赤外放射
infrared radiation
せきがいほうしゃ
解説
赤外放射とは、おおよそ波長780nmから1mm程度までの放射のこと。一般には赤外線と言われている。
赤外放射は、物体に吸収されると熱エネルギーに変換される。その用途には、加熱・乾燥、保温、調理などがあり、また光通信、リモートセンシング、暗視装置などにも用いられている。
※国際照明委員会(CIE)における赤外放射の波長による分類には、以下のような分け方がある。
IR-A : 波長780~1,400nmの範囲
IR-B : 波長1.4~3μmの範囲
IR-C : 波長3μm~1mmの範囲
このほかに、赤外放射は「近赤外」「中赤外」「遠赤外」と分ける場合がある。その波長範囲には色々な用例が存在するが、用例を総合すると波長780nm~2μmを近赤外放射、2~4μmを中赤外放射、4μm~1mmを遠赤外放射と言う。以下に用例ごとの範囲を示す。
-
近赤外放射
可視域に隣接した波長領域の赤外放射のこと。近赤外放射は光化学効果を生じる可能性を持つ。
波長範囲については、以下のようなとらえ方がある。
波長0.78~2μm (IEC 国際電気技術用語集「工業用電気加熱編」)
波長0.77~1.4μm (IESNA 北米照明学会)
波長0.78~2.0μm (日本電熱協会編「赤外加熱用語」) -
中赤外放射
近赤外放射より長波長でガラスの透過限界波長より短波長域の赤外放射のこと。
波長範囲については、以下のようなとらえ方がある。
波長2~4μm (IEC 国際電気技術用語集「工業用電気加熱編」)
波長1.4~5μm (IESNA 北米照明学会)
波長2.0~4.0μm (日本電熱協会編「赤外加熱用語」) -
遠赤外放射
ガラスの透過限界波長より長波長で、物質などに吸収されると、他の様態のエネルギーに変換されることなく、直接的に分子や原子の振動エネルギーや回転エネルギーに変換される波長域の赤外放射のこと。日常的には、遠赤外線ともいう。
波長範囲には、以下のようなとらえ方がある。
波長4μm~1mm (CIE国際電気技術用語集「工業用電気加熱編」/日本電熱協会/電気学会)
波長5μm~1mm (IESNA 北米照明学会)
波長4.0μm~1mm (日本電熱協会編「赤外加熱用語」) -
極端遠赤外放射
遠赤外放射の長波長域をいい、物質などに吸収されると、他の様態のエネルギーに変換されることなく、直接的に分子や原子の振動エネルギーや回転エネルギーに変換される波長域の赤外放射のこと。
波長範囲には、各種のとらえ方があるが、25μm~1mmまでの波長域とすることが多い。