ガラス
解説
ガラスとは、原子配列が不規則であり、ガラス転移現象を示す固体のこと。
一般的な特徴としては、透光性が良い、絶縁物、耐食性が良い、曲がらない、堅くてもろい、組成が変えられる、形が自由になるなどがある。
※実用化されているガラスのほとんどは酸化物ガラスである。
< 酸化物ガラスの代表的な種類>
石英ガラス
二酸化珪素(SiO2)を主成分とするガラスで、通常のガラスに比べ、SiO2 純度が高いものをいう。
→石英ガラスを参照。
特長としては、透光性が良い、耐熱性が良い、耐薬品性がよい、不純物が少ない、などがある。
用途には、照明用、光学用、理化学用、半導体工業用、液晶用、光ファイバ用などがある。
ソーダ石灰ガラス
Na2O/CaO/SiO2を主成分とし、硬く、軽い、成型容易、化学的耐久性に優れている、原料入手容易、安価などの特長を持ち、板ガラス、瓶ガラス等で広く使われる。
一般にガラスの化学的耐久性を悪くし、熱膨張係数を大きくする成分は、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウムなどのアルカリ成分であり、これらをホウ酸やアルミナで置換するなどで改善している。
ホウケイ酸ガラス
B2O3/SiO2を主成分としたガラスをホウケイ酸ガラス(bolosilicate glass )と呼ぶ。ほぼ380nmから2000nmまでの波長の光を透過し、耐熱性を持ち、屈折率が約1.5程度のガラス。
普通のソーダライムガラスより熱膨張率が小さく、耐熱ガラスとして用いられ、ビーカーなどの理化学用器具、耐熱食器、医薬品アンプルガラス、電子管金属熔着ガラス、液晶テレビのバックライト用冷陰極蛍光ランプなどに使われる。
パイレックス
1915年に米国コーニング社が開発したコード番号7740のホウケイ酸ガラスであり、科学的耐久性が高く、熱膨張率が低いことに特長があり、理化学ガラスの代表的存在となっている。耐熱食器などにも使われ一般にもなじみが深い。
無アルカルアルミノホウケイ酸ガラス
ホウケイ酸ガラスにアルミナ(Al2O3)を加え、アルカリ金属を除いたもの。
液晶パネルの基板ガラスに使 われている。
高ケイ酸ガラス
ホウケイ酸ガラス(主成分:B2O3/SiO2)からB2O3を除去するなどして作る。1934年に米国コーニング社はこの高ケイ酸ガラス(96% SiO2)を開発し、1934年にバイコールガラス(vycor glass)の名前で発売した。
石英ガラスに近い熱膨張係数を持ち、理化学用や自動車の前照灯、着色H4ハロゲンランプ(自動車用品市場で扱われる)などに使われている。
アルミノケイ酸塩ガラス
Al2O3/SiO2を主成分としたガラス。
高い軟化温度を持ち、高圧水銀ランプ(高圧UVランプ)、ハロゲン電球、高負荷電子管、フォトマスク、PDPテレビなどに使われる。
鉛ガラス
K2O/PbO/SiO2としたガラス。
特徴として、軟く重い、屈折率が高く、また透明度も高いなどがある。
クリスタルガラスとして装飾品や高級食器に、高屈折率、高分散用の光学ガラスとして各種レンズに使われる。また放射線遮蔽ガラスとしてブラウン管ファンネルにも使われる。