「μTAS接着装置SUS504」を新発売

― μTASチップ接着の3工程を1台で ―

ウシオ電機株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:菅田 史朗、以下 ウシオ)は、世界で初めて※1μTAS(マイクロタス)チップ接着における「洗浄・表面活性」「貼り合わせ」「加圧」の3工程を1台で可能にした、研究開発機関向け「μTAS接着装置SUS504」を、2009年12月2日に発売いたしますのでお知らせします。

μTAS (Micro Total Analysis System) チップとは、医療・バイオ分野におけるゲノム解析、環境分野における化学物質検出などで使用される、数㎜から数cm角のチップ上に、さまざまな流体デバイスを集積することによって、一連の化学操作を短時間に効率的に行うシステムの検査用チップです。その潜在市場は2,000億円※2と想定されており、今後、さらに用途が拡大すると期待されています。

現在μTASチップの接着には「洗浄・表面活性」「貼り合わせ」「加圧」という各工程に専用の装置・設備が必要で、新規にμTASチップの研究開発においてコストおよびスペース面で大きな制約となっています。また表面活性化工程では、薬品や熱を使うことにより、材料にダメージが発生しやすいという課題があります。

ウシオは、独自の機構(特許出願中)により、従来別々の装置によって行なわれてきた、「洗浄・表面活性」「貼り合わせ」「加圧」の3工程を、デスクトップスタイルの小型装置1台で可能にしたため、工程ごとの専用装置が不要になり簡便に実験が可能となります。

また、従来薬品や熱、プラズマで行なわれてきた「洗浄・表面活性工程」を、自社製エキシマランプ※3で行なうことで、材料へのダメージや、欠陥要因をなくすことに成功しました。

ウシオはμTASチップの研究開発を行なうバイオメディカル分野、環境分野を中心とした大学・官庁・研究機関などを中心に、今年度20台、来年度以降年間50台の販売を目指します。

なお、12月2日から4日まで幕張メッセで開催される「セミコンジャパン2009」では、製品展示とデモンストレーションを行ないます。(ブースNo.5C-706)

※1:当社調べ(2009年11月1日現在)。

※2:当社調べ。

※3:充鎮するガスの種類によって、126nm/146nm/172nm/222nm/308nm といった単色の真空紫外光を効率よく照射する光源。特長は次の通り。①線スペクトルに近い単一波長を持ち、赤外線の発生が極めて少なく、低温処理が可能。②エネルギー変換効率が高く、低電力でも高い光エネルギーを発生。③瞬時点灯、点滅点灯が可能であり、必要な時だけ必要な光を取り出すことが可能。主に、半導体やFPD製造の現場を中心に、液晶パネルやシリコンウェハの光洗浄、レジストや レジスト残渣のアッシング、基板や金属表面の改質、Low-kキュアなどに使用されています。ウシオの液晶パネル製造における、パネル洗浄用エキシマランプの世界シェアは約90%(当社調べ)。

1.主な特長

  1. 初期投資の大幅コストダウン
    基材の「表面活性」から「貼り合わせ」、「加圧」までを1台で行なえるため、工程ごとの専用装置・付帯設備の導入、ならびに煩雑なメンテナンスが不要となり、新規参入時の設備投資を約1/3にコストダウンできます(当社比)。
  2. 省スペース、省電力
    複数必要であった装置がデスクトップタイプの装置1台で済むため、設置スペースが従来の約2分の1(当社比)になり、装置の設置場所を選びません。電源は家庭用AC100Vにて使用可能です。
  3. 「表面活性化工程」における低温処理/ダメージレス
    薬品や熱の代わりに発光波長172nmのエキシマ光を用いるため、基材へのダメージを抑制できます。
  4. ほかにも各工程で下記のような既存の課題を解決します。
 工程 既存の処理方式 

 課題

 解決

 表面活性化

 ウエット

薬品の残渣により欠陥が発生  エキシマ光により表面活性化を行なうため、基材へのダメージを抑制可能

 加熱

ガラスやポリマーなど、熱に弱い材料は熱劣化をおこす

 プラズマ

処理後のチップ性能および接合の度合いが不安定になる

 貼り合わせ

 2枚のチップ基材を貼り合わせる際、μTASチップの接着にはスペックオーバーとなる高価な半導体ウェハ用の装置が用いられており、コスト増加の要因となっている  3つの工程を一体化した装置により、コストダウンが可能

 加圧

2枚のチップ基材を貼り合わせ後、チップを手持ちで加圧装置に移動させているため、チップに汚れ(パーティクル)が付着し、製品の品質低下の要因となっている 貼り合わせのあと、チップを移動させることなく加圧できるので品質低下が発生しない

2.製品について

1)本体寸法 813(W)×375(D)×353(H) mm/接合ユニット55kg、ランプハウス6kg
2)点灯電源寸法 246(W)×250(D)×158(H) mm/4kg
3)主な接着対象材料 PDMS、ガラス、Si基板など

3.販売について

1)販売開始時期 2009年12月2日
2)販売目標 年度:20台、以後年間50台
3)予定販売価格 400万円(税別) ※ランプハウス、電源、組み込みランプ含む
4)販売対象 バイオメディカル分野、環境分野を中心とした大学・官庁・研究機関、他

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