PPLN

periodically poled lithium niobate、periodically poled LiNbO3 ぴーぴーえるえぬ

解説

PPLN(periodically poled lithium niobate)とは、周期的分極反転ニオブ酸リチウムのこと。 PPLNは、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)単結晶が持つ高い光学的異方性(非線形性)を利用し、主に可視域での波長変換素子として用いられる。

フルカラー、高解像度のプロジェクタ光源には、発光ダイオードLED)や半導体レーザLD)が使われる。赤は、赤外から赤までを発光するAlGaInP系材料を、青は、青から紫外までを発光するInGaN系材料を用いて、それぞれのLEDやLDが実現されているが、緑は、これらの材料の狭間(グリーンギャップ)にあり、高出力化が実現されていない。そのためPPLN を用いて、シングルモードレーザの赤外光(波長1064nm)を緑色光(波長532nm)に変換する第二高調波発生(SHG)が使われる。

<第二高調波の発生と周期的分極反転構造(Periodically Poled Structure)>
ガラスの振動方向が水平でも垂直でも屈折率が同じ光学的等方性媒質であるが、ニオブ酸リチウム単結晶は、水平と垂直では屈折率が異なる光学的異方性媒質(非線形媒質)である。
非線形媒質の中にレーザ光を照射すると、媒質中で色々な周期の振動が誘起される。これらの振動のうち、倍の振動数を有する振動によって発生するレーザ光を第二高調波(倍波)と言い、波長は半分になる。
図1(a)のように、入射波E1を非線形媒質中に入射させると、点Aで第二高調波が発生し、さらに点B、点C、点Dでも順次発生する。これらの箇所で発生した第二高調波が足しあわされて、合成第二高調波が形成される。しかし、点Fを超えると第二高調波が打ち消しあい始め、合成第二高調波は0に戻ってしまう。点Fで第二高調波の向きを反転させることができたなら、図1(b)のように、合成第二高調波は減じることなく増加し続ける。これを可能としたのが周期的分極反転構造である。
周期的に分極反転領域を製作するには、分極を反転させたい領域に電極を設け、この電極に高電圧を印加することによって、NbイオンとLiイオンの位置を反対方向へ偏らせる必要がある。(図2参照) 緑を発生させる場合、約7μm周期でパターニングされ、電圧パルスを重畳する方法や、電子ビームを照射する方法、光アシストをする方法などを用い、高電圧を印加することで、反転比率50:50の分極反転構造が製作されている。