670nm~690nm帯高出力シングルモードレーザーダイオードのサンプル出荷を開始

ライフサイエンスをはじめ、バイオメディカル、量子技術など幅広い分野にて利用可能

ウシオ電機株式会社(本社:東京都、代表取締役社長 内藤 宏治、以下 ウシオ)は、ライフサイエンス、メディカル、量子技術分野の研究開発用途など、幅広く利用可能な赤色光源として、波長帯675nmおよび690nmの高効率・小型の200mW高出力シングルモードレーザーダイオード(以下LD)を2021年10月よりサンプル出荷します。

赤色LDは、その発振波長が630nm~690nmまで幅広く、各波長帯・出力帯に応じて様々な用途や仕様が実用化されています。その中でもウシオは、高出力シングルモードLDの開発・量産化を手掛けており、2018年にレベラー、測距儀および医療用途向けに波長639nmで光出力 200mWのHL63392DGシリーズを、また2020年にはセンサー・バイオメディカル用途に波長660nm で光出力200mWのHL65221DGシリーズをそれぞれ製品化してきました。そして今回、以下の長波長帯の用途に対応するために、675nm、690nmの高出力シングルモードLD製品化に着手しました。

■長波長帯のニーズ

670nm帯
670nm帯の波長は、ラマン分光や共焦点顕微鏡などのライフサイエンス分野や、ニキビ治療やシミ治療などのメディカル分野、また近年研究開発が盛んになっている原子のレーザー冷却や量子コンピューターなどの量子技術分野への応用など、多岐に渡っています。

690nm帯
690nm帯の波長は、光格子時計に代表される量子技術分野での研究開発や、光線力学療法(PDT)やがんの光免疫療法などのメディカル分野での研究開発が行われ実用化されています。

しかし、既にこれらの用途で製品化されているDPSSレーザー※1等のモジュール製品は、その構造上どうしても大型化、複雑化、高コスト化するといった問題がありました。また半導体LDと比較すると、発光効率が低下する、といった課題があり、幅広い導入の障壁となっていました。

そこでウシオは、これらの課題を解決するために、640nm帯、660nm帯の製品開発で培った高出力、高効率化技術と高信頼性技術を適用し、発振波長域を長波長側に拡大し製品開発を実施。更に、5.6mmパッケージを採用することで、現行モジュール製品と比較して、小型・軽量化、低コスト化を実現することが出来ました。これにより、該当アプリケーションでのさらに幅広い利用が可能となります。

なお、サンプルは、HL67001DGとHL69001DGをラインナップし、以下の仕様を達成しています。このサンプル出荷により、ウシオは赤色LDのラインナップをさらに拡充し、さらに広い分野で赤色LD搭載機器の普及拡大・性能向上に貢献します。

※1 LD励起固体(DPSS : Diode Pumped Solid State)レーザーのこと。通常励起用の半導体LD光源と、所望の波長を得るための結晶素子などから構成される。


【製品仕様】

 HL67001DG
 光出力       200mW ( CW )     
 発振波長   675nm 
 動作温度  -10 to 75℃
 横モード  横シングルモード 
 発振モード  TEモード
 期待寿命  MTTF > 10,000時間
 パッケージ  5.6mm CAN パッケージ
  
 HL69001DG
 光出力       200mW ( CW )     
 発振波長   690nm 
 動作温度  -10 to 75℃
 横モード  横シングルモード 
 発振モード  TEモード
 期待寿命  MTTF > 10,000時間
 パッケージ  5.6mm CAN パッケージ

【アプリケーション】
・ライフサイエンス
・メディカル
・研究開発用途

【パッケージ】
ウシオ標準5.6mmパッケージ
・HL67001DG
・HL69001DG



【特性曲線】
Output Power (CW) vs Forward Current
CW, Tc = 25,40,60,75℃



 

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