USHIO

光技術情報誌「ライトエッジ」No.3(1995年秋発行)

特集 第7回光源の科学と技術に関する国際会議

(当社発表論文)

LS:7のエピソード

技術研究所 応用開発部 技師 三橋健一

一昨年の12月より、私はLS:7の実行委員会として、準備に携わってきた。この度、無事LS:7を終了して、ほっとしたところである。そこで、LS:7のエピソードをいくつか、記したい。

LS:7の実行委員会は、照明学会の国際シンポジウム委員会に発足し、1993年12月より、活動に入った。実行委員会は、浦山委員長(立命館大学教授)をはじめ、幹事10名、委員15名から成り、いずれも大学およびランプメーカー関係者である。

日本で初めての本格的な光源の国際シンポジウムであり、準備は手探りであった。例えば、英文のシンポジウムの案内を作成した際、委員全員で英文の公正にあたり、最終的には英国の研究者に校正してもらった。また、不況の折り企業からの募金や展示への出展の募集は、非常に困難であった。各ランプ関係のメーカーにシンポジウムの主旨を丁寧に説明し、募金や展示への出展を募るなど地道な努力が続いた。

今年の6月に入って、海外からのシンポジウムのコミニティーメンバーを迎え、会場や発表される論文の審査が行われ、最終的な開催決定がなされた。幸い、コミニティーメンバーは、京都国際会議場の雰囲気や論文の質に満足したようだった。

いよいよ、LS:7の開催を1ヶ月程前に迫り、実行委員会の中で会場準備担当である私が、京都国際会議場より最終見積をとることとなった。以前入手した見積があるものの、このような作業は初めてで困惑した。何せ、マイク一本から、会議の看板、はては、歓迎パーティまで、1つも漏らさず準備しなくてはならない。結局、見積は、26ページに及ぶものとなった。

8月26日よりLS:7が始まった。第1日目の午前のポスターセッションが終わった後で、1つ問題が生じた。それは、ポスターを貼り付けたボードの間隔が狭いために、ポスターの前で熱心に議論する人やポスターを眺める人で身動きがとれないということだった。私も、何回かこのようなポスター発表に出席したことがあるが、これほど長時間ポスターの前で熱心に議論する光景は見たことがない。

ポスターボードを1mほど移動すれば解決できることであったが、なにせボードには参加者のポスターが張られているために、移動した場合にポスターに絶対損傷を与えてはならない。恐る恐る、ボードの足の部分を数人で押すと、ボードは絨毯の上を滑って、簡単に移動した。案ずるより生むがやすしであった。

すべてが終了した8月31日の午後、事務所に実行委員が全員集まって、LS:7の議長を務められた板谷教授(国立新居浜高等工業専門学校校長)とともに、差し入れの羊羹を食べた。緊張が解け、和やかな一時であった。

Copyright © USHIO INC. All Rights Reserved.