世界初、超高圧UVランプにおける環境技術「フル/ハーフ点灯方式」を実用化
― 消費電力およびCO2排出量を40%削減 ―
ウシオ電機株式会社(本社:東京都、代表取締役社長 菅田 史朗、以下 ウシオ)は、この度、超高圧UVランプ※1における環境技術「フル/ハーフ点灯方式」の実用化に、世界で初めて※2成功しました。
超高圧UVランプは、主に半導体や液晶、プリント基板などのリソグラフィ(回路パターン焼付け)用光源として、各種の露光装置に搭載されています。これらの業界では、環境負荷の低減が重要な経営課題※3となっており、そのニーズに対応するため、ランプメーカ各社では、ランプの環境性能向上に向けた省電力化とCO2排出量低減化の試みが行なわれてきました。
しかし、その構造の特殊性に加え、照度や輝度、寿命などの性能維持の観点から、ワーク(被照射物)照射が不要な待機時でも、絶えず100%の電気入力を保たなければならず、その改良は極めて困難な状況でした※4。
今回、ウシオが実用化に成功した「フル/ハーフ点灯方式」は、露光に必要な超高圧UVランプの性能を損なうことなく、電気入力を稼動時は100%に、待機時は50%に抑えるという、2段階の切り替えができる点灯技術です。この環境技術「フル/ハーフ点灯方式」を採用した超高圧UVランプは、従来型と比べて40%の消費電力とCO2排出量を削減可能※5としました。
これにより、25kWの超高圧UVランプを20本使用している製造ラインの場合、消費電力量で年間約2,040,000kWh(電気代で同約2,640万円)、CO2排出量で同約780tの削減を実現します※6。
また、ランプの総放射熱量も抑えることから、露光装置や冷却ユニットの小型化が容易となり、更なるトータルコストの削減にもつながることとなります。
ウシオは、中期経営ビジョンの一つとして「環境負荷低減に貢献する製品の開発・提供」を掲げ、独自の環境方針※7のもと、環境性能と要求性能を両立する技術・製品開発に積極的に取り組んでおり、今後も、これらの技術・製品開発を着実に実現していくとともに、より一層、環境への貢献を推進してまいります。
※1:ウシオは、40年以上にわたり各種超高圧UVランプを製造・販売しており、半導体や液晶、電子部品製造用における世界シェアは約75%(2010年9月末現在、当社調べ)。 ※2:2010年9月末現在、当社調べ。 ※3:これらの製造現場では、歩留まりや生産性向上のために、製造装置の大電力化が進んでおり、中でも液晶パネル製造では、パネルの大型化により露光面積は拡大を続けており、これに対応するため、超高圧UVランプも、大出力化、複数使用化の傾向にあり、装置トータルの環境負荷は年々増加している。 ※4:従来の超高圧UVランプは、出力切り替えに伴う照度や寿命の低下などを避けるため、常に100%の電力入力を行なっており、ランプと照射対象物との間にあるシャッターを開閉することで対象物に紫外線を照射していた。そのため、照射が不要なシャッター閉時(待機時)にも消費電力やCO2が発生していた。 ※5:2010年9月末現在、当社従来製品比、当社調べ。 ※6:詳細は下記「環境データ」参照。 ※7:ウシオの環境への取り組みについては、こちら(www.ushio.co.jp/jp/csr/)をご覧ください。 |
製品化について
環境技術「フル/ハーフ点灯方式」を採用した超高圧UVランプについては、環境効果が最も期待できるFPD露光用大出力タイプ(25kW)の販売を2011年4月に開始し、以降、各種用途向けにも順次製品化していく予定です。

フル/ハーフ点灯方式を採用した、超高圧UVランプ 25kW
環境データ
点灯方式 |
フル/ハーフ点灯※8 |
常時点灯(従来ランプ) |
---|---|---|
消費電力量※9 |
約152,000kWh/年 |
約254,000kWh/年 |
電気代※10 |
約198万円/年 |
約330万円/年 |
CO2排出量※11 |
約57t/年 |
約96t/年 |
発光波長 |
436nm、405nm、365nm、313nm |
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保証寿命 |
750時間 |
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相対照度 |
1.0 |
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主な用途 |
液晶パターン形成用光源、カラーフィルタパターン形成用光源、プラズマディスプレイパターン形成用光源、プリント基板回路形成用光源、その他新規露光用途など |
※8:露光時:定格(2秒)、非露光時:定格の半分(6秒)、1枚処理時間6ショット60秒として計算。 ※9:24時間×30日×12ヶ月×25kWランプ1本使用時の消費電力量。 ※10:1kWhあたり 13円で算出。 ※11:1kWhあたり 0.378kg-CO2で算出。 |