世界初、フォトレジスト不要で直接かつ微細パターニングが可能な 真空紫外(VUV)平行光ユニットを開発

―有機エレクトロニクスの早期実用化を加速―

ウシオ電機株式会社(本社:東京都、代表取締役社長 菅田 史朗、以下ウシオ)は、世界で初めて、フォトレジストを使わずに、直接フレキシブル基材などに微細なパターニングができる真空紫外*1平行光(VUV)ユニットを開発し、2014年4月より研究開発向けに販売を開始いたします。
これにより、今後フレキシブル基材などを使用する有機エレクトロニクスの高精度化・高精細化が期待されます。

開発の背景

ウェアラブルコンピューティングやディスプレイの発展に伴い、プラスチックやフィルム、紙などのフレキシブル基材をはじめとしたさまざまな基材に対し、パターニングによってセンサーやホログラムなどの機能を直接付加するプリンテッドエレクトロニクスへの期待が高まっています。
現在、こうした分野でのパターニングには主にスクリーン印刷方式が採用されていますが、同方式によるパターニングの解像度はラインアンドスペース=30~50μm(マイクロメートル)程度が限界とされ、より高機能なデバイスを低コストで実現する微細配線技術が求められています。

そのため、より高機能かつ高精細なデバイスの実現に向け、より微細な回路形成技術がさまざま試みられており、中でも有力視されているのが、基材との親和性に優れた自己組織化膜(Self-Assembled Monolayer: 以下 SAM)を基材に成膜し、そこに真空紫外光で直接回路を形成する方法(SAMパターニング*2)です。しかし従来の真空紫外光ランプは直管型のため、光が拡散してしまうことから、微細化には限界があり*3、より微細なパターニングを実現するために、真空紫外の平行光化が求められていました。

ウシオの対応

これに対しウシオは、世界で初めて製品化した真空紫外光ランプ「エキシマランプ」と、世界シェア75%*4を有する「半導体リソグラフィ用UVランプ」の光源技術、さらに独自の光学・光源技術を融合することで、SAMパターニングのリソグラフィに最適な真空紫外光ランプ及び、そのランプを搭載した、L/S=5/5μm以下の回路をSAM上に直接形成できる真空紫外(VUV)平行光ユニットを開発しました。

ウシオは、このユニットの販売を通してプリンテッドエレクトロニクス向けの材料開発やプロセス開発をサポートするとともに、現在、フレキシブルセンサやバイオチップ製造用など用途別の装置化も進めており、有機エレクトロニクスの早期実用化を加速してまいります。

※1 従来のパターニングで使用されている紫外線(365ナノメートル)より短波長(200ナノメートル以下)の領域の光。紫外線は波長が短いほど高いフォトン(光)エネルギーを持ち、精密ドライ洗浄、表面改質用として、FPDや半導体の製造プロセスで利用されている。

※2 下図参照。

※3 下図参照。

※4 2014年1月31日現在 自社調べ

※2 従来プロセスとの比較(イメージ)

※3 拡散光と平行光の違い(イメージ)

製品外観

主な特長

  • フォトレジストを使わない直接パターニング。材料に直接、親水性パターニングが可能

  • ラインアンドスペース=5/5μm以下の微細なパターン形成が可能

  • 従来のエキシマガスレーザー(ArFなど)に比べて大幅なコスト低減が可能

  • 低温プロセスとの親和性が高く、フィルム基材上のナノコロイド状金属配線材料などを簡便に形成

  • 将来的に大面積での一括照射装置の展開が可能 (300mm角や500mm幅のロールtoロールプロセスにも今後対応予定)

仕様

波長 200nm以下
ワークサイズ □50mm
露光エリア φ30mm
露光方式 プロキシミティもしくはコンタクト
アライメント マニュアルによるx,y,θアライメント
寸法 装置本体:W680×D700×H620mm
電源ユニット:W300×D450×H280mm
ユーティリティ 電気:AC100V/1相/0.5kVA
N2ガス:10L/分
販売価格 550~750万円(税別:オプション仕様による)

想定される主な用途

  • 自己組織化膜(SAM:Self-assembled monolayer)上のパターン形成や選択的エッチング、金属ナノコロイド粒子の浸漬法によるパターニングなど

  • 有機半導体や、有機EL、バイオチップやマイクロ流体チップのパターン形成、界面改質

関連製品