ウェルプレート毎の培養細胞をリアルタイム、かつ一括でモニタリングできる装置の実用試験を開始



 国立大学法人熊本大学(所在地:熊本県、大学院先端科学研究部 中島雄太准教授)とヤマト科学株式会社(本社:東京都、代表取締役社長 森川智)は共同で、細胞培養中のウェルプレート毎の培養状態(代謝)をリアルタイム、かつ一括でモニタリングできるマイクロプレートリーダーを、細胞培養装置(CO2インキュベータ)内に実装し、実用することに成功しました。

 本装置には、ウシオ電機株式会社(本社:東京都、代表取締役社長 内藤宏冶)の空間フィルタ技術「SOT®」が搭載されており、来る9月4日~6日に幕張メッセ国際展示場で開催される「JASIS2019」において詳細な技術説明を行う予定です。

       JASIS2019新技術説明会 
      細胞代謝のリアルタイムモニタリング技術 ~細胞の産業化につなげる取組み~
    【日時】 2019年9月5日(木)13:45~14:10(25分)
    【場所】 アパホテル&リゾート<東京ベイ幕張> 2階 A-10
    【申込】 予約不要、無料
                    https://www.jasis.jp/regist/jp/exhibitor_info.php?id=12

■装置特長

・培地や細胞をCO2インキュベータから移動させずに、細胞の代謝をリアルタイムにモニタリング可能。
・6~96ウェルプレートの個々のウェルをほぼ同時にモニタリング可能。
・ウシオ電機の空間フィルタ技術である「SOT®」を採用した光学検出装置を内蔵。
・培養容器の移動や蓋の開放作業が不要なため、培地の汚染や感染のリスクを最小化し、培養環境を変化させずに測定が可能。
    移動による細胞へのシェアストレス低減が期待できる。
・再生医療のみならず、細胞を扱うあらゆる研究や産業に展開可能。

■開発の背景

医療や創薬の分野において、培養細胞の状態管理は重要視されています。例えば、再生医療においては、iPS細胞などの幹細胞を目的の細胞へと分化誘導する際(あるいは未分化を維持する際)、培養容器中の細胞全体(群)の状態を把握する必要があります。また、創薬やバイオ分野においては、高精度かつ効率的なスクリーニングのために培養細胞群の条件統一が求められます。

従来、これらの細胞品質管理には、顕微鏡を用いた形態評価や、分光光度計による吸光度測定・濁度の測定、細胞培養技術者による培地の色変化をもとにした判断などが行われてきましたが、細胞の状態を把握する度に細胞培養装置(CO2インキュベータ)から細胞サンプルを移動させる操作が必要となり、不純物混入の要因となっていました。
また、これらの作業を技術者の経験に依存することや、人為的ミスによる細胞の汚染、品質の不均質性など様々な課題がありました。

■ご参考

インキュベータ内の培養細胞を継続的かつリアルタイムにモニタリングできる光学測定装置を開発(2018年8月20日 発表)
https://www.ushio.co.jp/jp/news/1002/2018-2018/500344.html


 

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※SOT(Silicone Optical Technology)

光学系部分を、特殊な加工を施したシリコーン樹脂で形成した空間フィルタ技術。直進光だけを取り出すことができ、コンパクト、低コスト、かつ非常に高い迷光除去を実現。このSOT®を用いてつくられた光学モジュールは、紫外光から可視光の波長域において高い透過性、低い複屈折など優れた光学特性を持ち、さらに、自家蛍光が少なく、高耐熱、耐薬品性、耐候性に優れ、ガラスなどを用いた従来の光学系に比べ小型高性能化が実現できる。
(SOT®は、ウシオ電機株式会社と国立大学法人九州大学 興研究室との共同研究成果です)

 
 
【技術紹介】 SOT技術紹介 https://lab.ushio.co.jp/ja/sot/

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