ウシオ製EUV光源、中間集光点出力30Wを達成

―国際会議で発表―

ウシオ電機株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:菅田 史朗、以下 ウシオ)の100%子会社であるエクストリームテクノロジーズ(XTREME technologies GmbH 本社:ドイツ・アーヘン、社長:マーク・コートアウトMarc Corthout、以下、エクストリーム)は、量産化対応に必須であるDuty Cycle(デューティサイクル)100%の条件下で、中間集光点出力30Wを達成したことを、リソグラフィー技術に関する国際会議「2011 International Symposia on Extreme Ultraviolet Lithography and Lithography Extensions」(2011年10月17日~21日 米国フロリダ州マイアミ)で発表いたしましたので、お知らせします。

13.5ナノメートルの非常に短い波長を持つEUV光源は、半導体リソグラフィーにおける最後の光源といわれ、22nm世代以降の半導体製造に必要とされています。ウシオは1990年代から、放電で生成するプラズマからEUV光を発光させるLDP(Laser assisted Discharge Plasma)方式によるEUV光源の開発を行なっており、2008年にはエクストリームを100%子会社化し、また2010年にはフィリップスEUVから事業買収を行なうなど、EUV光源の研究開発を積極的にすすめてまいりました。

エクストリームは、2011年2月にDuty Cycle 100%で中間集光点出力15Wを達成しており、このたび、さらなる高出力化への取り組みの中で発生したデブリや熱処理などの問題を大幅に改善することで、30Wの安定的出力を達成しました。また、今後の高出力化に対しても、これらの問題についてすでに解決策を有しており、引き続き開発を進めています。
「開発用光源では、すでに中間集光点で100W相当の出力を確認している。今回、出荷前の製品ベースの光源システムにおいて、連続発光で中間集光点での出力30Wを提供できる段階まで来た。100W、250Wの出力を高い信頼性で実現できるよう、エンジニアリング課題を一つひとつ解決しながら着実に開発を進めている。」と、技術担当副社長の吉岡正樹は語っています。

ウシオは、今後もエクストリームを通じて、LDP方式によるEUV光源の量産化実現のため、開発を一層加速してまいります。

※今回の結果の一部は独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による継続研究の成果を利用したものです。

LDP方式EUV光源外観

参考資料

Duty Cycleとは

長時間にわたって稼働する際、実際に発光している時間としていない時間の比率。その割合が高い程、スループットが高くなる。

LDP(Laser Assisted Discharge Plasma)方式による発光原理(イメージ) 

2枚の回転電極を液体スズの薄い層でおおい、電極間に高電圧を印加し、そこにレーザーを照射して放電を開始させ、生成されるプラズマからEUV光を発光させる。

ウシオ電機のEUV開発の経緯

2001年エクストリーム設立
2002年EUVA発足、ウシオ参画
2005年ウシオ、エクストリームの株式50%を取得
2006年フィリップスEUVがα機を出荷
2007年ウシオ/エクストリームがα機を出荷
2007年ウシオとフィリップスが業務提携
2008年エクストリームとフィリップスEUVが共同研究を開始
2008年エクストリーム/フィリップスEUVが、発光点で500Wの出力を実証
2008年ウシオ、エクストリームを100%子会社化
2010年EUVAで発光点出力1kWを実現
2010年フィリップスEUVより事業買収