既存製造ラインにそのまま設置できる「小型エキシマ照射装置」の販売を開始

軽量化や5G化に伴う、自動車・スマホ製造での接着・封止工程を改善

ウシオ電機株式会社(本社:東京都、代表取締役社長 内藤 宏治、以下 ウシオ)は、自動車部品やスマートフォン製造プロセスにおける接着・封止工程の前処理用として、172nm真空紫外光(エキシマ光)照射によって部品のドライ洗浄や親水化、接着性を向上させる「HPV-ST Series(ハイパーブイエスティ― シリーズ、以下 HPV-ST)」の販売を、2020年8月から開始いたします。

HPV-STは、ウシオが1993年に世界で初めて製品化し、半導体や液晶パネル、電子部品製造プロセスで高いシェアを誇る「エキシマシリーズ」の最新・最小機種です。特別な付帯設備なしで既存の製造ラインにそのまま設置できるため、最小限のコストで部品の洗浄や接着プロセスの課題を解決し、品質向上や歩留まり改善を実現します。
 


■小型エキシマ照射装置「HPV-ST」 開発の背景

近年、自動車の軽量化による材料の見直しや、自動運転化に伴うセンサー・電子部品の増加、さらにはスマートフォンの5G化や高精細化、異形化などを受け、その製造プロセスでは部品の接着・封止工程の重要性が増加しています。

それらプロセスでは、接着性が低い材料の使用も増加しており、接着・封止の前工程となる接着面洗浄や親水化の処理レベルが、最終部品の品質・歩留まりに大きく影響するという課題が指摘されています。また、その改善のための施策導入については、後工程との組み合わせや、実験と生産の条件差の観点などから、実際の生産ラインを使って効果検証をすることが求められています。

従来、これら前処理には大気圧プラズマ方式が用いられてきましたが、使用時のガス流量が多いためユーティリティー準備の負荷が大きい上、処理条件の監視が難しく日々の品質管理がしにくいという課題が、また、従来型の172nm真空紫外光(エキシマ装置)方式では既存製造ラインに設置する場合に装置サイズが大きい上、窒素・オゾン排気構造を追加する必要がある、という課題がありました。

■エキシマ照射装置を小型化かつ高出力化し課題を解決

そこでウシオは、エキシマランプを小型化かつ高出力化し、さらに独自のオゾン排気構造を採用することで、既存製造ラインへの設置性を高めたエキシマ照射装置「HPV-ST」を開発し、以下を実現しました。

 【製品の特長】

・インライン評価や既存生産ラインへの追加設置が容易
 独自のオゾン排気構造により、従来必須だった処理室構造を大幅に簡素化。
 同時に、ユーティリティーを電源・排気のみにすることで、お客様の設置、搭載負荷を大きく低減。

・FPD市場で培った高出力光源を採用し、少ないランプ数での処理を実現
 業界最大出力、最大露光量を実現する大型扁平ランプ「HPV Series」を踏襲。
 1灯あたりの露光量を増やすことで、少ない設置面積と設備投資で最大限のパフォーマンスを発揮。

・機能の最適化により、小型化・軽量化を実現
    高出力光源ながら、13kg以下で1人作業が可能な重量を実現。
 ランプ長手・奥行方向を従来製品比で40%サイズダウン。レイアウトの自由度を向上。

・環境にやさしい水銀フリー光源
    完全水銀フリーのため環境負荷が少ない上、瞬時にON/OFFが可能で、周囲温度に左右されない。

【製品仕様】
HPV-ST Series 300mm type 550mm type
  ランプハウス寸法       500(W)×160(D)×300(H)        750(W)×160(D)×300(H)    
重量 13kg 17kg
定格電圧 AC200~240V 50/60Hz(300mm typeは100V対応も可)  
波長 172nm
紫外線強度 170mW/cm2以上
均一度 ±10%以内
プロセスガス 大気モデル/N2導入モデル

ウシオはこれからも各種製造プロセスのニーズへ「光」で貢献していきます。

 

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