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光技術情報誌「ライトエッジ」No.6(1996年5月発行)

1996(平成8年)度 第29回 照明学会全国大会 講演論文集

希ガス-塩素系誘電体バリア放電
エキシマランプにおけるE/pと放射効率
The Relationship between Radiant Efficiency and E/p
in dielectric barrier-discharge-driven Rare gas-Halogen Excimer Lamps

相浦 良徳 松野 博光 五十嵐龍志 平本 立躬
(ウシオ電機株式会社)
Y. Aiura, H. Matsuno, T. Igarashi, T. Hiramoto

1. 緒言

誘電体バリア放電を励起源としたエキシマランプが研究開発されている1)2)。XeCl*、KrCl*ランプにおけるE/pと放射効率の関係についてはすでに報告した3)。今回、ArCl*についても検討し、希ガス-塩素系についてまとめたので報告する。

2. 実験方法

実験系の概略図を図1に示す。同軸円筒型バリアランプを使用し、外管は共通、内管の径を変えることによって、放電ギャップdを変化させた。また、ランプは排気台に接続したままで実験を行い、ガスの種類、圧力を変化させた。使用したガスは、希ガス3種類(Ar、Kr、Xe)と塩素の混合ガスである。

図1 実験系の概略図

電力、放電維持電圧はV-Qリサジュ図形から求めた。電界強度は次式のように仮定し算出した。

ここで、Vsはリサジュ図から求めた放電維持電圧、Cglass*はガラスの静電容量、Cgap*は放電空間の静電容量、Eは電界強度、roは放電ギャップの中間面の半径である。放電によって生じる空間電荷の分布は無視した。

3. 実験結果

E/pと放射効率(=全放射出力/ランプ入力電力)の関係を図2に示す。放射効率はE/pが大きくなると急激に立ち上がり、ピークに到達し、ゆっくり落ちていく。ピークの位置はArCl*が一番小さく、KrCl*、XeCl*と高E/p側にシフトした。また、高E/pにおいては放射効率はArCl*、KrCl*、XeCl*の順に高くなった。

図2 E/pと放射効率の関係

4. 結言

希ガス-塩素系エキシマランプにおいて、放射効率が最大になるE/pが存在し、このピークは軽い希ガスほど低いE/pに位置することがわかった。この理由については現在検討中である。

■参考資料

Eの算出方法

  • 1. Cib capacitance of inner bulb in unit length
  • 2. Cob capacitance of outer bulb in unit length
  • 3. Cgap capacitance of discharge gap in unit length
  • 4. Vgap voltage supplied to discharge gap

  • 5. Egap electric field in discharge gap

図.7 図形がゆがんだときは放電維持電圧の平均を使用する。ここで得られたVsと変換係数αから換算電界E/pを求める。

図7 リサージュ図形

図.2 低E/p側ではエネルギーが足りないため、エキシマ分子が生成されにくい。高E/p側では電子によりクエンチングをうけるために放射効率が悪くなる。

図.8 ガス種とp・dからE/pが決定される。よって、ガス種とp・dから放射効率が決まる。

図8 塩素系ランプにおけるp・dとE/pの関係

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