分光分析
解説
分光分析とは、物質が放射または吸収する光のスペクトルを調べ、その物質の成分を特定すること。
<分光分析を利用する各種測定器(分析装置)の例>
XPS(またはESCA)/X線光電子分光分析装置
軟X線を利用し、固体の表面に近い層を構成する原子や分子を測定する装置のこと。
真空中で固体表面に軟X線を試料に照射し、光電効果により表面から放出される光電子の運動エネルギーを測定する分析方法で、固体の表面に近い層を構成する原子や分子の情報が得られる。
XRF(またはXRFS)/蛍光X線分析装置
蛍光X線を利用し、物質の元素組成の同定を行う装置のこと。
試料から発せられる蛍光X線のエネルギーを計測することで、さまざまな物質の元素組成の同定を行う。
FT-IR/赤外分光透過率計
赤外放射を利用し、主に有機化合物の構造推定(定性)を行う分析装置のこと。
赤外放射を分子に照射すると、分子を構成している原子間の振動エネルギーに相当する赤外放射を吸収する。この吸収度合いを調べることで、化合物の構造推定や定量を行う。
ICP(または、ICP-MS)/ICP質量分析装置
誘導結合プラズマを利用し、超微量元素の定量・定性分析を行う装置のこと。
誘導結合プラズマ中に流した試料溶液を発光させ、その分光分析により、超微量元素の定量・定性分析を行う。
Atomic Absorption/原子吸光分析装置
原子が固有の波長の光を吸収する現象(原子の共鳴吸収)を利用し、微量原子を定量する装置のこと。
試料を霧化してバーナで燃やすことにより、金属原子等が自由になった所へ、その原子特有である波長の光を通したときの吸収度合いを測定し、微量原子を定量する。
AES/オージェ電子分光装置
試料表面から放出されるオージェ電子1)を利用し、試料表面の元素の種類・存在量に関する知見を得る装置のこと。
電子線照射により試料表面から放出されるオージェ電子の運動エネルギー値とその分布を測定し、試料表面の元素の同定を行い、種類・存在量に関する知見を得る。
1)オージェ電子:固体表面に電子線が照射されたときに、オージェ遷移により放出される電子のこと。
ラマン分光装置
ラマン光の波長のずれを利用して、化学分析や分子構造の決定を行う装置のこと。
物質にある波長(一般にはレーザなどの単波長)の光を照射すると、照射光と同じ波長の光が散乱される以外に、微弱ではあるが波長がわずかにずれた光(ラマン光)が散乱される。このラマン光の波長のずれは物質中の分子の振動にもとづく(分子振動スペクトル)物質特有であり、これを利用して化学分析や分子構造の決定を行う。
分光光度計
物質の吸光度を調べ対象物質の成分を特定する装置のこと。