フットプリント0.6mm x 0.3mmを実現したSWIR域超小型LEDパッケージを開発

InP系材料では世界初※1となるフリップチップ構造のSWIR域LEDチップを採用


ウシオ電機株式会社(本社:東京都、代表取締役社長 朝日 崇文、以下、ウシオ)は、SWIR域である1050nm~1650nmの波長帯において、フットプリント0.6mm x 0.3mmの超小型LEDパッケージを開発し、2024年11月より国内外でテストサンプルの提供を開始いたします。

SWIR域の波長は、スマートフォンなどの小型電子機器、バイタルセンシング、近接センサーなどの用途や1100~1350nmの「第二の生体の窓」と1550~1800nmの「第三の生体の窓」を使うことで、非侵襲での深部の計測やイメージングに適しています※2が、機器のフットプリントに制限があるため、より小型化したLEDパッケージが求められています。

そこで、本パッケージは、InP(インジウムリン)系材料では世界初となるフリップチップ構造のLEDチップを採用することで、パッケージ側にワイヤーボンディングするスペースが不要となり、パッケージの大幅な小型化を実現しました。また、ワイヤーレスのため、発光面側のワイヤーによる影の影響がなくなり、出力や照度分布の均一性が向上します。
さらに、透明樹脂でチップが保護されたLEDパッケージであるため、チップに比べて容易にはんだ実装が可能となるほか、サイズがチップ抵抗などの小型電子部品の0603サイズ(0.6mm×0.3mm)と同等のフットプリントであるため、基板実装において0603サイズの電子部品と同じように扱うことができます。

これにより、機器のフットプリントに制限があるスマートフォンなどの小型電子機器、バイタルセンシング、近接センサーなどの用途での貢献が期待されるだけでなく、バイオセンシング分野における研究の進展や非侵襲生体診断の精度向上に貢献することができます。

ウシオは、今後もより先進的なLEDおよびLEDパッケージを開発することで、世の中の技術革新を支えていきます。

※1 ウシオ調べ
※2 波長約700~2500nmの赤外光は、生体組織に対する散乱が小さく、分子振動による吸収が小さいことから、生体の深部の観察・センシングに適しており、この波長域は「生体の窓」と呼ばれている

 
当社従来品との比較(左が本製品)
当社従来品との比較(左が本製品)

 
主な用途
モバイル端末用センシング光源
バイオセンシング用光源

参考資料
バイオセンシング分野への貢献について 
SWIR域には、1100~1350nmの「第二の生体の窓」と1550~1800nmの「第三の生体の窓」が存在します。これらは生体組織への生体侵入長が長いため、生体組織の内部や深部にまで光が到達し、非侵襲での深部の計測やイメージングに適しており、この特性を生かすことで、生体組織の微細な構造や病変部の評価において、より正確な情報を提供することができます(図1)。
図1

さらに、SWIR域では、水、グルコース、エタノール、コレステロールなど多くの物質の吸収域が存在します。それにより、SWIR光の透過率や吸収率によってこれらの物質を検出し、正確に定量化できるため、重要な生体指標のモニタリングが容易になり、バイオセンシング分野における研究の進展や非侵襲生体診断の精度向上に貢献することが期待されます。