世界初、レーザーダイオードを用いたシートビームレーザーの販売を開始

-レーザーダイオードの光を直接利用し、従来比約3倍の発光効率と大幅なコストダウンを実現-


ウシオ電機株式会社(本社:東京都、代表取締役社長 浜島 健爾、以下 ウシオ)は、世界で初めて流体解析において、レーザーダイオード(LD)からの光を直接利用した可視化照明用シートビームレーザーの販売を開始いたしましたのでお知らせいたします。

■シートビームレーザーによる流体解析のイメージ
シートビームレーザーによる流体解析のイメージ

シートビームとは、レーザーを光学系を用いて薄い膜状にしたもので、流体の断面を可視化するために使われています。中でもPIV・PTVは、自動車、航空機等の輸送機器分野をはじめ、建設分野、半導体製造装置、医療機器等において、注目されている流体解析の手法です。

しかし、現在、PIV・PTVで使用されているDPSS(Diode Pumped Solid State) レーザーは、光を比較的容易にシート状に出力しやすい反面、LDで励起したレーザーの波長を変換するため、発光効率が10%程度と低い上、複数の素子とそのアライメントが必要なため、レーザー自体が高額となり、導入が困難という課題があります。

これに対しウシオは、ウシオグループで取り扱っているイメージングや医療用途を中心に定評のある可視域・高出力LDと、40年以上培ってきたレンズやミラーなどの光学系技術を組み合わせることで、LDの光を直接利用した世界初のシートビームレーザーの開発に成功しました。
これにより、PIV・PTVに必要な5Wの高出力レーザーでありながら、従来比約3倍の発光効率を実現しただけでなく、部品点数の大幅な削減によるコンパクト化かつ大幅なコストダウンにより、従来の高額なシステムの導入が困難だった大学や研究機関などでも、PIV・PTVでの解析が可能となります。

なお、本製品は5月18日から20日までパシフィコ横浜で開催されるレーザーEXPO(ブースNo.G-14)にて、実機展示及びデモを実施します。
※ 粒子イメージ流速計測法 (Particle Image Velocimetry) 、粒子追跡流速計測法 (Particle Tracking Velocimetory) の略で、空間領域中の流体に可視化粒子を混入させ、解析したい断面にシートビームを照射し、粒子を高速度カメラで捉え、流体の速度分布を解析する手法。自動車、航空機などの輸送用機器をはじめ、エンジン内部、各種タービン、空調機器、半導体製造装置などに幅広く用いられる。

■主な特長
① 5Wのハイパワーながら大幅なコストダウンを実現
LDからの光を直接使うことで、レーザー部、ドライバ部ともに構成点数を大幅に削減し、コスダウンを実現。

② 高効率・コンパクト
LDの光を直接使用するので、DPSSレーザーの約3倍の高効率を実現。消費電力を抑えるとともに、冷却を含むレーザーヘッド部、ドライバ部分をコンパクト化。

③ レンズ交換可能(Cマウント)
レンズ取付部はCマウントとし、レンズ交換可能な構造。計測対象によりシート開き角や合焦ポイントの変更が可能。

④ 防塵性能
計測中の可視化粒子やその他の粉塵にさらされることの多いレーザーヘッド部は、粉塵の侵入を防ぐフィルタを装備。特にLD部分をシール構造にすることで粉塵の侵入をシャットアウト。

⑤ 高品質
LD、シート光学系、ドライバの設計、製造技術、また環境試験を含む信頼性試験にはイメージング用途向けレーザーで培ったノウハウ・基準を採用。また、これらを全て国内で行なっているため、高品質かつ迅速なサポートが可能。

■DPSSレーザーとウシオのシートビーム光源の比較


■商品外観