に発光層の歪量が大き過ぎるとLEDデバイスが急速劣化しやすいことが知られていますが、今回開発した1900nmLEDデバイスでは、半導体構造の設計最適化により、1000時間を超える高温連続動作においても、発光層に質的な劣化がないことが確認されました。

 

SWIR Dシリーズ SMBB1900D-1100信頼性試験データ

 

製品ラインアップについて


なお、本製品ではスタンダードパワーチップ製品とハイパワーチップ製品をラインアップしており、スタンダードパワーチップ製品はSMTモールドタイプのパッケージへ、チップサイズ1mm2のハイパワーチップ製品は、EDCSMBB、その他のパッケージへの搭載が可能です。製品のお取り扱いについては、技術・サポート情報をご参照ください。

パッケージ製品では、1900nmよりも短波側で発光スペクトルが封止樹脂による光吸収の影響を受けます。しかし、樹脂封止による光取り出し効率向上のメリットが勝るため、ベアチップと比較して樹脂封止をした方が、光出力が高くなります。ベアチップのスペクトル形状をご要望の場合は、樹脂を用いずガラス窓を使ったパッケージ製品の提供も可能です。ただし、樹脂封止製品と比べて光出力が低くなり、パッケージによって対応の可否もございますので、お問い合わせください。
 

SWIR Dシリーズ SMBB1900D-1100のスペクトルデータ