222nm紫外線の人体皮膚への安全性と、殺菌効果の両立を立証。有人環境下での紫外線殺菌・ウイルス不活化の実現でパンデミック防止へ

神戸大学とウシオ電機の共同研究

神戸大学 大学院 医学研究科 外科系講座 整形外科学 黒田良祐教授グループ(以下、神戸大学)とウシオ電機株式会社(本社:東京都、代表取締役社長 内藤宏治、以下 ウシオ)が共同で研究を進めていた、222nm紫外線直接照射による人体皮膚への安全性※1および殺菌効果※2の検証に関する論文が、米国科学雑誌「PLOS ONE」に8月12日(現地時間)付けで掲載されました。

■ポイント

・ウシオの222nm紫外線殺菌・ウイルス不活化ユニットSafeZoneUVC deviceを用いて500mJ/㎝2の222nm紫外線を20人の正常皮膚に直接照射し、急性障害である紅斑の発生なく常在菌を殺菌。

・これにより、222nm紫外線の人体皮膚への安全性と殺菌効果の両立が立証された。

(これまでのマウスを対象とした検証では、222nm紫外線の繰り返し照射による皮膚細胞のダメージテストおよび発がん試験にて安全性を確認し、角膜炎、白内障といった目に対する影響もないことを確認済み※3

今後、ウシオは引き続き神戸大学と医療分野における紫外線活用の研究をさらに進め、将来的には外科手術中の術野消毒や殺菌を目的とした医療機器の開発を目指してまいります。

また今回、人体皮膚への安全性が立証されたことで、ウシオが進めている病院や学校、商業施設や交通機関などにおける有人環境下での、222nm紫外線を用いた紫外線殺菌・不活化がさらに現実的となります。
    
                                                                     
                                                      (左)今回の実験に使用された「SafeZoneUVC device」
                                                      (中)今年9月販売開始予定の「Care222TM」ユニットタイプ
                                                      (右)Care222TM使用イメージ


ウシオは、今回使用された222nm紫外線照射装置(開発名:SafeZone UVC device)をベースに開発を進めている「Care222TM」のユニットタイプの国内販売を9月から開始し、さらに今秋からは国内外の照明器具メーカーや衛生設備メーカーなどに対し光源モジュールの提供を開始する予定です。

これらの取り組みを通し、有人環境下での殺菌・ウイルス不活化の実現による、新しい生活様式下でのウイルスや細菌への感染リスク低減やクラスター対策、パンデミック防止といった、「安心・安全」な社会環境の実現に貢献してまいります。

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【論文タイトル】

Exploratory clinical trial on the safety and bactericidal effect of 222-nm ultraviolet C irradiation in healthy humans
URL:https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0235948
DOI:10.1371/journal.pone.0235948

■著者

Tomoaki Fukui, Takahiro Niikura, Takahiro Oda, Yohei Kumabe, Hiroyuki Ohashi, Masahiro Sasaki, Tatsushi Igarashi, Makoto Kunisada, Nozomi Yamano, Keisuke Oe, Tomoyuki Matsumoto, Takehiko Matsushita, Shinya Hayashi, Chikako Nishigori, Ryosuke Kuroda

■概要

従来、多剤耐性の殺菌においては、UVC紫外線のうち主に254nmが用いられてきましたが、人体に直接照射すると10mJ/cm2程度で皮膚の急性傷害の指標である、皮膚が赤くなる日焼け反応(紅斑)が現れるため、人体への直接照射は難しいとされてきました。 
しかし、今回照射したウシオ製222nm照射装置(Care222TM)による222nmの場合、500mJ/cm2という高い照射量でも皮膚に急性障害が発生しないことが臨床試験で確認されました。

■試験方法

20名の健常者ボランティアの背中部10mm×10mm領域に対し、ウシオ製222nm照射装置(Care222TM)を用いて各50、100、200、300、400、500mJ/cm2照射し、24時間後に紅斑の有無を確認しました。その結果、20名全員において紅斑が確認されませんでした。

その後、同背中部40mm×40mmに対し、500mJ/cm2を照射し、照射前、5分後、30分後のそれぞれで皮膚常在菌の数を測定(スワブ面積は20mm×40mm)した結果、照射前、照射5分後、30分でそれぞれ、7.21個、0.05個、0.79個と殺菌効果が確認されました。
   
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※1. Care222TMによる222nm紫外線の人体皮膚への安全性
フィルターがない場合、230~320nm程度までのUVC、UVB領域でスペクトルが存在し、そのまま照射すると50mJ/cm2で紅斑があらわれ、63mJ/cm2以上で細胞DNAにダメージが入ることが報告されています。

 

                                              Woods JA, et al.,Photodermatol Photoimmunol Photomed. 31(3):159-66.2015

※2. Care222TMによる222nm紫外線の殺菌および不活化効果
 

※3. 皮膚がんなどの発症なし 222nm紫外線(UV-C)繰り返し照射の安全性を世界で初めて実証
https://www.ushio.co.jp/jp/news/1002/2020-2020/500626.html



 

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