世界初、パワー半導体用φ8インチ一括投影方式の露光装置の販売を開始

― ステッパ比で生産性を2倍に向上、トータルコスト75%削減 ―

ウシオ電機株式会社(本社:東京都、代表取締役社長 菅田 史朗、以下 ウシオ)は、パワー半導体※1製造用として、世界で初めて※2φ8インチウェハに対応した一括投影方式の露光装置「UX4‐ECO」を製品化し、この11月より販売を開始いたしますので、お知らせします。

パワー半導体の製造プロセスでは、従来型の半導体同様、リソグラフィによる素子形成、電極や電気回路形成、保護膜形成などが行なわれており、一般的にφ4~8インチのシリコンウェハに対応したステッパ(分割投影露光装置)やコンタクト露光装置、プロキシミティ露光装置※3が用いられています。

パワー半導体製造メーカ各社では、パワー半導体の需要の増大や、デバイスの多機能化・多品種化に対応するために、スループットの向上をはじめ、複数サイズのウェハや特殊なウェハ※4への対応、裏面露光などが求められています。しかしながら、現状では次のような問題がありました。

■ ステッパの場合
・ウェハ1枚に対して分割して露光するため、スループットが低い。
・標準設計のため、サイズ変更や特殊なウェハ、裏面露光への対応が難しい。
・イニシャルコストが他の露光方式に比べて割高になる。

■ コンタクト/プロキシミティ露光装置の場合
・マスクとウェハが接触するため、双方にダメージが発生し、歩留まりの低下、ランニングコスト高となる。
・特殊なウェハに対しては、反りによるウェハ割れなど、リスクが高い。

当社は、光源はもとより、光学系、機械、電気、ソフトウェア設計などの要素技術すべてを自社開発する“光の専門メーカー”です。
解像度で数ミクロンレベル、照射面積で数インチレベルというラフレイヤー露光領域を最も得意としており、すべての露光方式※5を取り揃える世界で唯一の露光装置メーカーとして、常にユーザーニーズに最適な装置を提供し、現時点で世界累積販売台数は1,000台を突破しています。

今回製品化した「UX4‐ECO」は、こうした当社の要素技術を結集した一括投影露光装置をベースに、パワー半導体用として再設計したものです。これにより、φ8インチウェハの一括露光を可能とし、従来のステッパに比べて生産性を2倍に高めました。
また、1台で複数サイズのウェハや特殊なウェハへの対応、裏面露光も可能としました。さらに、装置設定の変更やパーツ交換を不要としたことから、多機能化・多品種化への対応とともに、トータルコストの75%削減を実現しました。

環境への意識が年々高まる中、パワー半導体は省エネルギー化を可能にする半導体として、家電や自動車、クリーンエネルギーなど、広範な産業分野で需要が増大しています。
当社では、「UX4‐ECO」を露光装置事業の中核におき、他の露光装置と同様に、今後のビジネスを展開していく予定です。

なお、「UX4-ECO」は、11月10日から開催されるGreen Device2010のウシオブース(幕張メッセ 東5ホールブースNo.5423)において、ウシオの露光装置「UXシリーズ」のラインナップとして、初出展する予定です。

※1電気の流れをきめ細かく調整することで、電圧や周波数の調整や、交流を直流に変換する機能を持ち、電力ロスを抑制し、省エネルギー化を実現する半導体のこと。
※2 2010年10月31日現在、当社調べ。
※3 露光方式ごとの課題や特徴については、添付「露光方式の比較」参照。
※4 薄ウェハ、化合物ウェハ、TAIKOウェハなど。
※5 一括投影露光、分割投影露光、コンタクト露光、プロキシミティ露光。

ウシオのパワー半導体製造用 一括投影露光装置「UX4-ECO」

主な対象パワー半導体

IGBT、ダイオード、MOS-FET、サイリスタ/トライアックなど

特長

①φ8インチ一括投影露光

・マスクとウェハが非接触な投影露光方式のため、マスクとウェハのダメージを回避し、回路パターンの欠陥を防止し歩留まりを向上するとともに、マスク交換、清掃が不要なため、(装置の)ダウンタイムが発生しない。
・最大Φ200mmの大口径レンズを用いた一括で露光により、生産性を向上(従来ステッパー比200%)。

②薄ウエハやTAIKOウェハ、各種化合物基板などの特殊基板に対応

・パッケージングやMEMS業界で培った技術を元に様々な基板に対応(グラインド後のSi薄ウエハやGaAs・GaNといったさまざまな化合物ウェハにも実績あり)。

③裏面露光が可能

・裏面アライメントオプションにより両面デバイスにも対応可能。
・独自の画像処理技術により視認性の悪いアライメントマークにも対応可能。

④深い焦点深度

・深い焦点深度を持った自社設計の大面積レンズを搭載のため、反り・段差のあるウェハや厚膜レジストにも対応。

⑤柔軟な装置設計

・設計段階からウェハサイズの変更に自動対応しているため、既存のウェハサイズから大口径化する場合も段変え作業が不要でダウンタイムが発生しない。
・主要パーツはモジュール化されている為、仕様変更やアップグレード、メンテナンスも容易。

パワー半導体製造用各種露光方式の比較

パワー半導体製造用各種露光方式の比較