ウシオ電機製EUV光源、欧州研究機関に採用

―新工場開所式で公表―

ウシオ電機株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:菅田 史朗、以下 ウシオ)の100%子会社であるエクストリームテクノロジーズ(XTREME technologies GmbH 本社:ドイツ・アーヘン、社長:マーク・コートアウトMarc Corthout、以下、エクストリーム)製のDPP方式*1EUV光源*2を、このたび欧州の独立国際研究機関IMEC*3(Interuniversity Microelectronics Centre:ベルギー)が採用することが公表されましたので、お知らせします。

エクストリームは、22nm世代以降の半導体製造に必要なDPP方式EUV光源を量産するための新工場をオランダ国境近くのアールスドルフに完成させ、12月10日に開所式を行ないました。開所式席上で、IMECディレクター、クルト・ロンゼ氏より、2011年春にIMECがエクストリーム製のDPP方式EUV光源の導入を決定したことが公表されました。

IMECには、デバイスをはじめ、マスク、レジストなど半導体製造に関わる多数の企業が参加しており、すでに今年7月にエクストリームが事業買収したフィリップスEUVが製造したDPP方式EUV光源(実験機用)を保有し、稼動させています。今後、エクストリーム製DPP光源(量産試作機用)を使って、EUVによる半導体製造プロセスの検証が行なわれます。

今回、IMECが採用を決定したDPP方式の量産試作機用EUV光源は、既にエクストリームが受注した複数台の1台にあたります。ウシオはEUVA*4を通じ日本のNEDO*5、ドイツのBMBF*6からの研究委託や開発補助金を受け、1990年代からEUV光源の開発を行なってまいりました。ウシオは、今後ともエクストリームを通じて、EUV光源量産のための開発を一層加速してまいります。

*1 DPP(Discharge Produced Plasma)方式
放電で生成するプラズマからEUV光を発光させる光源。EUV光源には、DPP方式以外にレーザで生成するプラズマからEUV光を得るLPP方式(Laser Produced Plasma)があり、2方式の間で開発競争が行なわれている。

*2EUV(Extreme Ultraviolet)光源
現行の液浸二重露光用ArFエキシマレーザに続く、半導体リソグラフィーにおける最後の光源といわれ、13.5ナノメートルの非常に短い波長を持つ。

*3IMEC(Interuniversity Microelectronics Centre)
欧州の独立国際研究機関。1984年に設立。本部所在地はベルギーのルーベン市。
http://www.imec.be/

*4 EUVA(Extreme Ultra Violet Lithography System Development Association)
極端紫外線露光システム技術開発機構
2002年6月、半導体微細加工を実現するため、極端紫外線(Extreme Ultraviolet:EUV)を用いた光源・露光装置技術の早期確立を産学官一体となって推進する目的で、技術研究組合法に基づき、設立。
http://www.euva.or.jp/index.html

*5NEDO (New Energy and Industrial Technology Development Organization)
2003年10月日本の産業技術とエネルギー・環境技術及びその普及を推進する日本最大規模の中核的な研究実施機関として設立。
http://www.nedo.go.jp/

*6BMBF(Federal Ministry of Education and Research)
ドイツ教育・研究省
http://www.bmbf.de/en/

エクストリームのアールスドルフ新工場

参考資料

ウシオ電機のEUV開発の経緯

2001年 エクストリーム設立
2002年 EUVA発足、ウシオ参画
2005年 ウシオ、エクストリームの株式50%を取得
2006年 フィリップスEUVがα機を出荷
2007年 ウシオ/エクストリームがα機を出荷
2007年 ウシオとフィリップスが業務提携
2008年 エクストリームとフィリップスEUVが共同研究を開始
2008年 エクストリーム/フィリップスEUVが、発光点で500Wの出力を実証
2008年 ウシオ、エクストリームを100%子会社化
2010年 EUVAで発光点出力1kWを実現
2010年 フィリップスEUVより事業買収