ナノインプリントVUVアッシングユニット「CHiPs」の販売を開始

― ナノインプリント装置内で、テンプレートのレジスト残渣除去などを
非接触・ダメージレスで実現 ―

ウシオ電機株式会社(本社:東京都、代表取締役社長 菅田 史朗、以下 ウシオ)は、LED、MEMS、機能性フィルム、バイオチップなど各種デバイスの回路パターン形成に用いられるナノインプリントリソグラフィ(以下NIL)装置に内蔵でき、テンプレートやワークの洗浄・表面改質・アッシングを非接触・ダメージレスで実現する、ナノインプリントVUVアッシングユニット「CHiPs (チップス:Compact HiPower System)」の販売を、2011年3月より開始しますので、お知らせします。

NILは、ワーク(シリコンやサファイア、フィルムなどの各種基板上にレジストを塗布したもの)に、回路パターンが施されたテンプレート(金型)を直接押し付け、回路パターン形状を転写する技術です。低コスト、大面積対応、量産化が容易といった利点を持ち、すでにLED、MEMS、機能性フィルム、バイオチップなど、回路線幅がミクロン(100万分の1)メートルレベルのプロセスにおいて実用化されており、さらに、ナノ(10億分の1)メートルレベルのさらなる微細化加工技術の確立へ向けた研究開発が進められています。

しかし、ワークとテンプレートを接触させることで発生する以下の課題が、さらなる微細化への移行だけではなく生産性向上の障害となっています。

■NILの課題                                                         
1.レジストの残渣によるテンプレート汚染。
2.レジスト充填時間の増加と充填不良。
3.テンプレートとワークの離型性(引き離し易さ)の悪化。

■従来の洗浄方式の問題点                                                           
以下の洗浄装置を別途設置し、一定回数使用したテンプレートをNIL装置から取り外し洗浄するため、ダウンタイムが発生し、生産性が低下してしまうとともに、洗浄能力にも以下のような課題があります。

 【水や薬剤によるウェット洗浄】
   洗浄能力の不足/薬剤の残渣発生リスク/乾燥や廃棄物処理などの付帯処理が必要
 【プラズマによるドライ洗浄】
   ワークダメージの発生/真空チャンバなどの付帯設備が必要

これらの課題に対し、ウシオは、これまで培ってきた光技術をNIL向けに応用・最適化したナノインプリントVUVアッシングユニット「CHiPs」を開発し、VUV(真空紫外光)による非接触でダメージレスな高洗浄力を実現しました。さらに、NIL装置に内蔵可能としたことで、NIL装置のダウンタイム削減およびプロセスの自動化を可能とし、生産性・歩留まり向上、ひいてはNILプロセスのCoO向上を実現します。

なお、本製品・技術に関して、2011年2月27日(日)~3月3日(木)に、アメリカのカリフォルニア州サンノゼのサンノゼコンベンションセンター及びサンノゼマリオットホテルにて開催されるリソグラフィプロセスの世界的学会「SPIE Advanced Lithography 2011」に出展及び論文発表を行ないます(ブース番号428)。

ウシオは今後とも、様々なデバイスの微細加工における課題に対し、「光」によるソリューション実現へ向け、取り組んでまいります。

ナノインプリントVUVアッシングユニット「CHiPs」

主な用途

1.テンプレートのレジスト残渣除去(洗浄)。
2.テンプレートの親水化※によるレジスト充填時間の短縮および充填性の向上。
3.テンプレートとワークの離型性の向上。
4.ワークのレジスト残渣のアッシング。

※:親水化とは、水などの液体を垂らすと水滴にならずに広がり、液滴の接触角が0°に近くなる状態。

製品特長

1.VUV光による、高い洗浄能力かつダメージレスな非接触プロセス。
2.コンパクトかつ低温処理に対応した装置内蔵設計(プロセスの自動化も可能)。
3.ウェット方式での付帯処理や、プラズマによるドライ洗浄方式での真空設備が不要。

製品サイズ

【本体】W 100mm×D 300mm×H 80mm(電源は除く)

ナノインプリントにおける課題(イメージ)