凹面サセプタ式フラッシュランプアニール装置
「優秀省エネルギー機器表彰 日本機械工業連合会 会長賞」を受賞
― 従来比1/3の消費電力で瞬間加熱 ―
ウシオ電機株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:菅田 史朗、以下 ウシオ)と大日本スクリーン製造株式会社様(本社:京都市上京区)の半導体機器カンパニー(社長:垣内永次様)が共同開発した「凹面サセプタ式フラッシュランプアニール装置」がこのたび、社団法人 日本機械工業連合会主催の平成19年度優秀省エネルギー機器表彰において「日本機械工業連合会 会長賞」を受賞いたしましたので、お知らせします。
1.フラッシュランプアニール装置とは
従来、半導体の集積回路製造工程において、イオン打ち込み後の活性化処理にはハロゲンランプが使用されてきましたが、回路の集積度合いが高まるにつれて、ハロゲンランプ方式では、昇温にかかる数秒の間にイオンの拡散が起こり、微細化されたトランジスタが機能しなくなるという問題が発生していました。そこで、フラッシュランプを使用してわずかな時間内に、ハロゲンランプ並みの温度にまで昇温し、ウェハを加熱するFLP装置が、世界各地で検討されてきました。
しかし、わずかな時間内に活性化処理に必要なエネルギーをフラッシュランプから照射しようとすると、非常に強力な照射エネルギーとなり、従来のランプ技術では、ランプが負荷に耐え切れず、破裂してしまうなどの問題がありました。本装置では、ウシオ電機のランプ技術と大日本スクリーン製造の装置技術により半導体量産ラインで使用できる信頼性の高い装置を実現することに成功しました。
2.受賞理由と、本装置による省エネルギー効果
ウェハ全体の温度をあげるハロゲン方式に比べ、ウェハの表面わずか数μmの部分を1000分の数秒という短時間で、1000度以上に加熱するフラッシュランプアニール方式では、下図のとおり使用平均電力を1/3以下に、ウェハ1枚あたりの使用電力を1/2以下にすることが可能です。また年間のCO2排出量も、従来の装置(約1079トン/15年間24時間操業の場合)と比較すると、約297トンと約70%も削減することが可能となりました。これらの点が高く評価され、今回の受賞となりました。
スパイクアニール装置 (ハロゲンランプ) |
フラッシュアニール装置 (クセノンフラッシュランプ) |
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設備電力 | 200kVA | 22kVA | |
ランプ定格 | 154kW | 1.04kW | 1回/枚 |
ヒータ定格 | - | - | |
ランプ平均計測電力 | 123kW(出力80%、11秒) | 3.5kW | |
装置平均使用電力 | 27.6kW | 7.6kW | 27% |
ウェハ1枚あたりの電力量 | 460Wh | 253Wh | 55% |
注1) スパイクアニールのスループットを60枚/時間、フラッシュアニールを30枚/時間で計算
注2) フラッシュランプアニールにとって最も不利、ハロゲンランプを用いたスパイクアニールにとっても最も有利な条件で算出
図1. フラッシュランプアニール装置の省エネルギー効果
3.本装置の稼動状況
本装置は、2003年12月に大日本スクリーン製造株式会社様より、半導体製造用ウェハ熱処理装置「LA-3000-F」として販売を開始、2007年末現在、数十台がCPUメーカーをはじめとする、世界各地の大手半導体製造工場で24時間稼動しています。
図2. 凹面サセプタ式フラッシュランプアニール装置「LA-3000-F」
(写真提供:大日本スクリーン製造株式会社様)
4.環境への取り組み
ウシオ電機グループでは、環境に配慮した各種製品を開発するとともに、全社をあげてサステナブル経営を強化し、今後も持続可能な社会の実現に貢献していきます。
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