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光技術情報誌「ライトエッジ」No.6(1996年5月発行)

1996(平成8年)度 第29回 照明学会全国大会 講演論文集

No.44 誘電体バリア放電を利用した
ヘッドオン型Ar2*、Kr2*エキシマランプの特性
Characteristics of head-on Ar2*, Kr2* excimer lamps with dielectric barrier discharges

菅原 寛 大西安夫 松野博光 五十嵐龍志 平本立躬
(ウシオ電機株式会社)
Hiroshi Sugahara, Yasuo Ohnishi, Hiromitsu Matsuno, Tatsushi Igarashi, Tatsumi Hiramoto

1. 緒言

真空紫外領域の光源のひとつに、誘電体バリア放電を利用したエキシマランプが知られている1)2)。我々は封じ切り型のAr2*、Kr2*エキシマランプを開発してきた3)4)。これらのランプはその特性を生かして、プラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP)用の蛍光体の評価をはじめとして、各方面で応用され始めている。今回、126nm、146nmにそれぞれ発光中心波長を持つAr2*、Kr2*エキシマランプの寿命及び光安定性等の特性をさらに追加調査したので報告する。

2. ランプの構造と特性

図1にヘッドオン型Ar2*、Kr2*エキシマランプの概略を示す。電極には周波数20kHz、ピークtoピーク電圧9kVの正弦波電圧を印加した。ランプ入力電力は20W である。また、封入ガス圧と放電ギャップ長の積は約40kPa・cmである。図.2にAr2*、Kr2*エキシマランプと市販のMgF2窓付き30W型重水素(D2)ランプの分光分布比較を示す。併せて合成石英ガラス窓付きXe2*エキシマランプのものも載せている。測定は真空紫外分光器から200mmの距離で行った。Ar2*、Kr2*エキシマランプの中心波長はそれぞれ126nm、146nmで、半値幅はそれぞれ10nm、13nmであった。また、同一波長域でD2ランプとの出力比はそれぞれ4倍、7倍であった。放射強度の維持率は初期出力の半減時までの時間で、Ar2*、Kr2*それぞれ500時間、1500時間であった。また、光出力の安定性は、Ar2*、Kr2*で大差はなく、点灯初期安定時間が約10分、ふらつきが±1%程度、ドリフトも約1%毎時であった。

図1 Ar2*、Kr2*エキシマランプの概要

図2 Ar2*、Kr2*、Xe2*エキシマランプとD2ランプの分光分布比較

3. 結言

これらエキシマランプは、封じ切り型で使い勝手が良く、短波長域で単色光で高出力、長寿命が確認され、今後ますます各方面でその特性を生かした応用が期待される。

■参考資料

図3 Kr2*(146nm)エキシマランプの軸方向照射距離を変えての同径方向の放射強度空間分布
Ar2*(126nm)もKr2*(146nm)とほぼ同一分布

図4 Ar2*(126nm)、Kr2*(146nm)エキシマランプの軸方向照射距離による放射強度の変化

図5 Ar2*(126nm)、Kr2*(146nm)エキシマランプの相対放射強度の点灯時間による変化

図6 Kr2*(146nm)エキシマランプの光出力安定性

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