光技術情報誌「ライトエッジ」No.2/特集 液晶バックライト光源(1995年春発行)
平成6年度照明学会全国大会予稿集 P.152
(1994年)
25.液晶投射形ディスプレイ用直流点灯
メタルハライドランプの寿命特性
Screen lumen maintenance of the DC operated lamp for LCD projector
東 忠利 有本智良(ウシオ電機抹式会社)
Tadatoshi Higashi and Tomoyoshi Arimoto(Ushio Inc.)
1.はしがき
希土類ハロゲン化物封入のショートアーク形メタルハライドランプは高輝度で高演色性が得られるため、液晶投射形デイスプレイ用の光源として近年盛んに利用されている。希土類ハロゲン化物を発光物質として使用すると高効率で高演色性の光が得られる特徴があるが、普通使用されている矩形波による交流点灯では点灯中石英管の内壁に白濁を発生し、ランプの全光束はあまり低下しなくても光学系を通した光の利用効率が早期に低下する欠点を持っている。
報告者らは、この種のランプに直流点灯によるカタホリシス現象を応用することにより、白濁の発生を大幅に低減できる可能性があることを見出し、昨年一部を報告した(1)。その後、寿命試験を継続して白濁の抑制効果を確認し、その結果としてスクリーン光束の椎持率が著しく向上することを確認したので報告する。
2.直流点灯によるスクリーン光束の維持率
寿命試験は主としてアーク長5mm,放電管内型8.6mmの150Wランプについて行なった(色温度6800K-7800K)。焦点距離13mm,ミラー部の直径100mmの回転放物面鏡にランプを同軸に組み付け、放電軸を水平にして、2時間45分点灯-15分消灯の繰り返しで寿命試験を行なった。
図1に2500時間までのスクリーン光束の維持率の推移を示す。また図2にランプ電圧の変化を示す。(ランプ初期効率:平均70lm/W)
図3にCCDカメラで測定した直流点灯ランプの輝度分布の例を示す。電極スポットは陰極スポットが一番明るいが陽極にも陽極スポットが形成されている。
3.結論
希土類ハロゲン化物入りの光学機器用高負荷形ショートアークランプで障害となる白濁の発生が、アーク軸を水平にして直流で点灯することにより大輻に低減できることを確認した。