LED光の平行光変換効率90%を達成
業界最高値でリソグラフィプロセスへの適用を可能に

ウシオ電機株式会社(本社:東京都、代表取締役社長 菅田 史朗、以下 ウシオ)は、LEDから出た光を高効率で平行光に変換する光学技術(LEDコリメーション技術※1:LED Collimation Technology) の開発に成功し、業界最高の平行光変換効率90%を実現※2 しました。
今後、この技術を搭載したLED照射システムの開発を進め、半導体やMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)製造におけるリソグラフィプロセスなど、光強度の高い平行光が必要な用途※3に向け、2014年夏以降に製品化する予定です。

リソグラフィプロセスにおいて、UV-LED光源の採用が進んでいない背景

近年、一般照明用途などではLEDの採用が進んでいますが、光強度の高い平行光を必要とするリソグラフィプロセスなどにおいては、下記の理由でUV-LED光源の採用が進んでおらず、産業用途でのUV-LED光源の採用は、平行光を必要としないUVキュアリング(紫外線による接着)やインクの乾燥などに限定されていました。

1) 平行光の光強度を高めるためには光源の輝点サイズ(発光点)を最小化する必要がある(現行のUVランプ※4は、輝点サイズを数ミリレベルの点光源にすることで高輝度化している)。

2) LEDは1個あたりの光出力がランプに比べて極めて低いため、ランプと同等の輝度を得るためには複数のLEDを用いる必要があるが、熱や配線上の問題から一定の密度以上での配列ができないため、光源全体としての輝点サイズ(発光点)の縮小化には限界があり、輝度を高くする事が困難。

3) そのため、従来のUV-LED光源の平行光への変換効率は低く、リソグラフィに求められる輝度に達していない。

UV-LED光源の採用と今後の可能性

これに対しウシオは、40年以上に渡って培ってきたレンズやミラーなどの光学技術をLEDに応用・最適化することで、従来並みのLED実装密度で業界最高の平行光変換効率90%を実現するLEDコリメーション技術の開発に成功しました。

これにより、従来のUV-LED利用光学技術では困難だったリソグラフィプロセスでのUV-LED光源の採用が可能となり、プロセスの低温化、シャッターレスによる装置の小型化、長寿命によるダウンタイムの削減化など、UV-LEDの特長を活かした多品種少量生産向けプロセス開発や、新たな材料開発などへの応用展開も可能になります。

また、UV-LEDを個別に点灯・調光制御することで、自由な光強度面分布をもたせた照射が可能となり、ランプでは実現できなかった曲面上への均一なインプリント成型など新たな応用も検討されています。
さらに、LEDをUV-LEDから可視LEDに置き換えることで、サーチライトやスポットライトといった平行光を必要とする特殊な照明用途への展開も可能で、さらにLEDをRGB3色にして独立にコントロールすることでスポットライトのフルカラー化も実現することができます。

なおウシオは、2013年12月4日(水)~6日(金)に、幕張メッセで開催されるSEMICON Japan2013(ブース番号4B-601)において、パネル展示を予定しています。

※1 コリメーション技術とは、特殊なレンズやミラーなどの光学系を用いて、ランプなどの光源から放射された拡散光を平行光に変換する技術。平行光は、微細処理が求められる半導体やMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)などの製造工程における、リソグラフィプロセスに必要不可欠な光。

※2 2013年10月1日現在、自社実験による。

※3 リソグラフィプロセスなどにおいて、平行光に変換せず拡散光のままでは、光がマスクをまっすぐに透過することができず、マスクの回路パターンをワークに正確に転写できないなどの問題が発生する(下図参照)。

※4 ウシオはリソグラフィ用UVランプにおいて、世界シェア75%を有している。(2013年10月1日現在、自社調べ)

UV-LED光源における、拡散光と平行光の違い (イメージ)

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