プロトセラ、大阪大学と腎臓移植における拒絶反応の早期診断と早期治療を目的にしたバイオマーカー探索で共同研究契約を締結



ウシオ電機株式会社(本社:東京都、代表取締役社長 浜島健爾)の連結子会社である株式会社プロトセラ (本社:兵庫県尼崎市、代表取締役社長 田中憲次、以下「プロトセラ」)と大阪大学(所在地:大阪府吹田市山田丘1-1、総長 西尾章治郎)は、移植後の慢性拒絶反応による腎臓の脱落を事前に予測し、早期の治療介入による移植腎の長期安定化を図るために、『BLOTCHIP®-MS法(ペプチド質量分析法)※による腎臓移植後の抗体関連型拒絶反応特異的バイオマーカーの探索等』に関する共同研究契約を9月25日付で締結しましたので、お知らせします。

末期腎不全に対する腎代替療法として、腎臓移植は血液透析や腹膜透析と比較して生活の質(Quality of life; QOL)の改善のみならず、心血管系疾患等重篤な合併症を抑制しうる唯一の根治療法です。しかしながら、慢性期には自己免疫能により移植された腎臓を非自己(異物)と認識し排除しようとするため、腎機能廃絶に至る可能性が出てきます。患者のQOLと治療効果を持続するためには移植腎に対する拒絶反応をいかに抑制するかが最大の課題となっています。
また早期に拒絶反応を診断するためには経皮的移植腎針生検という侵襲的検査が必要となり、患者および移植腎に対する負担が大きいため負担の少ない簡便な検査が待たれています。

この度の共同研究では、腎臓移植患者を生検に代わる侵襲性の低い血清検査によって、早期診断なしでは治療介入が極めて困難な拒絶反応の一つである抗体関連型拒絶反応の特異的バイオマーカーの発見とその臨床的有用性を検証します。

「抗体関連型拒絶反応の診断方法として、現在フローサイトメトリー法を用いた血液検査が施行されています。しかしながらこの血液検査では拒絶早期には反応が認められず診断がつかないことも多いという欠点があります。また一番の問題点として、本検査で新規抗体が確認できても、その抗体が必ず拒絶反応を起こすとも限らないのです。我々は抗体を持ちながら拒絶反応を起こした群と起こさなかった群それぞれに属する患者グループの血清を保存しており、BLOTCHIP®-MS法によって拒絶反応の早期診断と治療介入の必要性を判断しうるバイオマーカーが見つかることを期待しています。」
(大阪大学大学院医学系研究科 先端移植基盤医療学寄付講座 高原史郎 教授)

「BLOTCHIP®-MS法は、電気泳動によってタンパク質とペプチドを完全に分離した後、ゲルからペプチドを定量的にBLOTCHIP®に電気転写することで、試料に含まれるペプチドの総量解析を実現しました。大阪大学が保存された患者血清からBLOTCHIP®-MS技術で得られるバイオマーカーが、腎臓移植領域における日本発の新たな診断法と治療法の創出につながることを期待します。」
(プロトセラ 代表取締役社長 田中憲次)

■株式会社プロトセラ(本社:兵庫県尼崎市)
ウシオ電機株式会社の連結子会社。独自開発したBLOTCHIP®-MS法で発見したバイオマーカーペプチドを高速、大量、高精度に測定し、疾患リスクを検出する『プロトキー疾患リスク検査キット』として提供しています。またMPL法とBLOTCHIP®-MS法を組合わせたリガンド・受容体探索技術で発見した新規リガンドと新規受容体を治療効果と安全性に優れた受容体医薬品として提供しています。
www.protosera.co.jp

■国立大学法人 大阪大学(所在地:大阪府吹田市)
今回研究の中心を担う医学系研究科器官制御外科学講座(泌尿器科学)では、1965年に初めて腎臓移植を施行して以来50年以上の歴史を有し、本講座および関連施設を含めると2000例以上の腎臓移植経験を有する。近年は年々症例数が増加し続け、本年は生体腎移植、心停止および脳死下の献腎移植をあわせ約40件の腎臓移植を施行する予定であり、全国有数の施設です。
本研究を共同で施行する先端移植基盤医療学寄附講座は、腎臓移植のみならず、各臓器移植に関する拒絶反応の様々な診断方法や治療方法を提言してきました。とくに本講座教授の高原史郎は日本移植学会の前理事長であり、本研究に関しても日本でオピニオンリーダー的存在です。
www.osaka-u.ac.jp/ja

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