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光技術情報誌「ライトエッジ」No. 5(1996年3月発行)

ウシオ技術研究所分析技術について

技術研究所
五十嵐龍志

弊社の分析について、ユーザー、その他からよく、ランプ業界でトップクラスと評価を受ける。直接は比較する機会がないので明確ではないが、弊社では、ランプの開発、品質向上に分析枝術は不可欠という信念から、ランプ材料分析法の開発、分析枝術のレベルアップ、分析体制の整備に注力して来た。

現在、技術研究所で新分析法の開発および、ウシオグループ内での依頼分析業務を行っている。社内の分析は大きく、固体表面分析、ガス分析、湿式分析およびその他分析に分けられる。

1 固体分析

代表的な装置を記述する。元素分析、状態分析ではEPMA(X線マイクロアナライザー)、Auger(オージェ電子分光)、XPS(光電子分光分析装置)、構造解析用にX線回折装置などがある。上記装置を使用し、ランプの材料研究、不良解析等を行っている。

EPMA(X線マイクロアナライザー)

Auger(オージェ電子分光)

XPS(光電子分光分析装置)

X線回折装置

2 ガス分析

ランプの開発、工程管理には不可欠な分析でありながら、特殊な分析であり、社内、外を通して未確立で、社内で注力して開発してきた。その結果、現在、ランプ中の不純ガス分析は質量分析、ガスクロマトグラフィー質量分析を用いた分析法を確立している*1。難しいのは、ランプという、ある容積のガラスバルブに閉じ込められた少量のガスを、不純ガスを混入させないで破壊し、サンプリングする抽出機構であり、次には、そのガス中の数ppmの不純ガスを精度よく定量することである。現在では、我々の設計、製作した装置で、自動分析が可能となり、品質管理部門で使用されている。最近では、フーリエ変換型赤外分光光度計を使用した、非破壊でのガス分析も可能となった*2。また、ランプ中の不純ガス発生の起源として、ランプの主要材料であるタングステン、石英ガラスからのガス放出を測定する装置も独自に開発した*3*4。これにより、石英ガラスの種類、ランプ製作の加工条件によって、放出ガスが大きく異なることが明らかになってきた*5。本装置報告後、各種石英メーカーから測定依頼が多数寄せられ測定している。

3 湿式分析およびその他の分析装置

湿式分析では、原子吸光、ICP(発光分析)で、タングステン、石英ガラスなど主要材料中の不純物金属分析などを行っている。他の装置として、各種分光測定装置(真空紫外、可視、近赤外、赤外)、熱分析装置などがある。硬さ、引っ張り、高温引っ張り、表面粗さ、X線投影装置などの物理測定器なども揃えている。

4 まとめ

上記分析体制を確立したことによる、不良の低減、開発のスピードUPへの貢献は高かったと考える。半導体業界の表面分析の進歩、それによる半導体の進歩に見られるように、分析と開発は互いに不可欠な存在である。弊社でも、新ランプの開発に新分析枝術が必要であり、新分析枝術の新しい知見により、ランプ材料の開発が進むことになろう。また、%からppmへとレベルUPする品質体制の強化のために、さらなる分析枝術のレベルUPが望まれる。

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