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光技術情報誌「ライトエッジ」No.6(1996年5月発行)

1996(平成8年)度 第29回 照明学会全国大会 講演論文集

No.46 液晶プロジェクター用極短アーク直流点灯
メタルハライドランプの特性
Characteristics of a very short arc-dc operated MH lamp for LCD projector

東 忠利、有本 智良、成田 光男、田中 泰夫
(ウシオ電機株式会社)
Tadatoshi Higashi, Tomoyoshi Arimoto, Mitsuo Narita, Yasuo Tanaka

1. はしがき

液晶プロジェクターはビデオプロジェクターおよびデータプロジェクターとして教育、娯楽、業務などに広く使用されており、さらに大型TV装置の一形式として近年注目をあびている。この種のプロジェクターには高演色性が得られる希土類金属ハロゲン化物入りのショートアークメタルハライドランプが利用されているが、液晶の小形化とともに集光率を上げるため短アーク長化が求められ、一方スクリーン照度の向上のため250W程度の比較的大出力のランプが使用されるようになっている。

矩形波交流点灯によるメタルハライドランプでは、アーク長の短縮と大出力化は共にランプ寿命の短縮をまねき、プロジェクターメーカより要望されているランプの長寿命化とは逆の結果をまねいている。これに対し報告者らは直流点灯がランプ寿命の延長に顕著な効果があることを見出し、アーク長3mmの直流点灯ランプの開発に注力してきた1)

プロジェクター業界の要望は最近ではアーク長2mm以下のランプを求めるようになったため、報告者らはアーク長1.8mmの直流点灯形250Wメタルハライドランプを試作し、評価したところ、良好な発光特性と寿命特性を得たので報告する。

2. 短アーク長DC250Wランプの特性

ランプの色温度を7500Kに設計したとき発光効率は約55lm/Wが得られた。図.1に試作したアーク長1.8mmのランプの分光分布の例を示す。アーク長当たりの入力電力の増大とともに水銀スペクトル線の強度比の増大がみられるが全体としては良好な分光分布が得られている。

図1 1.8mmアークDC250Wランプの分光分布

図.2に試作ランプの輝度分布を示す。図.3に3000時間までのスクリーン光束維持率を示す。

図2 DC250Wランプの相対輝度分布

図3 1.8mmアークDC250Wランプの寿命特性

3. 結論

アーク長1.8mmの250W入力電力のランプにおいても直流点灯ならば2000時間以上の長寿命のランプが得られることが判明した。アーク長2mm以下のランプは小形画像素子への集光効率の向上に役立ち、装置の小型化や、安価な装置の開発に役立つと考えられる。

■参考資料

参考図 アーク長3mm DC250Wランプの分光分布

単位アーク長当たりの入力電力の増大により水銀スペクトル線が増大する。参考図はアーク長3mmのDC250Wランプの分光分布であり、図.1のアーク長1.8mmランプの分光分布より水銀線の比率が小さい。

図.4は試作したアーク長1.8mmランプの配光である。陽極側はアーク軸から30度以内は陽極のために切られている。

図4 アーク長1.8mmDC250Wランプの配光

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